「遊び食べばかり」「断乳はどうする?」【1歳ママ】の悩みに今井和子先生が答えます!

乳児から幼児前期の子どもを抱えるお母さんは、“悩み”や“疑問”をたくさん抱えていますよね。そこで、二十数年間、公立保育園で保育者として勤務し乳幼児の育ちに詳しい今井和子先生が、自分の経験をもとにQ&A方式で回答してくれました。その例を紹介します。子育てに役立ててください。

1歳前半に多い質問

Q :自分で食べるように手づかみをさせていますが、そのうち食べ物を汁の中に入れてかきまわしたり食べずにあそんでばかりいて困っています(1歳3ヶ月)

Q : 園ではちゃんとすわって食べているようですが、家ではちょっと食べると椅子から出て遊び食べになってしまいます(1歳6ヶ月)

A:好奇心からの遊び食べか、飽きてしまっての遊び食べかまずは見極めることが大切

食べさせることに力を注ぐのではなく、子どもがこぼしても、手づかみでも、”自分で食べたい“という意欲を支えてあげることが大切です。”これは何だろう?“という、好奇心からの遊び食べなら、肯定的に見てあげ、少しはやらせてあげましょう。

もういらなくてのただの遊び食べの場合、「もういらないの?」と聞いて、食事を終わりにするか子どもに判断させます。「いらない」と答えた場合は、戻ってきてもあげないということをわからせて席を立たせ、戻ってきても絶対、食べさせないようにします。それを3日も続ければ、遊び食べはしなくなります。ただし、食欲がなくての遊び食べは、なぜ食欲がないのかを考えましょう。おやつの時間や量、運動不足などが考えられるので、それらを解消し、楽しく食べることが生きる喜びにつながることを、伝えていきましょう。

 

Q:ママ“といってくれるようにはなりましたが、誰を見ても”ママ“といったりします。自分のママがわかっていないのでしょうか(1歳5ヶ月)

A:女の人を総称してママと呼んでいるのだと思います。私が**ちゃんのママよ、と伝えていきましょう

1歳になると、”ママ“”ブーブー“”ワンワン“など、意味のある言葉を発するようになります。これは「1語文」といわれ、ひと言のなかに、その子が言い表したいいろいろな意味が込められています。ただし、動物はみんなワンワン、食べ物はマンマ、というように概念語として発している場合が多いです。女の人をママといったからといって否定せず、”ママは私よ。あの人はお友達“と、伝えていくといいでしょう。

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1歳後半に多い質問

Q : 自分の思うとおりにならないと、ものを投げたり、奇声を発するので、困ってしまいます(1歳8ヶ月)

A : 子どもの気持ちを、言葉にしてあげましょう

自分でいろいろできるようになると、自己主張が強くなり、欲求が激しくなります。でも、上手に言葉にできないため、イライラして奇声を発したり、ものを投げたりしてしまうのです。奇声を発したときは、「そんな大きな声を出しちゃダメ」と、ただ怒るだけでは、余計エスカレートしてしまいます。”もし言葉でいえたら何ていうだろうな?“と、子どもの思いをつかんで、「まだあそびたいの?」「これが欲しかったの?」などと代わりに言葉にしてあげましょう。自分で言葉でいえるようになると、そういう行動は減っていきます。

 

Q:もうじき2歳になるのに、まだ言葉らしい言葉が出てきません。どうしてうちの子は遅いのか、とても心配です(1歳9ヶ月)

A:言葉の育ちは個人差が大きいのでまずはほかの子と比べるのをやめましょう

言葉の育ちこそ、個人差がいちばん大きいので、まずは他児と比べないことが大切です。2歳ごろまでに意味のある言葉が出てくれば、ほとんど心配はありません。

言葉が出るか出ないかよりも、言葉を聞いて理解し、その行動がとれているかが重要です。「お散歩に行こうね」といえば靴を履きに行ったり、「歯磨きしようね」といえば洗面所に行くなど、日ごろの様子を観察しましょう。また、まねっこをする力も大切です。大人のいった言葉を、楽しんでくり返すようなら、人への興味や関心も育っている証です。言葉は正しくなくても、声を出してやりとりが成立するようなら、コミュニケーション力ももっています。あとは、後ろから名前を呼んで振り向くかどうか、聴力をチェックしてみるのもいいでしょう。

 

Q:毎晩寝るとき、おっぱいを飲まないと寝てくれません。どうすれば上手に断乳できますか?(1歳10ヶ月)

A:お母さんの決心こそが大切。お父さんにも協力してもらって実行を

断乳は母乳以外から栄養がとれるようになる、10か月~1歳前後がチャンス。ただし、夜だけおっぱいを求める子は、それが精神安定剤になっているので、2歳ごろまでの断乳をおすすめします。断乳は母子にとってつらいこと。子どもに泣かれると、お母さんが耐えられなくてあげてしまうことがいちばん多いので、どんなに泣いても、手を握ったり、子守唄をうたったりして通します。そのときだけはお父さんに寝かせてもらうようにすると、子どももあきらめてくれます。疲れてぐっすり眠れるように、昼間たくさん体を動かしてあそぶと、心の満足感も得られ、だいたい3日間くらいで断つことができます。

 

Q:毎日、夜10時ごろまで起きています。どうしたら早く寝るようになるでしょうか?(1歳10ヶ月)

A:早く眠くなる生活を考えてみましょう

乳幼児期の睡眠は、身体や脳の機能をつくるためのもので、生後3か月ごろからは睡眠中に成長ホルモンが分泌されるようになるため、夜更かしさせず、早寝の習慣をつけさせることが大切です。

夜更かしを防ぐためには、寝る前に入浴する、本を読むなど、決まりごとをつくると、就寝時間が定まってきます。また、就寝30分前にはテレビを消し、気持ちを落ち着かせ、寝る時間になったら、部屋を暗くしてあそべない環境をつくるのもひとつの手です。昼寝は休息にすぎないので、長く寝かしすぎないよう1時間半ぐらいで起こしたり、日中は体を動かして十分あそばせるのも重要です。

記事監修

 今井 和子 先生

「子どもとことば研究会」代表。二十数年間、公立保育園で保育者として勤務。その後、東京成徳大学教授、立教女学院短期大学教授などを歴任。現在は全国の幼稚園、保育園対象の研修会で講演などを行っている。

 

『0・1・2歳の保育』2016年夏 構成/大石裕美 イラスト/奥まほみ

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