0〜2歳児が誤飲・誤嚥をしたときの応急処置、一目でわかる行動チャートで解説【小児科医監修】

0〜2歳児に多い誤飲・誤嚥の応急処置、知っていますか?

誤飲や誤嚥は、子どもに多く見られる事故のひとつ。
場合によっては命にかかわることもあるので、環境づくりなどに気を配って事故を防ぐのと同時に、万が一に備えて、適切な対処法を知っておくことも大切です。

誤飲や誤嚥は子どもの好奇心から起こる

「誤飲」とは、飲食物ではないものなどを誤って飲み込んでしまうこと。「誤嚥」とは、口に入れたものが気管に入ってしまうことです。誤飲や誤嚥は、0〜3歳ぐらいまでの子どもに多く見られますが、特に起こりやすいのが、生後5〜6か月から1歳半ごろまでです。ハイハイを始めるころから、子どもは興味を覚えたものを自分から手に取り、なめたり口に入れたりするようになります。これは子どもの発達の一段階として自然なことですが、この時期の子どもには食べものとそうでないものをきちんと見分けることができないため、危険なものを口に入れてしまうことがあるのです。

誤飲や誤嚥の原因となったものの例

(国民生活センター/2010年12月〜2015年11月30日)
商品などの件数は、本件のために特別に事例を精査・集計したもの。

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「子どもの持ちもの」が誤飲・誤嚥の原因になることも

保育室にあるものに加え、子どもの持ちものにも目を配ります。洋服のボタンやタグ、ポリ袋の切れ端、ばんそうこうなど、意外なものが誤飲や誤嚥につながることもあります。

誤飲・誤嚥をしたときの行動チャート

 

判断に迷ったらここに連絡!

受診時に伝えること

●何を、どれぐらい飲んだか?

 →飲み残しや容器などを持っていくとよい

●飲んだ後、吐いたか?

→吐いたものを、少量持っていくとよい

●吐いた場合の回数

誤飲・誤嚥をしたかな?と思ったときの対処法

誤飲・誤嚥に気づいたときはすぐに口の中を確認し、口に残っているものは吐き出させます。のどにものが詰まっていそうな場合は、手で取り出そうとするとかえって押し込んでしまうことがあるので、65ページの方法で吐き出させます。
誤飲の場合は何をどれぐらい飲んだかを確認し、下の表を目安に対処します。特に注意が必要なのは、「吐かせるかどうか」ということ。成分によっては、吐かせることで食道などにさらにダメージを与えてしまうからです。液体を飲んだ場合、口のまわりや手、目などについているようなら、流水でしっかり洗い流しましょう。

誤飲したものと対処法の目安

出典 http://kodomo-qq.jp/(厚生労働省研究班/公益社団法人日本小児科学会により監修)から一部抜粋。

 

誤飲・誤嚥を防ぐためにできること

誤飲・誤嚥は、何より予防が第一です。基本は、口に入れると危険なものを子どもの手が届くところに置かないことです。乳幼児がいるご家庭の場合、室内の環境に、ふだん以上に気を配りましょう。
乳幼児の場合、口に入る最大のサイズは直径39ミリといわれています。下記の図を画用紙などに写し、筒状に丸めてのりしろで貼り合わせると、ほぼ直径39ミリになります。この筒に入るサイズのものは、子どもの口の中に入る可能性があります。
また、食事中に誤嚥を起こすこともあります。食材選びや調理法に気をつけるのはもちろん、食事中は子どもをきちんとすわらせ、友達とふざけたり笑ったりしすぎることのないように気を配ることも大切です。

誤嚥による窒息を防ぐための応急処置

誤嚥したものがのどに詰まっているときや、口の奥まで入り込んでしまっているときは、下のような方法で吐き出させます。すぐに出てこない場合のほか、激しくせき込む、のどがゼイゼイする、呼吸が苦しそう、といった様子が見られるときは救急車で病院へ行きます。意識がなく、呼吸が止まっている場合は、救急車を待つ間に心臓マッサージを行いましょう。

誤飲・誤嚥防止に役立つアイテム

画用紙などにうつして太線に沿って切り、丸めてのりしろで貼り合わせてください。(原寸大PDF

 

でき上がった筒に入る大きさのものは、子どもの手の届くところに置かないようにする。

意識がない・呼吸が止まったときは(心臓マッサージ)

①かたい床の上にあおむけに寝かせる。
②頭を軽く後ろにそらせる。
③胸の真ん中を圧迫する。
速さ=1分間に100回以上
強さ=胸の厚さの1/3以上沈む強さ

赤ちゃんの場合:人さし指と中指をそろえて押す
1歳以上の場合:手の付け根で押す

誤嚥したものがのどに詰まったときは

1歳未満(体重約10kgまで)

①大人の腕の上に子どもをうつぶせにする。
②手であごを支え、軽く前に出すようにする。
③頭を胸より低い位置にする。
④左右の肩甲骨の間を、手の付け根で強く4〜5回たたく。

 

1歳以上(体重約10kgから)

①大人が片膝を立て、ももの上に子どもをうつぶせにする。
②太ももで子どものみぞおちを軽く圧迫する。
③頭を胸より低い位置にする。
④左右の肩甲骨の間を、手の付け根で強く4〜5回たたく。

 

記事監修

澁谷紀子|小児科医

総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。

出典/『0.1.2歳児の保育』 文/野口久美子

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