子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴47年、常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。
友達とのトラブルから、登園を渋るように…。どのようにフォローしたらいいのでしょうか
友達トラブルがあったみたいで「もう友達と遊びたくないから、幼稚園には行きたくない」と言い出しました。しかし私が「今日、幼稚園どうする? 行かなくていいの?」と聞くと「やっぱり行こうかな」と、渋々登園します。こういうときは、親としてどうしたらいいのでしょうか。私としては「行きたくなければ、行かないでいい」と考える子にはなって欲しくありません。(5歳の男の子のママ)
無理に登園させるのはNG! 子どもの気持ちに寄り添って、心の負担を軽くしてあげて
お母さんが言うように「行きたくなければ、行かないでいい」では、何の解決にもなりません。5歳だと気分的なことではなく、行きたくない理由がハッキリあるのではないでしょうか?「そうか、幼稚園行きたくないんだ…」「嫌なことあった?」「疲れちゃったかな?」と言葉をかけながら、子どもの気持ちに寄り添ってあげてください。大切なのは、無理に登園させることではなく、子どもの心に引っかかっているものを軽くしてあげることです。
無理に理由を聞き出すのは逆効果。叱ったりせずに、嫌なことを乗り切る方法を一緒に考えてあげましょう
相談者のような友達トラブルだけでなく、休校明けや夏休み明けなどは「幼稚園に行きたくない」「小学校に行きたくない」と言い出す子が多くなります。
今回の新型コロナウィルスによる自粛生活などの後は、通常に戻るのにおとなも子どもも心身共にハードルが高いです。正論、激励より、「なんか気が重いよね」「朝、起きれるかしら」と親子共に同じ心配を抱えていることを共感することからいきましょう。「お母さんもおんなじなんだ」「ぼくの気持ちわかってる」と思うと、子どもは安心します。
はじめの一歩はだれも緊張するものです。行ってしまえば解決することは多いです。通園、通学しているときに行きたくないと言うときは、少し優しく接しましょう。口を割ろうとしてはいけません。心身が温まってくれば、行きたくない理由を次第に話し始めるでしょう。そのときは叱ったりせずに、嫌なことを乗り切る方法を一緒に考えてあげてください。そうした力をつけることが、今後の子どもの役に立っていきます。
教えてくれたのは
保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。
イラスト/海谷泰水