下の子が産まれたあと「お兄ちゃんなんだから」と言ってはいけない理由【井桁容子先生のお悩み相談】

第二子が産まれたら、上の子への接し方で大切なこととは?

上の子への愛情をしっかり示すこと

第二子が生まれて生活が変化する前後は、大人にとっても不安な時期です。親の気持ちは、態度に出さなくても子供に伝わります。この時期に起こりがちな上の子の「赤ちゃん返り」は、親の緊張感を感じとり、子供が不安になることが原因のひとつなのです。まずは親がリラックスし、子供には「〇〇ちゃんもママのお腹にいたことがあったね。楽しみだね」などと話して、弟や妹を自然に迎え入れられるような雰囲気づくりを心がけましょう。

「上の子としての役割」を求めすぎないように注意

子供にとっては「今起こっていること」がすべてです。4歳ぐらいになれば「きのう」「今度」といった時間の感覚が身につき、未来を予想する想像力も発達してきますが、大人のように長い期間を具体的に見通すことはできません。そのため、「お兄ちゃんになるのよ」と言われてもピンと来ないのが普通です。そのうえ、親が緊張したり上の子にしっかりしてほしいと思ったりしていると、子供は「赤ちゃんが生まれると大変なことが起こる」と感じます。そして不安や警戒心が生じ、下の子をやさしく受け入れるのが難しくなってしまうのです。

ふたりの子供への愛情は、「半分ずつ」にするものではなく、「それぞれの器を満たす」ものです。上の子には、弟や妹が生まれても自分への親の愛情はかわらない、と感じさせることが大切。ほかの家族に下の子の世話を頼めるときは、意図的に上の子と向き合う時間をつくりましょう。長い時間でなくても親が心をそこにおいて接すれば、子供は安心します。そして、「今までと何もかわらない」と感じれば、極端な赤ちゃん返りをせずにすむはずです。

「お兄ちゃんなんだから」はNG

また、上の子に兄や姉としての役割を押しつけすぎないようにすることも大切です。とくに避けたいのが、「お兄ちゃんなんだからしっかりしなさい」のような言い方。子供が「頑張り続けないとダメなんだ」と感じ、親の期待にこたえようと無理をしてしまうことがあるからです。上の子にかけたいのは、「さすがお兄ちゃん。ありがとう」など、プライドを尊重する言葉。こうした言葉は「自分らしくいれば愛される」という安心感につながり、将来、子供が自信をもってのびのびと力を発揮するための土台となっていきます。

きょうだいげんかは貴重な経験

子供がふたりいれば、きょうだいげんかも起こります。危ないことや理不尽なことは見過ごせませんが、親は必要以上に介入しないのが理想です。子供にとって家庭は、感情を思い切り出せる場でもあるからです。けんかを止める場合は、「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」のように一方的な見方でしかるのではなく、「なぜけんかになったのか」を聞きましょう。子どもには、「気持ちを表現したら聞いてもらえる」という体験が大切だからです。

きょうだいげんかができることは、きょうだいがいることの最大のメリットとも言えます。けんかは、お互いの気持ちを感じとったり手加減を覚えたりすることができる貴重な経験でもあります。親は、「けんかをしないきょうだい関係」ではなく、「上手にけんかができて育ちあえるきょうだい」に育てることを目指しましょう。

 

井桁容子先生

お話:井桁容子(いげた・ようこ)先生

東京家政大学ナースリールーム
主任保育士 東京家政大学短期大学部保育科を卒業後、東京家政大学ナースリールームに勤務。東京家政大学・同短期大学部非常勤講師。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。

イラスト/小泉直子 構成/野口久美子 出典/めばえ

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