佐藤健、天海祐希、伊藤英明!医療ドラマラッシュの冬、“キャラ立ち”ドクターたちの魅力を徹底解剖

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1月にスタートした冬の連続ドラマは、なぜか医師ものばかり。「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)、「トップナイフ-天才脳外科医の条件-」(日本テレビ系)、「アライブ-がん専門医のカルテ-」(フジテレビ系)、「病室で念仏を唱えないでください」(TBS系)と、日曜と水曜を除き毎日のように医療ドラマが放送されています。その中から上記4作をセレクト。人気キャストが演じる4人の医師の魅力を、それぞれ4つの要素で分析しつつ紹介します。

医師と看護師と患者のドラマがたくさん作られる理由とは?

それにしても、なぜこんなに多数、医師や看護師たちのドラマが作られるのでしょう? 作り手の立場になって考えてみると、家族の形や恋愛観が多様化する2020年代、そこに共通項を見出すのは難しいのですが、病院に行かない人はほとんどいません。捜査ドラマに出てくる刑事と話したことがない人は多いけれど、医師の診察を受けたことがない人はいない。医師と看護師と患者の物語は、誰もが共感できる最大公約数の題材になっているのです。さらに、患者を救うという使命を背負った医師はヒーローとして描きやすく、共感も得られやすい。ここ数年、連続ドラマの年間トップ視聴率を獲得しているのは「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)ですが、大門に続くスーパー医師が、この中から誕生するかも!?

佐藤健が演じるどSのイケメン医師がデレるのはいつ?

「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)の天堂浬(佐藤健)

医療スキル ★★★

診察スキル ★★☆

リーダーシップ ★☆☆

リア充度 ★☆☆

天堂は心臓手術などを行う循環器内科の医師でエリート。患者には優しく、誠実に向き合い、しかも“顔がいい”ので、新人看護師の七瀬(上白石萌音)は天堂にひとめぼれし、彼を追いかけて循環器内科に入ってきました。しかし、天堂は仕事のできない看護師には容赦がなく、七瀬のことも「どけ、岩石(動けない邪魔者という意味)」と全否定する。そう、彼は“魔王”と呼ばれるどSでもあったのです。それゆえにチーム内でも恐れられていて、リーダーシップがあるとは言えませんが、患者に何かあったときは一番頼りになる存在ではあるようです。佐藤健さんは、彼の心をつかむのはなかなか難しそうと思わせる天堂をクールな表情で、また、時に熱く演じています。

プライベートでは、なにしろ顔がいいので、モテないわけはない天堂ですが、過去に同期の医師だった恋人を亡くし、現在は彼女を作る気がない様子。実の姉と気楽な2人暮らしをしています。このまま七瀬が彼の恋人の座に収まることもありえる!?  第4話(2/4放送)でも、天堂は自分をかばってケガを負った七瀬のリクエストに応えてキスをし、「これは治療だ」と“ツン”を装っていましたが、完全に“デレ”る日も近そうです。原作は円城寺マキによる同名の少女漫画(小学館 プチコミックフラワーコミックスα刊・全7巻)だけに、その瞬間をドラマティックに描いてくれそうです。

「恋はつづくよどこまでも」TBS系列 火曜夜10時から放送

原作コミックはこちら

愛する娘を手放してでも世界最高レベルを目指す女性医師

「トップナイフ-天才脳外科医の条件-」(日本テレビ系)の深山瑤子(天海祐希)

医療スキル ★★★

診察コミュ力 ★★☆

リーダーシップ ★★☆

リア充度 ☆☆☆

天海祐希さん演じる深山は脳神経外科医。優秀で、手術も上手く、部長からチームのまとめ役を任されていますが、同僚たちの面倒を見るのはそんなに得意ではない様子。世界屈指の腕を持つがオペしかしない執刀医(椎名桔平)、成績優秀だが実務では役に立たない新人医師(広瀬アリス)、生意気なくせにメンタルの弱い30代医師(永山絢斗)と、クセの強いメンバーに手を焼いています。彼らが問題を起こすと「またか」とばかりに手で顔を覆ったり男性医師をとっちめたりする天海さんのコミカルな演技が笑いを誘います。そんな職場ですが、深山にはベテランとして積み重ねてきた経験と、世界最高の脳神経外科医、つまりトップナイフになるという高い志があり、常に前向きに仕事に取り組んでいます。

プライベートでは離婚経験があり、元夫が引き取って育てた娘はもう高校生。その娘に対しても「(忙しくて離婚したのは)トップナイフを目指すため。それが私の仕事。それは捨てられないの!」と言い放ちます。ひと言、さびしい思いをさせたことを謝ってもいいんじゃないかとは思いますが、娘としても、そこまではっきり言われると納得するしかないでしょうね。

折しも受験シーズン。現実には、いくつかの医科大学の入試で女子受験生の点数が引かれてきたという不正が明らかになっているだけに、女性医師としてトップを目指す深山を応援したくなります。

「トップナイフ」日テレ系列 土曜夜10時から放送

朝ドラヒロインが演じる、がん患者に寄り添う誠実な専門医

「アライブ-がん専門医のカルテ-」(フジテレビ系)の恩田心(松下奈緒)

医療スキル ★★☆

診察コミュ力 ★★★

リーダーシップ ★★☆

リア充度 ★★☆

松下奈緒さんが演じる恩田心(おんだ・こころ)は腫瘍内科医。日本ではまだ少ない、がんの専門医です。内科医なので外科医のように、がん切除手術はしないけれど、抗がん剤の治療や緩和ケアなどをトータルで診るそうです。それだけに患者の心のケアやインフォームドコンセント(治療方針を説明した上で患者が治療法を選択すること)は丁寧にしなければならず、コミュ力が問われます。心はもともと奨学金で医学部に進んだほど志のある医師で、人にも信頼されるので、この仕事にはぴったり。「ゲゲゲの女房」で朝ドラヒロインを経験した松下さんならでは好感度の高さで、もし自分が、がんになったら、心のような医者に診てもらいたいなと思わせます。

プライベートでもハンサムな小説家の夫と結婚してかわいい息子にも恵まれ、リア充度は高かったのですが、夫が転倒事故にあって緊急手術後、意識不明の状態に。第5話(2/6木曜放送)では、ついに夫が命尽きてしまいます。夫の死というだけでも人生のたいへんな試練なのに、実は友人の外科医・薫(木村佳乃)は夫の手術で医療過誤を起こしていたという裏事情があり、その衝撃的な真実を心がいつ知るのかということが気になります。

「アライブ」フジテレビ系列 木曜夜10時から放送

 

関わったすべての患者を救おうとする熱血“僧医”がピンチに!?

「病室で念仏を唱えないでください」TBS系)の松本照円(伊藤英明)

医療スキル ★★☆

診察コミュ力 ★★☆

リーダーシップ ★☆☆

リア充度 ☆☆☆

「ドクターなのにお坊さん!? 」というビジュアルのインパクトが強いのですが、伊藤英明さん演じる松本のようなチャプレンと呼ばれる病院付きの僧侶、つまり“僧医”は実在するそうです。松本は救急車で運ばれてくる患者を処置する救命医であり、「千手観音のようにすべての命を救う」というのが信条。とっさの判断も的確なので、命の危険にさらされているときは頼れる医師と言えそうです。ただ、臨床宗教師(僧侶)としての活動となると、タイトルどおり「病室で念仏を唱えるなんて、縁起でもない」と嫌がられるし、説法をしてかえって反発されてしまうことも。たしかに、もし自分が患者だったら、いきなりお坊さんの言うことを聞けるかというと微妙です。

ただ、そんな状況でも患者に関わることをあきらめないのが松本。「恋つづ」の天堂や「トップナイフ」の深山なら踏み込まない患者の事情にまで踏み込んでいます。第4話(2/7金曜放送)では、松本はある小学生男児に出会い、少年がケガをしていることを不審に思いますが、さらにその姉が病院に運ばれてきます。姉弟を傷つけたのは誰なのか? 許せない相手に出会ったとき、僧侶として松本はどうするのか? 注目の展開になりそうです。

ふだんの松本は僧ゆえにリーダーシップもありそうですが、その実態は遅刻常習犯だし、エロ本の袋とじを集めていることがバレているし、救命チームの中では完全に突っ込まれ役。周囲に信頼はされているけれど、そんなにリスペクトされている感じはしません。恋愛経験については不明。こやす珠世による同名の原作漫画はビッグコミック増刊号(小学館)にて連載中なので、ドラマがどんな結末になるのかも気になります。

「病室で念仏を唱えないで」TBS系列 金曜夜10時から放送

原作コミックはこちら

 

今回取り上げた4作品を始め、今期の医療ドラマは、医師の仕事や治療法についてリアルに描いており、どれも説得力があります。リアル路線だけに、すべての患者が助かるわけではなく、時に悲しい展開にもなってしまいますが、ドラマを通して生と死について考える良い機会になりそうです。

 

文/小田慶子

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