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ひらめきから生まれた『蚊るた』は、言葉の面白さにも注目!
――『蚊るた』は、最初に『ぺぱぷんたす』に掲載されたのですよね。このアイデアはどのように生まれたのでしょうか?
亀山さん:『ぺぱぷんたす』には創刊号から皆勤賞で参加させてもらっています。創刊号の打ち合わせのときに、アートディレクションを担当されている祖父江慎さん(※)が僕たちのところに来てくださって、打ち合わせをしたのですが、めちゃくちゃ面白い打ち合わせをする方なんですよね。毎回の打ち合わせがとにかく楽しいので、祖父江さんを喜ばせたい、驚かせたい、という気持ちでいろいろなアイデアを出してきました。

あるとき、祖父江さんから「ツペラのかるたが見てみたいな」と言われたんです。それで数秒考えて浮かんだのが今回の『蚊るた』です。漢字の「蚊」が当てはまることや、叩くことの面白さなどのアイデアがどんどん出てきて、「いいね!」と一気に盛り上がりました。
※祖父江慎さん:ブックデザイナー・アートディレクター。2026年3月15日に66歳でご逝去されました。
――一瞬のひらめきから出来上がった作品なのですね!
亀山さん:絵本の制作などでは構想に5年くらいかかったものもありますが、『蚊るた』は瞬発的でした。とはいえ、「あ」から「ん」までのすべてに言葉と絵を当てはめていくのはかなり大変で、中川と2人でずっと考えてましたね。

初めは『ぺぱぷんたす』での掲載でしたが、これはぜひ箱に入ったものを出したいという気持ちが強く、いろいろな方の協力で今回商品化にすることになりました。箱のデザインも祖父江さんがラフを考えてくださったものを元に制作しています。
――特にお気に入りの絵柄や言葉はありますか?
亀山さん:「てをだすな! おれが あいつを やっつける」や「もすきーと えいごでいうと かっこいい」などは気に入ってますね。「これも入れたい、あれも入れたい」と欲張ってしまい、最終的にはちょっと強引に当てはめた部分もあります(笑)。

でも、それはそれでシュールで、面白いものになったと思います。実際にかるたで遊ぶと最後まで読み札を聞かずに取ってしまいますが、ぜひ一度文字だけでも読んでもらえるとうれしいです。
――「蚊るた」ならではの魅力や遊びかたを教えてください。

亀山さん:とにかく思いっきり叩いてください。「叩く」ということに意味があって、そこに他のかるたとは一線を画す面白さがあると思っています。大人から子どもまで、みんなで本気で叩きまくってほしいですね。取ったかるたの枚数ではなく絵札に描かれた蚊の数を競ったり、「ぼうず」ならぬ「ぼうふらめくり」という遊び方もあります。

あとは、付録の「蚊に刺されシール」もリアルにできているのでぜひ使ってみてください。
顔を自由に書き込んで仕上げる『ぺぱぷんたす総線挙』は思わず笑ってしまう要素が満載
――次は、『ぺぱぷんたす 008』に掲載されている『ぺぱぷんたす総線挙』についてお伺いします。選挙ポスターをテーマにされたのはなぜですか?
亀山さん:僕は物事を斜めから見る人間なので、昔から選挙ポスターってちょっとかっこ悪いところが面白いなと思っていたんです。アートの仕事をしているからこそ、選挙ポスターに対して物申したくなる気持ちもあって(笑)。そこから「選挙ポスターを自分たちで作ったら面白いんじゃないか」というアイデアが浮かびました。架空の人物の名前やプロフィールを考えるのが楽しかったですね。「まがった世をまっすぐに!!」というキャッチコピーだったり、日本剛毛党の「墨尾すずり」とか、チーズタッカルビが好物の「暮井よん」とか、考え出したらどんどん面白いものが出てきました。

僕が絵を描いて、デザイナーさんがポスターのデザインをしてくれたのですが、かっこよく仕上げつつ、おしゃれすぎてもいけないので、とても難しかったと思います。
――選挙ポスターの顔を自分で描くというのは楽しいですよね。

亀山さん:僕たちの作品の中に、自由に顔をつくって遊ぶ『かおノート』という本がありますが、選挙ポスターをこういった形に落とし込めたのはよかったですね。『ぺぱぷんたす』はアイデアを自由に出しやすいですし、こういったものとの相性がすごくいいと思います。
小学校時代、ハプニングのあった絵が金賞を受賞! ものづくりの感性はどんなふうに育った?
――さまざまなものづくりに対する感性は、どんな子ども時代を経て育まれたのでしょうか。
亀山さん:記憶にはないのですが、幼稚園の頃から絵を描くことは好きだったみたいで、紙からはみ出しても絵を描いていたそうです。以前に『おとなになるのび太たちへ』という本の中でも書いたのですが、小学校1年生のときに図工の時間に絵を描いていて、絵の具のバケツの水を出来上がった絵の上にこぼしてしまったんですね。それでびちゃびちゃになった絵を拭いて、外で干して、ドライヤーで乾かして…それをそのまま提出したら金賞に選ばれて三重県立美術館に飾られた、ということがありました(笑)
水をこぼしたことは言えないまま、親から「才能がある!」と言われて絵画教室に通うことになったのですが、実は水泳やサッカーの方が好きだったんです(笑)。ただ、高そうな道具を買ってもらった手前やめられず…でも絵を描けば描くほど皆が喜ぶので3年ほどは絵を続けていました。大きなキャンバスに描いた絵は今も手元に残っています。
その後は絵を描くのは辞めてしまって、高校の選択科目でも美術ではなく書道をとっていましたね。水泳やサーフィンもやっていました。進学校に通っていましたが、面白い大学に行きたいなと思って美大を目指すようになりました。
――子どもの頃好きだった絵本などはありますか?
亀山さん:実は子どもの頃から本を読むのはあまり好きではなくて、図鑑を眺めることが多かったです。特に海の生き物の図鑑が好きでしたね。絵本で記憶に残っているのは『海(加古里子 文・絵)』と『しょうぼうじどうしゃ じぷた(渡辺茂男 作/山本忠敬 絵)』の2冊です。『海』は今もときどき見ていますが、新たな発見があったりします。
子どもの頃好きだったのは、新しい遊びを考えたり、物事を違う角度から見たりすることですね。今もそういった感覚で絵本を作っていたりします。言葉を扱う仕事をしていますが、長い文章を書くのは苦手で、3、4行で人を笑わせるような文章を書くのが好きなので絵本向きなんだと思います。
子どもたちが大きくなっても、一緒に過ごす時間は楽しい
――お子さんの成長とともに、子育てに対する考え方に変化はありましたか?
亀山さん:娘は大学生、息子は中学生になり、「育てている」という感覚はもうなくなりましたね。でも、今でも外出先で家族で絵しりとりをしたり、新聞に落書きをして誰がいちばん面白いか、のような遊びをしたりすることがあります。この間思いついたのが、例えば一人が「山本しんいちろう」のような名前を言って、他の3人が名前からイメージする絵を描き、誰がいちばんそれっぽいか決めるというゲーム。これはめちゃくちゃ面白かったです(笑)。
――以前の取材では「自分たちが楽しんでいる姿を見せることで、子どもが好きな方向に進んでくれたらいいな」とお話しされていました。
亀山さん:今も同じスタンスです。娘はフランス語を専攻し、息子はラグビー一直線。僕たちは結構面白いことをやっていると思います。ただ、子どもたちはあまり興味を持ってくれませんし、アトリエにもほぼ来ないです(笑)。でも、僕たちの活動は温かく見守っている感じはあります。

――とはいえ仲のよさそうなご家族の様子がお話から伝わってきますね。
亀山さん:娘は恋愛の話でも何でも話してくれますね。最近は子どもたちも忙しくなり、家族旅行の機会は減ってきましたが、今年のGWに三重県の伊賀で忍者体験をしに行ったのがとても面白かったです。奇跡的に皆の予定が空いた日に、車で2時間圏内の温泉宿をあれこれ探して唯一見つけた場所だったのですが、思いがけずいい出合いになりました。家族そろって出かけられる機会というのは多くないですが、「またみんなでどこかへ行きたいね」「次はどこへ行く?」という話をするのは楽しいですね。
――ありがとうございました。作品の話から、子ども時代、子育てのお話までたっぷり伺いました。9月からは、亀山さんの母校である武蔵野美術大学で、tupera tuperaの展覧会が開催されます。ぜひ足を運んでみてください!
MIX WORKS —— tupera tuperaの仕事2002–2026
- ●会期 2026年9月14日(月)〜10月25日(日)
※特別開館日:9月20日(日)、10月11日(日)、10月25日(日) - ●時間 10:00〜18:00 (土・日曜日、祝日、特別開館日は10:00‒17:00)
●休館日 9月27日[日]、10月4日[日]、10月18日[日]
●入館料 無料 - ●会場 武蔵野美術大学美術館 展示室2 アトリウム1・2
- 詳細はこちら
かるた史上最高にたたきがいのある蚊るた!
いい音たてて、たたきまくれ!
紙育MOOK『ぺぱぷんたす』に収録され、「かるた史上最高にたたきがいのあるかるた」としてSNSでも話題になった、tupera tuperaの「蚊るた」が愉快なキットになりました。
遊び方はかんたん。読み札の内容にあった絵札をすばやく、なおかつ思いっきりパチーン! たたいて、とって、大さわぎ。老若男女、思わず夢中になってしまう、痛快な蚊るたです。
でも、それだけではありません。蚊るたはシートから自分で切り離し、箱や蚊取り線香も組み立てる、ぺぱぷんたすBOOKならではのしかけつき。ひと手間かけて完成させるからこそ、愛着もひとしおです。
おまけに、自由に使える蚊&蚊に刺されシールもついています。
さらに、取り札をつかった「「ぼうず」ならぬ「ぼうふらめくり」や、絵札の裏で勝負する「とった蚊、なんびき?」など、へんてこで楽しい遊びもいっぱい。
みつける、たたく、めくる、つくる、遊ぶ。
tupera tuperaらしいユーモアと、ぺぱぷんたすらしい「手を動かす楽しさ」がギュッとつまった、何度も遊びたくなる「蚊るた」。アートディレクションは、祖父江慎。
紙のワクワクがぎゅっ。体験型ブック第8弾
紙でもっとワクワクすることを!
めくる。おる。かく。さがす。さわる。なでる。かんじる。うごかす。おどる。
紙ってこんなにおもしろかったんだ!
体験すること、体感することを大事に作り続けている、紙育MOOK『ぺぱぷんたす』の008号。
今回も、絵本作家、グラフィックデザイナー、漫画家、演出振付家、映像作家など、さまざまな表現者たちが集まりました。
絵本の世界に入り込んだり、絵を描いたり、折ったり、
探したり、動かしたり、ページをめくるたびに、新しい遊びや発見が待っています。
うまくやることが目的じゃない。
正解を見つけることが目的でもない。
「なんかいいな」「おもしろいな」「やってみたいな」「すきだな」
そんな気持ちを大事にしながら、紙という不思議な素材と
たっぷり遊ぶための1冊です。
知ることよりもまず感じること。
考えることよりも、まず手や身体をうごしてみること。
子どもも大人も自由に楽しめる、正解のない体験型MOOK。
それが『ぺぱぷんたす008』です。
アートディレクションは、ブックデザイナーの祖父江慎。
お話を伺ったのは
亀山達矢と中川敦子によるユニット。2002年より活動を開始。
PHOTO SHINGO MITSUNO
この記事を書いたのは
音楽大学卒業後、出版社勤務を経て、現在はフリーライター・編集者として活動中。小学生2人の母。主に教育系、不登校への取り組み、著名人インタビューなどを執筆しています。子育ての中で感じた疑問や発見を活かしながら記事を作成することを心がけています。
