親子でアートを楽しむ方法を紹介している「リトルアーティストリーグ」です。筆者は、よくこんな相談を受けることがあります。「子どもにはさまざまなことを知ってほしいけれど、アートってどう触れさせたらいいのか分かりません」と。そんな方にでも親子でアートを楽しめる展覧会をご紹介します。
見どころ①親子で楽しめる「おさなごころ」にフィーチャー
親子や幅広い年齢層がともに美術館を訪れ、誰もが持つおさなごころを体験的に問い直し、優れた芸術表現の可能性を知る「はじめの一歩」となることを目指した展覧会がこの夏開催されます。
是非、これをきっかけに親子で現代アートを楽しんでみましょう!
本展は、かつてこどもだった私たち―大人が忘れてしまったクリエイティブな「おさなごころ」を思い起こし、メディアテクノロジーによる作品や映像を通して、こどもと大人が一緒に楽しめる展覧会です。
触覚、身体、音と言葉、忘却、宇宙などをテーマとした空間を巡りながら、インタラクティブ体験、身体表現、音や文字による作品資料や映像上映、東京都現代美術館のコレクション展示を体験します。
また「こどものための現代美術展」であると同時に、大人/こどもを往来する、いわばネオテニー(幼形成熟=こどもの姿でありながら大人である)的なこころのありかたをベースにしています。展示を通して、戦後から現在まで日本から世界に発信され、高く評価されている新旧のアート&テクノロジーを知る/考えることが試みられます。
見どころ②触覚、身体、音と言葉、忘却、宇宙などをテーマとしたインタラクティブ体験
同館コレクション作品による導入展示に始まり、ゆるやかに重なり合う「触覚」「身体」「音と言葉」「忘却」「銀河」の空間を巡り、大型映像上映や、多様な年齢層を対象にしたオープンワークショップ(リモート開催を含め、会期中に展示室内で開催予定)が楽しめます。「忘却」「銀河」の空間を抜けると、まるで生まれかわるように展示空間を再び回遊できます。
《一家に 1 枚 宇宙図 2018》の全体画像は下記リンクからダウンロードできます。
宇宙図 2018(日英 PDF 公開)http://stw.mext.go.jp/series.html
導入展示 …時をとめるかのような美しさを湛えた作品群(当館収蔵品)や、8K による作品上映で映像と音を体感できます。
「触覚」… 視覚の比重が大きかった美術表現に対して、触覚の面白さや重要性を思い起こさせる展示。
「身体、音と言葉」… 書籍や文字による表現、体を動かして参加する作品で身体表現を追体験する試み。
「忘却」… 歴史的資料や新作など、新旧のメディアを通して、私たちの記憶やイメージを再考。
「銀河」… クリエイティブなイマジネーションとともに生まれかわるために、宇宙の拡がりを想像する展示。
来館者は作品表現をこまやかに鑑賞し、身体を動かして作品の一部になったり、記念写真を撮ったり宇宙に触れたりしながら、空間を巡ることができます。そして、作品上映を楽しんだあと、展覧会の最後には、見慣れた世界の面白さを取り戻すために、「はてしない物語」(ミヒャエル・エンデ作)のように、忘れていた「本当の名前」を受け取ります。老いも若きも、親子もお友だちも、カップルもおひとりさまも、まるで生まれかわるように、新たな気持ちで美術館をあとにできそうです。
芸術も社会も新たな局面を迎えつつあるいま、私たちは技術や文化の特異点(シンギュラリティ)の中にいるのかもしれません。2020年の夏から秋のひととき、誰もが内包する「おさなごころ」を思いだし、次なる表現の可能性について考える展示をぜひお楽しみください。
見どころ③多様な作品やアーティストに出会える
単に美しく描けるといった軸ではない、現代アート。アート作品制作においても数学的知識を導入した作品や大学や研究機関との共同制作など、その制作体制も非常に多様になっています。その作品に込められたメッセージや、どのように制作しているのか、また自分ならどのような作品を作りたいかを親子で話し合って是非めぐってくださいね。
参加予定作家 … 名和晃平、吉岡徳仁、8K 作品上映「MADD.作品集」、GRINDER-MAN、安藤英由樹、藤木淳、のらもじ発見プロジェクト、錯視ブロックプロジェクト、ジュスティーヌ・エマール、phono/graph、IDEAL COPY、CTG、幸村真佐男、森脇裕之、小阪淳、AR 三兄弟、Rhizomatiks Research / ELEVENPLAY / MIKIKO / 真鍋 大度 / 石橋 素 / Kyle McDonald、
渡邊淳司(NTT コミュニケーション科学基礎研究所)、落合陽一×日本フィルプロジェクト
(Visual: WOW)ほか
開催概要
◇休館日 月曜日(8 月 10 日、9 月 21 日は開館)、8 月 11 日、9 月 23 日
◇開館時間 10:00-18:00(展示室入場は閉館の 30 分前まで)
◇観覧料 一般 1,300 円 / 大学生・専門学校生・65 歳以上 1,000 円 / 中高生 800 円 / 小学生以下無料
◇会場 東京都現代美術館 企画展示室 3F
◇主催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
◇共催 株式会社 NHK エンタープライズ
◇特別協力 MADD. Committee/アストロデザイン株式会社
◇機材協力 シャープ株式会社/キヤノンマーケティングジャパン株式会社
◇協力 公益財団法人科学技術広報財団 /「一家に 1 枚宇宙図」制作委員会 / 一般財団法人 ニッシャ印刷
文化振興財団 / 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)/ 株式会社ビデオリサーチ /ミネベアミツミ株式会社
◇企画 事業企画課 企画係 森山朋絵
教えてくれたのは、LITTLE ARTISTS LEAGUEのメンバー。
LITTLE ARTISTS LEAGUEは母になった、アーティストママが立ち上げた、
親子へ向けた、本気でアートをやっていく活動団体です。