子どものワクチンを打ち忘れてしまった場合の対処法、予防法などを小児科専門医の森戸やすみ先生にお聞きしました。
目次
1歳のときに受けるワクチンを打ち忘れてしまいました。もう3歳なので、今さら受けなくても大丈夫ですか?
ワクチンの役割って?
ウイルスや細菌が原因で起こる感染症の中には、重症化すると命にかかわったり後遺症が残ったりするうえ、治療法が対症療法(症状をやわらげるための治療)しかないものがあります。ワクチンの役割は、こうした病気を防ぐこと。予防効果は100%ではありませんが、ワクチンを接種しておくと、万が一かかっても症状を軽く抑えることができます。
また、ワクチンがある病気のほとんどは人から人へうつります。社会に病気を広げないためにも、ワクチンの接種は大切です。
「推奨時期」を過ぎたら打たなくてよい?
ワクチンは種類ごとに、もっとも効果的に予防できる「接種の推奨時期」が決められています。推奨時期を逃してしまった場合、たとえ時期がずれても接種しておくべき。予防のために「ベスト」ではないけれど、「ベター」であることは間違いありません。
原則として、推奨時期を外れると定期接種であっても費用は自己負担になります。ただし接種期間の延長などを認めてくれる自治体もあるので、保健所に確認しておくとよいでしょう。
ワクチンの打ち忘れに気づいたときは?
推奨時期を逃した場合、自分で接種に必要な手配をする必要があります。また、ワクチンの種類によっては接種できる医療機関が限られる場合もあります。
まずは市町村役場の担当部署や保健所、かかりつけの小児科医などに相談してみるとよいでしょう。
複数のワクチンを同時に打ってもいい?
ワクチンは複数のものを同時に接種しても有効性はかわらず、副反応(ワクチンの接種によって現れることがある症状)にも影響を及ぼさないことがわかっています。
1種類につき1回の注射(または服用)が必要ですが、接種もれの防止にもつながるため、医師としては同時接種がおすすめです。
「定期接種」「任意接種」って?
予防接種には「定期接種」と「任意接種」の2種類があります。定期接種は、予防接種法で定められているもの。保護者には「子どもに受けさせるように努力する」義務があり、決められた期間内であれば無料で受けることができます。
任意接種は、予防接種法では規定されていないもの。原則として費用は自己負担ですが、補助制度を設けている自治体もあります。定期接種と任意接種は、制度の上で分けられているだけ。「任意接種=受けなくてもよいワクチン」というわけではなく、重要度は同じです。
今後、任意接種から定期接種になるものが増える予定です。
大人も接種しなおしたほうがいいの?
ワクチンは、時間とともに予防効果が低下していることがほとんどです。子どもが接種する際、親も同じものを打てる場合もあるので、医師に相談してみるとよいでしょう。
血液検査でその病気に対する免疫の有無を調べることもできますが、免疫が十分にある人が接種しても悪影響はありません。
記事監修
森戸 やすみ 先生
一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、小児科クリニック勤務。著書に『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)など。
『めばえ』2020年4月号 イラスト/原あいみ(京田クリエーション) 構成/野口久美子
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。