ほめられる子ほど能力も思いやりも育つ!500組の親子の実証実験で明らかになった、幼少期に大事な関わり方とは

子どもにはたくましく生きる力を身につけてほしい。それには幼児期の親子のかかわり方が影響しているようです。子ども自身がもっている能力を十分に引き出すにはどうすればよいのでしょうか。研究結果に基づいた、ほめ方・かかわり方の大切なポイントをお伝えします。

 

ほめられる子ほど能力も思いやりも育つ

「子どもはほめて育てるのが大切」とよく言われますが、これは科学的にも証明されています。私たちの研究チームでは、500組の親子を対象に、生後4か月から子どもがどのように成長していくかを観察しています(※)。その結果、親からたくさんほめられている子どもは心身の発達が順調で、日常の行動においてできることが多かったり、周囲の人と上手にコミュニケーションがとれる高い社会性を身につけたりしていることがわかってきました。つまり、おうちの方がたくさんほめているかどうかが、子どもの能力や心の成長に影響しているのです。

※このページで紹介した研究では、親子に生後4か月から42か月まで(一部は7歳まで)定期的に実験室に通ってもらい、独自の「かかわり指標」をもとに親子の様子を5分間にわたって観察。80項目のチェックリストで行動の有無を評価して、親のかかわり方と子どもの発達にどのような関係があるかを調べています。

がんばっている過程を認めることを心がけて

何かをやり遂げたときしかほめてもらえないと、子どもは「成功しないと自分には価値がない」と感じ、自信をもちにくくなってしまいます。一方、失敗することがあっても、「自分でやってみたんだね」「ここまでよくがんばったね」と意欲やがんばりを認めてもらえると、子どもは「失敗しても大丈夫なんだ」と自信をもって何事にも挑戦できるようになります。うまくできたときだけ「ほめる」のではなく、がんばっている過程そのものを「認める」ことが、子ども自身がもっている力を引き出すことにつながっていくといえるでしょう。

 

ほめることと社会能力の発達

おうちの方からたくさんほめられている子どもは18か月の時点で社会能力が高く、その後も高い能力を維持する傾向に。この傾向は42か月以降も続き、7歳の時点でもおうちの方がよくほめていると子どもの社会能力が高いことが明らかになっています。

 ※ここでの社会能力とは、それぞれの月齢での発達を知る目安となる「さじを使って食事ができる」といった生活に必要になる技術や、「話しかけられると5秒以内に応答できる」といったコミュニケーション能力などを総合した指標。項目ごとに「該当する」なら1点、「該当しない」なら0点として点数化し、その合計点数が高いほど、多くの技術や能力を獲得していることになります。

ほめる効果がさらにアップ!幼児期に心がけたいかかわり方

安梅先生たちの研究によると、ほめることに加えて、おうちの方が日ごろの子どもとのかかわり方を少し工夫すると、子どもが本来もっている力をより引き出せるようになることが明らかになっています。ここでは、幼児期に特に心がけたいポイントをご紹介します!

特別な体験よりも普段のかかわり方が大切

子どもの力を引き出すには、特別な体験をさせるよりも、普段のかかわり方の「質」を高めることが大切です。子どもが描いた絵を見せにきたとき、おうちの方が笑顔で反応すれば、特別なほめ言葉はなくても愛情は伝わるので子どもは満たされます。逆に、おうちの方がスマホなどに気を取られて、口先だけで「上手だね」と言うようなやり取りが続くと、子どもは愛されているのか不安になってしまうことも。子どもがおうちの方を必要としているときには、しっかり目を見てコミュニケーションをとり、気持ちを受け止めていきましょう。

幼児期のかかわり方が6歳以降の発達にも影響

幼児期におうちの方や周囲の大人がどのようなかかわり方をするかは、今の時点の能力だけでなく、学童期(6歳~12歳)から思春期にかけての発達にも影響を与えます。

研究結果の中で特に関連性が高かったものとしては、幼児期に「おうちの方が子どもをたたかない」「行動をむやみに制限しない」かかわり方をしている場合、子どもが小学生になってからも社会性が高く、周囲の人とうまくコミュニケーションをとれる傾向が見られることもわかりました。そのほかに、下に挙げたようなことも明らかになっています。

今日からでも、ほめることに加えて、左のページで紹介するようなかかわり方を習慣にしていきましょう。「こうしなければ」と厳密に考えすぎず、親子の時間をより楽しいものにするつもりで取り組んでみてくださいね。

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母親の育児不安が強いと子ども自身も心配性に

幼児期におうちの方に子育ての相談者がいないと、学童期に子ども自身が「なんとなく心配だ」と感じやすくなるという調査結果も。特に母親の不安を解消することが、子どもの安心につながります。

少しだけ難しいことをやり遂げてきた子は「やればできる」と思う

幼児期にその子ができることよりも少し難しい課題を与えられ、工夫してやり遂げる経験をしてきた子は、思春期になっても「自分はやればできる」という感覚があり、現状への満足感が高い傾向に。

ふれあい体験が多い子は心が安定しやすい

幼児期におうちの方と歌ったり、本を読んだりする経験が多いと、6歳以降も心が安定しやすいことが判明。逆にこうした経験が少ないと「イライラする」「あまりがんばれない」と感じやすくなります。

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