高畑充希と山崎賢人の凸凹ラブコメディ『ヲタクに恋は難しい』 【親子で観たい映画】

人気俳優の高畑充希と山崎賢人が、ふじたの同名WEB漫画の実写映画化作品『ヲタクに恋は難しい』で、意外にも初共演を果たしました。2人が演じたのは、隠れ腐女子のOL・桃瀬成海と、同じ会社で働くゲームヲタク・二藤宏嵩という、かなり濃いキャラクターのカップル。猪突猛進型のヒロインと、クールで不器用な男子による前途多難な恋模様が、爆笑必至の映画となりました。

マンガやアニメ、BLをこよなく愛する腐女子でありながら、普段はその本性を隠している桃瀬成海（高畑充希）。彼女がヲタ話を炸裂させられるのは、幼馴染でイケメンなのに、重度のゲームヲタクである二藤宏嵩（山崎賢人）と会っている時のみです。ある日、成海が男運の無さを嘆いていると、宏嵩から「ヲタク同士で付き合えば快適なのでは？」と提案され、二人は恋を見切り発車させてしまいました。

設定からしてコメディの香りがプンプン漂ってくる本作ですが、メガホンをとったのが『斉木楠雄のΨ難』（17）や「銀魂」シリーズで知られるコメディの帝王、福田雄一監督ときたら、タダではすみません（笑）。ヲタクネタをたっぷりと仕込みつつ、なんと原作には皆無な、ぶっとびのミュージカルシーンをぶち込んできました。さすがは福田監督！

高畑充希と山崎賢人のミュージカルシーンがハートに響く

ひと足先に、2018年にフジテレビ“ノイタミナ“枠で放送されていたアニメ版「ヲタ恋」。映画版の高畑さんたちはまさに原作コミックやアニメ版に負けずとも劣らぬディープなキャラクターを作り上げていますが、なんといっても特筆すべきなのはミュージカルシーンでしょう。

「ピーターパン」をはじめミュージカルで名を馳せてきた高畑さんの歌唱力は言うまでもないですが、山崎さんの知られざるエモーショナルな歌声にも、きっとハートを射抜かれます。特に、高畑さんの「星よ教えて」や、山崎さんの「僕に何ができるのだろう」というバラードは、実にロマンティック。

また、ヲタク同士の恋愛を描く上で、リアリティをとことん追求した福田監督。声優アイドルのライブシーンでは、人気声優・内田真礼が本人役で出演し、作曲・鷺巣詩郎、作詞・及川眠子による書き下ろしの楽曲「恋の発熱」を熱唱します。

アニメ好きな子どもと大いに盛り上がれるコスプレシーン

いろいろなアニメのキャラクターのコスプレーヤーが登場する本作なので、お子さんやママがアニメ好きなら、大いにテンションが上がります。なかでも一番目を引くのが、まるでフィギュアなみの美バディを誇るコスプレーヤー・小柳花子。菜々緒演じる花子のコスプレ姿は、パーフェクトな仕上がりです。

そして、ヲタク的なネタが多数散りばめられた本作ですが、ただの爆笑コメディではなく、最終的に“ラブストーリー”として着地させているのが、押さえるところをきっちり押さえる福田監督のなせる技。胸キュンポイントに、思わずニンマリ。親子で観に行けば、観終わったあとのカフェトークも大いに盛り上がりそうですよ。

文／山崎伸子

※山崎賢人の「崎」は正式には「たつさき」