【医師監修】子供の頭痛の原因と症状、片頭痛の対処法や頭痛薬の使い方を解説

子供も大人同様、頭痛が起こることがあります。子供の頭痛の原因として、どのようなことが考えられるのでしょうか。当記事では、すぎたファミリークリニック院長の杉田亮先生に、子供の頭痛の原因や症状、片頭痛の対処法、頭痛薬の使い方を教えていただきました。

子供の頭痛の原因

子供の頭痛の原因
子供の頭痛の原因

子供の頭痛の種類は、大きく2つにわけられます。1つは、「一次性頭痛」で、片頭痛や緊張型頭痛などの慢性的に繰り返す頭痛です。もう1つは「二次性頭痛」で、脳腫瘍や頭部外傷、風邪や髄膜炎などの感染症、副鼻腔炎などによって起こる頭痛です。

一次性頭痛のひとつである片頭痛は、頭の血管が拡張し、周囲の炎症によって神経が刺激されることで起こるのが原因と考えられています。緊張型頭痛は、頭や首周りの筋肉のコリや緊張から起こり、ほとんどの場合ストレスが原因とされているようです。このように、一次性頭痛には原因となる疾患はありません。

一方、二次性頭痛は疾患や外傷などが原因となって起こります。

子供の頭痛の症状

子供に起こりがちな頭痛の症状、痛む部位、痛みの特徴を種類別に解説していきます。

片頭痛

片頭痛は多くの場合、左右どちらかの片側の頭が痛むことをいいます。ただし、子供の片頭痛は、左右両側の前頭部から側頭部にかけて痛むことが多い傾向にあります。

痛みの特徴は、ズキズキと脈を打つような痛みです。体を動かすと痛みが増したり、光や音、においに敏感になったり、吐き気・嘔吐を伴うこともあります。発熱することはありません。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、頭の両側が締めつけられるような痛みが数十分から数日間続く頭痛のことです。痛みの特徴としては、こめかみがズキズキしたり、頭が重たい感じがします。なお、発熱や吐き気が伴うことはありませんが、首や肩の凝りを感じることがあります。

ウイルス性疾患による頭痛

二次性頭痛でいちばん多いのが、ウイルス性疾患などの感染症による頭痛です。ウイルス性疾患には、風邪やインフルエンザ、髄膜炎などがあります。

これらの疾患では、発熱を伴う頭痛や吐き気の症状が出ます。とくに髄膜炎では、強い頭痛が起こることもあります。これらの疾患の疑いがある場合は、すぐに病院で受診してください。

副鼻腔炎による頭痛

副鼻腔炎になると、頭の前側が痛んだり、頭がぼーっとするといった症状が出ます。痛みの特徴は、とくにおでこの部分に痛みがあったり、下を向くと頭痛がすることです。副鼻腔炎で発熱することもあります。

皮下血腫(たんこぶ)による頭痛

皮下血腫(たんこぶ)の際にも頭痛が起こることがあります。皮下血腫の頭痛には、表面の痛みと内部の痛みがあります。表面の痛みでは、たんこぶができた部分を押すと痛みがあるのですが、内部の痛みはズキズキ、ガンガンするような頭痛や、痛みがどんどん増していくこともあります。内部の痛みで我慢のできない頭痛が発生した場合は、早急に病院で受診してください。

なお、たんこぶによる発熱はほとんどありません。

子供の片頭痛の対処法

子供の片頭痛の対処法にはどのようなものがあるのかご紹介します。

横になってゆっくり休む

子供の片頭痛のいちばんの対処法は、横になってゆっくり休むことです。このとき、静かな薄暗い場所を選ぶようにしてください。これは、片頭痛は体を動かしたり、光や音、においなどによって痛みが増すことがあるからです。安静にしていましょう。

片頭痛がするときには、無理せず体を休めて

頭の痛む部分を冷やす

片頭痛は、冷やすことで痛みが和らぐ場合があります。冷たいタオルや、タオルで巻いた保冷剤、冷えたペットボトルなどを当ててみてください。血管が収縮し、痛みの軽減につながります。

気をつけたいのは、片頭痛のときに痛む部分をあたためることです。あたためると血管が拡張し、さらに痛みが悪化してしまいます。入浴やマッサージなどは避けたほうがよいでしょう。

食べ物に気をつける

片頭痛を引き起こす原因といわれている食べ物には、チョコレートや化学調味料、チーズなどがあるとされています。それらをなるべく控えることも、片頭痛の対処法のひとつです。日頃から心がけるようにしてください。

子供の頭痛薬の使用について

対処法を試しても頭痛が治らない、早く痛みを止めたい、という場合には、頭痛薬を飲むことも考えましょう。ここでは、子供の頭痛薬の種類、使用法や薬の選び方などを説明します。

頭痛薬の種類

市販されている頭痛薬の多くに含まれるのは、解熱鎮痛薬である「アセトアミノフェン」です。片頭痛や緊張性頭痛のどちらにも作用するといわれています。

使用法

頭痛薬は、頭痛が始まってすぐに飲むと速やかに作用するといわれています。1日3回を超える服用が必要な場合は受診を考えてください。さらに、薬の種類によって、いつ飲むとよいのか、服用回数、服用年齢制限などが異なりますので、必ず説明書を読んで、用法用量を守って使ってください。

選び方

子供の頭痛薬を選ぶときには、「小児用」や「ジュニア」などとパッケージに書かれているものなら安心です。また、薬には錠剤や水なしでも飲めるチュアブル錠、フルーツ味のものなどもあるので、子供が飲みやすいものを選ぶとよいでしょう。また、眠くなりにくいタイプのものなら、学校にいるときでも飲めますよ。学校に持って行くときには、担任の先生にその旨を伝えておきましょう。

子供の頭痛が長引くようなら病院へ

頭痛には色々な種類があり、重大な病気のサインの可能性もあります。「いつものことだから」と放っておかず、どんな症状なのか、いつから痛みがあるのかなどを子供に確認し、いつもと様子が違う頭痛が長引くようなら受診するようにしてください。

記事監修

すぎたファミリークリニック 院長
杉田 亮

兵庫県三田市「すぎたファミリークリニック」院長。小児科専門医。1979年生まれ、福岡県久留米大附設高出身。2006年、大阪大学医学部医学科卒。大学在学中に休学してニュージーランドへラグビー留学した異色の経歴を持つ。先天性心疾患や小児不整脈、小児心臓移植といった小児心臓血管外科医としてキャリアをスタート。周辺地域の小児夜間診療体制が十分とは言えず、クリニックとしては異例の夜間診療も行っている。
すぎたファミリークリニック

文・構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事