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MIKIKOさん考案の“名前がダンスになる”遊び「あいうえおなまえオノマトペ」
振付師のMIKIKOさんが10年以上温めてきたという「あいうえおなまえオノマトペ」は、「あ」から「ん」まで一文字ごとの「あわあわ」「えっへん」「わくわく」などのオノマトペと、オリジナルの振り付けを組み合わせたもの。
例えば「あいこ」なら「あ」「い」「こ」の3枚のカードを順番に並べ、イラストの動きをまねするだけで、「あいこダンス」が完成します。
今回、「あいうえおなまえオノマトペカード」と専用アプリが、『ぺぱぷんたす 008』で公開されました。

――「あいうえおなまえオノマトペカード」は、学校教育でダンスが必修化されたころ、「子どもにダンスを教えるのが難しい」という保育士や先生の声から生まれたそうですね。
MIKIKOさん 保育士さんや学校の体育の先生はダンスを習ってきた方ばかりではないのに、急にダンスが必須科目になったことで、振り付けに恐怖心というか、「覚えられないのではないか」とか「作れないのではないか」という思いがあったそうです。
そこで、「各先生がダンスを身近に感じられるような授業をしてください」という依頼があったのがきっかけです。

――最初は授業からのスタートだったのですね。
MIKIKOさん そうです。300人くらい参加する大きなお話だったので、どの人も苦手意識なくダンスに触れられて、振りを作ることや踊ることのハードルを下げるにはどうしたらいいのかを考えました。そこで振り付けを特別なものとして考えず、身近な動きや仕草を繰り返したり、つなげたりするだけでも「振り付け」が作れることを伝えられるような授業にしたいと思いました。
それをさらに身近に感じられるように、私が主宰するダンスカンパニーELEVENPLAY(イレブンプレイ)のメンバーと、「あ」から「ん」までのオノマトペに準ずるダンスの動きを作りました。ダンスは、子どもたちが見て一瞬で覚えられるような簡単な仕草にしたのも特徴です。
オノマトペを通して感情がはみ出てくるようになっていったらいいな
――ダンスにもいろいろな種類があるなか、オノマトペを選んだ理由はありますか?
MIKIKOさん 子どもたちは小学校高学年くらいになってくると、感情を表に出すことが恥ずかしくなってくると思います。
感情を出すこと自体に抵抗があると思うので、「あらあら」とか「イライラ」とか普段からなじみのある感情とついついやってしまう仕草をダンスにすることで、感情がはみ出てくるようになっていったらいいなというのもありました。

――先生向けに作られたものが、今回『ぺぱぷんたす』で公開されたんですね。
MIKIKOさん はい。『ぺぱぷんたす』の編集担当の方にお会いした際、先ほどお話しした感情の話になったんです。
子どもたちはどうやって感情を知っていくんだろう。みんな「うれしい」「たのしい」だけでなく、怒ったり、悲しくなったりすることもある。いい感情も悪いとされている感情も、どちらも自分の中にあって等しく大切なんだ、ということを、どうしたら伝えられるのだろうか。さまざまな話を交わす中で、以前作ったこの「オノマトペダンス」と『ぺぱぷんたす』がつながって、今回、このような形で公開されることになりました。
――このダンスを通して、新たなオノマトペを知るお子さんも多そうです。いろいろな仕草、ダンスを考えるのは難しくはなかったですか?
MIKIKOさん 数があるぶん、かぶらないように作るのが大変でした。それにカードだけで動きを1コマ1コマ伝えるのが、普段は映像に慣れている分難しかったですね。そこで今回は、解説的な役割として専用アプリと動画も制作しています。
体を動かして、オリジナルのダンスが作れる喜びを感じてもらえたらうれしい
――今回の企画もそうですが、MIKIKOさんにとって子どもに向けた仕事とは、どんな存在でしょうか。
MIKIKOさん 私自身、もう25年は子どもに教えることをしてきていますが、PerfumeやBABYMETALもそうだったように、小学校5年生以降に出会った子が多いんです。
今回のオノマトペダンスは、それよりも小さい幼児の子からが対象だったのですが、この年代はある意味容赦がないですよね(笑)。楽しかったら楽しいし、つまらなかったらすぐ飽きちゃうので、そこが結構ドキドキする手強い相手ではありました。でも、よく知ると、令和になった今も、童謡を歌っているし、手遊びをしている。自分の子ども時代と一緒で、根本は変わらないのだと思います。ですので、私が持っている感覚を感じ取ってくれると信じて、子どもたちに残していきたい大事なことは伝えていきたいという気持ちがあります。
――『ぺぱぷんたす』は4歳から100歳まで楽しめる体験&体感ブックです。このダンスの対象年齢もそのくらいをイメージしたのでしょうか?

MIKIKOさん 4歳よりも小さい子でも踊れると思います。それに、正しく踊るということよりも、とにかく体を動かしてオリジナルのダンスが作れるという喜びを感じてもらえたらうれしいです。
――振り付けというと正しく覚えてその通りに踊るというイメージがありますが、この企画ではそうではないんですね
MIKIKOさん そうですね。実は最初は、このカードの4つのイラストで、どこまで正しい動きを伝えられるか、苦戦していました。ですが、途中から、右から動きだしても、左から動きだしても、まったく同じ動きができなくてもいいんじゃないかと思うようになりました。正しく踊ることよりも、まずは体を動かしてみる。そして、自分でオリジナルのダンスができた! という喜びや楽しさを味わってもらえたらいいなと思いながら進めました。
――狙いのひとつでもあると思いますが、文字を組み合わせて踊るので、自分で振り付けしている気分になれるのはいいですよね。
MIKIKOさん その日のダンスが作れたらいいなと思っています。私なら「み」と「き」と「こ」で、お名前ダンスができるし、全然関係のない単語を適当に選ぶだけで振り付けが完成します。朝ダンスを決めて、一日そのダンスを踊る日にしてもいいですよね。
――なるほど、こんな風に道筋をつけてもらえると先生たちも気軽にダンスに挑戦できますね。日替わりにすれば、子どもたちも飽きずに楽しめそうです。
MIKIKOさん そうですね。誌面の撮影に協力してくれた子どもたちも、自分の名前で踊れると”達成感”を感じるみたいで、みんなものすご~く満足気でした。
「子どもがどこに満足感を持つのか」を考えてダンスを作る
――子ども向けのダンスを作る際、気をつけていることはありますか?
MIKIKOさん CMやテレビ番組からの依頼は「子どもがマネしやすいダンスを」と言われることが多いのですが、今の子どもたちはSNS等を見ているので難しいダンスが身近にあるし、習っている子も多いので、意外とチャレンジする要素が強いほうが、よかったりします。時代的にそういったさじ加減は気にするようになりました。
――それはMIKIKOさんが振付師を始めたころとは変わってきた部分でしょうか?
MIKIKOさん そうですね。言葉を覚えたての子どもだと、動物の動きに近かったり、ジャンプが多かったりするなど、反復の動きが直感的に楽しそうだと感じると思います。一方で、自我が芽生えてきて、かっこいいものやプリンセスに憧れが出てきたような子たちは「ちょっと難しいことをやれている私」に満足感を持つようなので、どこに満足感を持ってもらうかは悩みどころです。
――では、実際に子どもたちにダンスを教える際、大切にしていることや意識していることはありますか?
MIKIKOさん できた! という達成感を知ってもらうために、「ここまでやってみよう」とか「あと何回ね」などゴールを明確にしてあげることは意識しています。
あとは褒めること。正解を決めつけず、自由な発想をまず褒めてあげる。子どもを相手に教えるという先生っぽい立ち位置ではなく、同じ目線でいることも意識しています。「やるじゃん!」とか「できるじゃん!」のような声かけで、友だち感覚で接することも気をつけているところです。
ダンスを教えていると、子どもたちは鏡を見るだけですごくうれしそうなんです。鏡に映っているだけでうっとりしているような時間がだいたいの子にあって可愛いですよ。

振付師は、教え方がうまかったり、相手のムードを上手に読めたりする人が向いています
――振付師というお仕事についても教えてください。今の子どもたちにとってダンスは身近なものになっていますが、MIKIKOさんはいつから今のお仕事を目指されましたか?
MIKIKOさん 小学生のころ、父の仕事の関係で米米CLUBのライブをスタッフがいるPA卓(音響操作をする場所)で見せていただいたことで、ステージの裏側にはさまざまな仕事があることを知り、振付師という職業があることも知りました。
その後、高校生になってダンスを始め、大学生になってPerfumeに出会って振り付けをするようになり、その縁でCMや映画には“振り付け“というものがあるんだ、と知っていきました。
――現在は振付師という職業も認知されていますね。
MIKIKOさん 今は、ダンス動画をSNSにアップしたらすぐ世界に広がりますよね。そういう意味では発信するのは簡単ですが、逆に言うとどうやってオリジナルとして仕事をもらっていくかというのは難しいのかもしれません。
私の場合は、音の取り方だったりポージングが独特で日本的と言われていますが、モノマネではない自分にしかできない動きを見つけることが大事だと思います。
――自分が踊るのと、ほかの人に振りを作るのは目線が違うものですか?
MIKIKOさん 全然違うと思います。振付師は、教え方がうまかったり、相手のムードを上手に読めたりする人が向いています。たとえ踊りがそこまで上手でなくても、振付師として必要とされる人もいますよ。相手の魅力を最大限に引き出すこと、お客さんの求めていることに応えられること、といった客観視できることがとても必要になってきます。
お名前ダンスをコミュニケーションツールに! ひらがなを覚えるときにもおすすめ
――最後に、このカードのおすすめの遊び方があればぜひ教えてください。
MIKIKOさん 自己紹介の際に名前と一緒にダンスを踊ってくれたらいいなというのは、最初からイメージしていました。そして相手の名前で踊ってみるとか、コミュニケーションツールとして使ってもらえたらうれしいです。
あとは、ひらがなの読み書きを覚えるのと一緒に使うのもいいですね。「あ」は「あらあらの”あ”」だよと言いながら踊ってみると、机の上で勉強するよりも頭に入ってきやすいのではないでしょうか。
ほかにも、「今日の気持ちはコレ!」とダンスで表現し合ったり、踊ったあとでどのオノマトペだったのかを当てっこしたりしてもいいと思います。ぜひお試しください。
――本日はありがとうございました!
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Perfume、BABYMETALの振付・ライブ演出をはじめ、Rhizomatiksとの協働による革新的な舞台表現で世界的に活躍。「テクノロジーと身体表現の融合」をテーマに30都市以上で作品を上演し、近年は羽生結弦「ICE STORY」シリーズの演出も手がける
この記事を書いたのは
子育てや教育、エンタメにまつわる方々への人物インタビューを多く取材・執筆。大人はもちろん、子どもたちから話を聞くのも好きです。3兄弟を育てる母でもあり、同じように子育てに向き合っている方たちが共感できたり、悩みや困りごとに寄り添えるような記事を発信しています。