気になる子どもの視力低下!遠視、乱視、斜視の種類や症状を解説【小児科医監修】

最近多い子供の視力低下。「見え方」は子供の言葉で伝えにくく、まわりの大人にもわかりづらいもの。見えづらい状態は子供が危険な目に合うこともあれば、見えないために物事の理解がしづらいということも。普段から子供の様子に注意し、早期に見つけて症状に合う対応をしましょう。

 

「見えにくい」と思う子供の目には、こんな症状が出ている

「視力低下」の主な種類

屈折異常によって起こる「目が見えにくい」という状態は、3種類に分けられます。近くは見えるけれど遠くが見えづらい「近視」、近くにも遠くにもピントが合いづらい「遠視」、ものがブレて見える「乱視」です。このほかに、片方の目が見るものとは違う方向を向いてしまう「斜視」、左右の視力が大きく異なる「不同視」、まぶたが上がりにくく視野を妨げる「眼瞼下垂(がんけんかすい)」なども視力低下の原因となります。

「屈折異常」の主な種類

視力が正常な場合は、目に入ってきた映像が網膜の上で像を結びますが、「目が見えにくい(屈折異常)」には3種類あり、正常な状態と以下のように異なるようです。

近視:網膜の手前で像を結ぶ。
遠視:網膜より奥で像を結ぶ。
乱視:焦点が1点に定まらない。

視力1.0未満の小学生が40年で3倍増加?深刻な現状

平成29年度の文科省の学校保健統計調査によると調査開始の昭和54年と比較すると、視力1.0未満の小学生の割合は17.91%から32.46%へと約2倍に、視力0.3未満では2.67%から8.72%と約3倍に増えていることが分かりました。

「視力低下」の基本治療について

幼児なら0.5以下が治療の目安

新生児の視力は0.03程度。その後、徐々に視力が上がっていき、5〜6歳で1.0ほどになり、9歳ごろに視機能が完成します。視力が発達する時期によく見えていない状態で放置すると、脳や神経の働きも成長しにくく、視機能が未発達のままになってしまう可能性があります。そのため、早期発見と適切な矯正が大切です。幼児であれば、0.5以下が治療開始の目安。軽症なら生活の見直しで改善することもあります。

 

子供の視力を守りたい!予防のために家庭でできること

テレビ、ゲーム、本は、姿勢や時間、環境に注意して

目が見えにくくなる原因には、遺伝や環境がかかわっていると考えられています。視力低下を防ぐためには、近くのものを見続けるゲームなどは長時間行わない、暗いところで本を読んだりテレビを見たりしない、姿勢をよくするなどが有効。また、見るものに顔を近づける、遠くのものを見るときに目を細める、首をかしげて斜めにものを見るなどは、視力に異常があるサインです。

異常があるときのサイン

・見るものに顔を近づけすぎる
・首をかしげてものを見る
・見るものに対して顔を斜めにする
・遠くを見るときに目を細める

定期健診は視力をチェックする絶好の機会です。気づいたら早めに眼科を受診しましょう。

 

記事監修

澁谷紀子|小児科医

総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。


 

出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 写真/石川厚志 再構成/HugKum編集部

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