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偏差値30からのスタート、40歳の税理士の合格まで
――石川さんはMENSA会員や税理士として活躍されていますが、昔から勉強は得意だったのですか?
石川さん: いいえ、僕のスタートは「偏差値30」です。高校は名前を書けば入れるような学校で、「九九さえ言えれば卒業できる」と有名でしたが、九九の8の段が言えないまま卒業した子もいました(笑)。
よく「ビリギャル」の話題が出ますが、彼女たちはもともと進学校に通っていて、潜在的な頭の良さがあったりしますよね。僕の場合、本当にゼロからのスタートでした。
――その後の進路は?
石川さん: 大学も夜間の、名前さえ書けば入れるようなところでした。卒業後は建設会社に就職したのですが、そこがかなりのブラック企業だったんです。経理の仕事をしていたのですが、現場の土木の方からは「誰のおかげでメシが食えていると思ってるんだ!」と怒鳴られ、営業の方からは「デスクワークは楽でいいよな」と嫌みを言われる毎日で……。
当時は転職なんて珍しかったから、会社を辞めるには、独立するしかない。それには税理士になるしかない。そこで30歳のときに会社を辞めて、勉強に専念することにしました。

――合格までの道のりを教えてください。
石川さん: 34歳までの4年間は無職で、妻に養ってもらっていたんです。34歳で会計事務所の時給1,000円のパートを始めて、35歳で「建設会社を立ちあげるから手伝ってほしい」と声をかけていただき、働きながら勉強を続けました。
40歳のとき、ついに合格しました。10年かけて(笑)。
点が低い子は「勉強のやり方を知らない」「記憶力が悪い」
――税理士試験に合格され、2026年2月にはMENSA(高IQ団体)にも合格されています。もともと「地頭(IQ)」が良かったのではないかと思ってしまいますが……。
石川さん: いえ、後天的なものです。点数が取れない子って、いくつか理由があるんです。1つ目は勉強のやり方を知らないこと。
たとえば、僕は大学受験のとき、日本史で「石器時代・縄文時代」ばかりやって、現代史までたどり着かずに受験当日を迎えたんです(笑)。
でも、正しい勉強法の本を読んで、過去問を中心に進めるやり方に変えた。そうしたら、税理士試験に合格できました。

――2つ目は何でしょうか。
石川さん: 記憶力が悪いことです。学校のテストや受験は「記憶力がいい子」が有利にできています。点数が悪いと「頭が悪い」と思いがちだけど、実は単に「記憶力が悪い」だけ。
記憶力が良くない子には、多様な目線で物事を考えられる子が多い。1つのことを聞いたときに、他のアイデアが3つくらいポンポン浮かんでくる。社会に出てから花が開くのは、このタイプです。
――これからの「AI時代」において、求められそうな能力ですね。
石川さん:指示されたことを指示通りにこなすだけの作業は、これからほぼすべてAIがやるでしょうね。人間が行う仕事は、大きく次の3つに分解できます。
- 作業すること(情報集めやコピーなど。AIが得意な領域)
- 思考すること(アイデアを出すこと。AIと一緒に壁打ちして広げる領域)
- 決断すること(それが良いかどうかを決めること。人間しかできない領域)
これからは、ゼロから新しい価値を生み出す「発想力」と、自分自身で決める「決断力」という、クリエイティブな能力を持つ人が生き残っていく時代になります。
AIに負けない「ゼロイチの発想力」「決断力」を鍛える

――子どもの「ゼロイチの発想力」を鍛えるにはどうすればいいでしょうか?
石川さん:1つ目は、答えがわからないことをあえて考えてみる。
例えば、公園でアリがせっせと巣に運んでいるお菓子のクズを見て「あのアリは家族の誕生日のためにごちそうを運んでるのかな?」と考えてみたり、家にある文房具を見て「消しゴムと鉛筆って、実は夜中に会話してるんじゃない?」と想像してみたりする。正解を探すのではなく、「こうかもしれない!」と自由に仮説を立てる習慣です。
2つ目は、「もう一つの目線」を持ってみる。
『三匹の子豚』の物語も、僕たちは普段豚しゃぶを食べたりしているから、実はオオカミ側かもしれない。『ウサギとカメ』だって、本当にフェアなら寝ているウサギを起こしますよね(笑)。作者や相手の立場になって別の視点で考える練習になります。
3つ目は、あえてスマホを手放す時間を作る。
今の子どもは通学中も待ち時間もお風呂でも、ずっとスマホで動画やSNSを見ていて「思考する時間」が奪われています。「5分だけ散歩する」「30分だけスマホを見ない」など、自分で考える空白の時間を作ってあげるといいですね。
――3つのポイントがあるのですね。「決断力」を育てるためには、親はどうしたらいいのでしょうか。
石川さん:思想家のルソーの言葉に「子どもを不幸にする一番確実な方法は、欲しいものを何でも与え、先に全部やってあげることだ」というものがあります。
「かわいそうだから」とすぐ手を差し伸べるのではなく、転んだらじっと我慢して見守る。そして、小さなことから子ども自身に決めさせることが大切です。
例えば、「自分の靴の脱ぎ履き」や「ランドセルの中身の準備」は必ず自分にやらせる。たった1つのことでも「自分で決断して行動した」という経験の積み重ねが、AI時代をたくましく生き抜く軸を作っていきますよ。
平均70点より強いのは「1個だけ100点」

――とはいえ、やっぱり子どもの成績が悪いと、不安になってしまいそうです。
石川さん:今のテストの点数は、将来の幸せとまったく関係ない。僕自身、中学校の成績はほぼ最低ランク(A〜H評価中の「G」)でした。でも大人になった今、東大出身の人たちと一緒に仕事をしています。
それでもテストの点数を上げたいなら、コツは予習を優先することです。
――復習ではなく、予習ですか?
石川さん:はい。テストで点が取れない子は、授業で初めて聞いて理解できず、遅れを取り戻そうと復習に必死になります。でもこれは追いつくための勉強なので苦しいんです。
事前に教科書をパラパラ見て「これ知ってるぞ」という状態で授業を受けると、「俺、わかってる!」という優越感が生まれて勉強が圧倒的に楽しくなります。楽しければ自発的にやるようになり、結果として点数も伸びていきます。
あとは、過去問を解くこと。あらかじめ答えを見ながら確認する(認識する)だけでもいいんです。
――それでもテストの点数が取れない子は、どう生き残ればいいでしょうか。
石川さん:これからの時代は、平均的に70点を取れる子よりも、1個だけ100点が取れる子が勝ち残っていきます。その能力は、4つに集約されるんですね。
まずは、専門的能力(ひとつのことに過集中できる力)。「ずっと昆虫を見ている」「映画ばかり観ている」「石のことにだけはやたら詳しい」といった没頭力です。親は「勉強もしなさい」と焦るかもしれませんが、AI時代はこのオタク気質こそが強みになります。さらに「英語×会計」のように、掛け合わせることで唯一無二の価値になります。
次に、コミュニケーション能力。AIが進化しても、人と人とのぬくもりや愛嬌、対面でのやり取りは決してなくなりません。人に愛される力、相談できる力はそれだけで強力な武器になります。
――残りの2つは何でしょうか。
あとは、リーダーシップ。「ガキ大将タイプで大変…」と思う子でも、人を巻き込む力や場を引っ張る力は立派な才能です。
最後に、クリエイティブ能力。これはセンスではなく後天的な技術です。「既存のものに何かを足せないか」「大きく(小さく)できないか」と常に切り口を変えて考える。例えば「缶入り煎茶」を「お〜いお茶」に変えたり、「モイスチャーティッシュ」を「鼻セレブ」にネーミングチェンジして大ヒットさせたりするように、量を出しながら変化を起こす発想力です。
「テストの点数が平均以下だからダメ」ではなく、この4つの力のうち、どれか1つでも芽があれば、安心して伸ばしてあげてほしいですね。
AI時代を自分らしく、たくましく生き抜く道しるべになりますよ。
お話を伺ったのは
明治大学客員研究員、建設会社総務部長、税理士、出版コンサル、著者など9つの仕事を掛け持ちする時間管理の専門家。メンサ会員。ビジネス書累計34冊執筆。
残業ばかりしていた生産性の上がらない日々に嫌気がさし、一念発起。
ビジネス書やセミナー受講によりタイムマネジメントのノウハウを取得、実践することで生産性を下げず残業を減らす仕事術を確立した。
自ら習得した「時間管理術」をベースに、生産性向上の研究を日々続けている。
この記事を書いたのは
三菱UFJ銀行の法人営業、ユーザベースのセールス&マーケティングを経て独立。ビジネスやマネーの取材記事から、恋愛小説まで幅広く執筆。2025年よりフランスに拠点を移し、フランス企業の日本進出支援(ローカライズ)やフィクションの翻訳にも携わる。3児の母。
X:@yel_ranunclus
Instagram:@ayabemato
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