スイスの休校中、外遊びはどうしている?現地在住ママのリアルレポート

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、世界各国でも休校措置が続いています。

HugKumでは、各国で暮らす日本人ママから、現地での子どもの生活や学びの現状をレポートしてもらいます。

スイスからの2回目は、子どもの外遊び事情

前回の記事では、休校中の学びについてお伝えましたが、学習面の不安以外に悩みがあるとすれば、外出自粛で子供たちをどこで遊ばせていいのかということではないでしょうか。

スイスで子育てをする私もその悩みを抱えています。どこでどのくらい子供を外で遊ばせていいのか、自粛生活5週間目の今でも周りの様子を伺いながら過ごす日々です。

今回は、「外出自粛中のスイスでの子供の外遊び」についてお伝えします。

外出自粛中、子供たちは外で遊んでもいいの?

スイスは隣国のフランスやイタリアとは異なり外出禁止措置はとられておらず、現在の日本と似たような状況の「外出自粛」となっています。

スイスでは、スポーツ施設は閉鎖して使えなくなっていますが、公園は一定の条件付きで使用は認められています(6人以上で集まって遊ぶことは禁止、2m以上人との間隔を確保することを推奨-4月15日現在)。地域で配られている新聞によると、秩序を保ったうえでの外出に対し地元警察官は肯定的であり、むしろ外出禁止にしてしまうと家庭内暴力が増加してしまう懸念を伝えています※1。

それぞれの個人が責任をもった行動をとることが求められる中、子供をどこでどのように遊ばせてもいいものなのか、まずは学校の先生たちや周りのママたちに意見を聞いてみることにしました。

子供は外に出て太陽を浴びることが必要

娘たちが通っている学校や幼稚園の先生は、家にずっと引きこもり続けるのは親子共々ストレスとなるため、時には外に出て運動をすることが必要であるという考えです。とはいっても、この状況でどこに子供を連れていって遊ばせたらいいのか…。

そこで、かかりつけの小児科の先生に、外出自粛中の子供の外遊びについて意見をうかがってみました。

私たちの小児科の先生のアドバイスをご紹介します。

「子供はビタミンD生成のためにも太陽に当たることが必要なため、家に引きこもるのではなく外に出る必要がある」との答えでした。しかし、人混みを避けられる場所である「森」や一定の場所に集まらないようにするためにも「散歩」することがおすすめだそうです。人が少なければ「公園」に行くという選択もできますが、子供たちが入れ替わりで遊べられるように、長居はせずに30分程度で終わらせるよう」

常に人との距離を意識して外出するように

1日に1回は近所で散歩や外遊びをするようにして、子供だけでなく親のストレスもためないようにしていると周りのママたちは話しています。もちろん中には、子供をできるだけ外出させないという家庭もあるようです。

私たち家族も周りの様子を見ながら、適度に子供たちを外で遊ばせるようになりました。外出する前には必ず子供たちとコロナウィルスについて話し、

・常に人と距離をとること

・パパとママから離れない

・お友達と会ってもタッチしない

・一緒に遊びたくても今は我慢する

・帰ったらすぐシャワーをする

などと約束したあとに出かけるように。コロナウィルスにかからないように自分たちを守ることだけでなく、他の人へのリスクとならないように行動することを子供と一緒に考えるようにしています。

外出する時間帯は早朝や夕方以降の人が少ない時間を見計らって

子供と外出する時間帯は、人が比較的少ない早朝に決めていたり、仕事時間の合間やそれぞれの家庭のスケジュールに合わせて夫婦が交代で子供を外出させている家族もいるようです。

我が家では、平日に外で遊ばせるときは基本的に夕方以降にしています。家の近所では、お昼以降から17時くらいまでの間に外出する人が多くみられるということもあり、少しでも人が少ない時間をみつけて出かけています。夕方といってもまだ明るい17時半くらいから1時間ほど。帰宅したら玄関で服を全部脱いで、手洗いとうがいだけでなくすぐにシャワーをするように。2~3日に1回のペースで外に出るようにしています。

スイスの子供たちはどこで遊んでいる?

外出自粛が続く中、自然に囲まれたスイスの子供たちが遊んでいる場所をご紹介します。遠出はせずに自転車や徒歩で行ける近場で短時間だけ外遊びをするようにしています。

学校

週末の学校の校庭は、子供から大人までサッカーやバスケット、ジョギング、サイクリング、トレーニングをする人があちらこちらに。

平日の夕方は人が少ないので、その時間帯をねらって子供たちは宝探しや鬼ごっこ、木登りなどのお外遊びをしています。男の子はドローンやラジコンヘリコプターを飛ばし、トラックではスクーターや自転車を使って遊ぶ子供の横をママやパパがランニングをしている光景をよくみかけます。

公園

公園では少しでも多くの子供たちが入れ替わりで遊べるように長居をしないように気をつけるようにし、時間を決めて遊ぶように。友達と公園でばったり会ったときでも、集団とならないように、そして一定の距離をできるだけとるように大人たちも気をつけてみるようにしています。

おうち時間が長くなった子供に向けて「サバイバルクラフトキット」を無料で配布しているコミュニティセンターもあります。毎週金曜に新しいキットが公園内に設置されているボックスに入れられており、子供たちがいつでも取りにいけられるようになっています。

スイスでは普段から森にでかけるのが一般的です。散歩やジョギング、サイクリングをしたり、ソーセージやマシュマロをもって森の中でバーベキューをするのが日曜日の過ごし方のひとつでもあります。森の中のコースにトレーニングポイントが何カ所か設置されているビタ・パルクール(VITA‐Parcours)と呼ばれる場所もあり、散歩しながら踏み台昇降や懸垂、吊り輪などができる森もあります。

外出自粛生活がはじまってから、毎日森に子供を連れて行くようにしているというママもいたり。人があまりいない広い森に行けば、子供たちは思いっきり走り回ったり、叫んだりもできるのでありあまった体力を消耗してストレスも発散できるみたいです。

景色のいい湖のほとりは子供たちも息抜きができる場所です。石集めをして湖に向かって石投げをしたり、水辺の鳥やヨットの絵を描いてみたり。ちょっと汗ばむような季節外れの暑さの日には、湖に足をつけてみたりボートで出かけたりする家族もみかけます。自然の中でできる遊びを子供は自分たちで見つけて楽しんでいるようです。

 

 

 

 

 

 

庭のトランポリン

もともとスイスキッズから人気の遊びで、家やアパートの庭にトランポリンが設置されていることはめずらしくありません。外出自粛になってから、トランポリンはオンラインショップでは品薄の状態になるほどの人気だそうです。わざわざ外出せずにお庭遊びだけで運動がたっぷりでき、気兼ねなく外で遊ばせることができるのでこのような状況でママがいちばん安心できる子供の外遊びだったりもします。

長期化する自粛生活で気が緩まないように

自然に囲まれていて人が密集していないという地理的条件もあり、比較的子供の外遊びがしやすい環境ではあります。しかし外出自粛という中、どこまで子供を外で遊ばせていいのか、常に周りの様子をうかがいながら遊ぶように気をつけています。

スイスでは天気がいい日が続き、外出自粛生活が始まって5週目ということもあり初期に比べて少しずつ外出する人が増えてきている印象があります。しかし実際にはいまだ油断ができない状況が続いており、長期化する自粛生活と外出への慣れで気が緩まないように心がけています。お互いがそれぞれの社会で求められた秩序を守り責任のある行動をとりながら生活をしていくことが大切なようです。

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※1:コミュニティー新聞 (2020年4月17日)

文・構成/ss

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