十五夜の由来や意味、中秋の名月との違いは? うさぎと月の関係やお供え物についても解説

十五夜は、秋の夜空に浮かぶきれいなお月さまを眺める、お月見の日ですね。そこでこの記事では、十五夜の由来や意味、十五夜はいつなのかをご紹介します。また、十五夜と中秋の名月の違いや、十五夜のお供え物とその意味、うさぎと月の関係もお伝えしていきましょう。

十五夜の由来とは?

十五夜って、なんとなく月と関係していることくらいしかわからない…という人もいるかもしれませんね。そこでここでは、十五夜の意味や由来について解説していきましょう。

十五夜の意味、目的

十五夜の意味や目的はおもに3つあると考えられます。

収穫への感謝、豊作への祈り

1つ目は、農作物の豊作を願うことと、この時期に獲れた野菜などへの感謝。

月への感謝

2つ目は、昔は月の満ち欠けなどによって天気を予想したり、月のあかりで暮らしていたことから、月の恩恵に感謝をする意味。

最も美しい秋の月を眺める

3つ目は、1年のうちでこの時期の月が最も美しいといわれていることから、月を眺めるため。

これらの意味や目的から、十五夜にはお供えものをし、お月見をするのが習わしです。

由来や起源

古来から日本では、十五夜にかかわらず月をめでる風習があったそうです。平安時代になると、十五夜に月を見ながら宴をするという風習が中国から伝わり、日本の貴族の間で広まったといわれています。

庶民が十五夜を楽しむようになったのは江戸時代のころ。月を鑑賞するだけでなく、月に農作物の収穫を感謝したり、豊作を願ったりする意味も加えられたとされています。

保育園や幼稚園の子どもにもわかるように説明すると?

幼いお子さんに、十五夜をわかりやすく説明すると、次のようになります。

・お米や野菜がたくさんとれるように、お月さまにお願いするんだよ。
・お月さまが夜の暗さを明るく照らしてくれるから「ありがとう」と言おうね。
・お月さまを見ることを「お月見」というんだよ。このころはお月さまがとてもきれいだから、みんなで見て楽しむのが「十五夜」だよ。

十五夜はいつ?

十五夜とはいつのことを指すのか、2023年の十五夜はいつなのかを解説していきます。

旧暦8月15日が十五夜

十五夜とは、旧暦の毎月15日の夜のことを指します。これは、新月から満月となる月の満ち欠けの周期がほぼ15日周期で、旧暦では新月を1日としており、15日が満月にあたります。

ですので、十五夜は毎月あるのですが、なかでも旧暦の8月である「中秋」には、月がもっとも明るく美しく見えるとされていました。よって、旧暦の8月15日の月を「中秋の名月」と呼ぶようになり、お月見に最適な日となったそうです。一般的には、この中秋の名月のことを「十五夜」といいます。

また、実際に、秋は湿度が低く、空気が澄み切っているため、視界が良好になります。さらに、秋の月が夜空に出現する位置も、高すぎず、低すぎずのポジションをキープし、私たちにその美しい姿を存分に見せてくれます。十五夜にお月見をしていた昔の人たちは、月がいちばんきれいに見える時期をわかっていたのですね。

2023年の十五夜は9月29日(金)

十五夜は旧暦の8月15日と前述しましたが、旧暦は現在の暦である新暦とは異なり、十五夜の日が毎年固定されずに変わります。そのため、新暦では9〜10月の間のいずれかに十五夜がおとずれます。

2023年の十五夜は9月29日(金)です。2024年以降の十五夜は以下になります。

2024年 9月17日(火)
2025年 10月6日(月)
2026年 9月25日(金)

十五夜は満月とは限らない

十五夜は満月のイメージがあるかもしれません。しかし、そうとは限らないのです。その理由を解説していきましょう。

十五夜が満月になることは少ない

十五夜は満月の場合もありますが、満月の日から1〜2日ずれることもよくあります。これは、月の満ち欠けの周期が一定ではないのが理由です。

新月から満月になる周期は時期によって13.9日〜15.6日と幅があります。そのため、新月の日から15日目にあたる十五夜が満月にならないこともあるのです。

十五夜が満月になる年

過去に十五夜が満月になった年と、未来で十五夜が満月になる年をご紹介します。2021年からは、十五夜が満月となる年が3年連続でおとずれます。十五夜が満月になることは少ないので、とても貴重ですね。

十五夜が満月になった年

2011年9月12日
2012年9月30日
2013年9月19日

十五夜が満月になる年

2021年9月21日
2022年9月10日
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十五夜と中秋の名月の違い

十五夜と中秋の名月は同じ意味で使われていますが、若干の違いがあります。中秋の名月とは何なのか、そして十五夜との違いをご紹介します。

中秋の名月とは

中秋の名月は旧暦8月15日の夜に見える月のことをいいます。

旧暦では7月、8月、9月を秋としていました。秋の真ん中である8月を「中秋」とし、この時期の月が1年のうちでもっとも美しくきれいなことから、満月である旧暦8月15日が「中秋の名月」と呼ばれるようになりました。

ちなみに、中秋の名月は「十五夜」や「芋名月」「中秋節」などともいわれます。

違いは毎月か、年1回か

「十五夜」の本来の意味は、旧暦の毎月15日目の夜のことをいいます。一方、「中秋の名月」は旧暦8月15日の夜に見える月のことです。ということは、十五夜は毎月来るもの、中秋の名月は年に1回だけという違いがあります。

しかし、前にもお伝えした通り、今では十五夜というと、旧暦の8月15日の月である「中秋の名月」を指すことが一般的です。

十五夜のお供え物とその意味

十五夜には月にお供え物をします。どんなものをお供えするのか見ていきましょう。

月にお供えするにはどんなものがあるの?

月見団子

月見団子は、お団子を満月に見立て、お供えされます。

お供えする理由は、収穫物であるお米を使って団子にし、農作物の豊作を祈る意味が込められています。この風習は江戸時代からはじまったそうです。

月見団子は、十五夜からとって一寸五分の大きさがいいとされています。一寸五分とは、約4.5cmです。亡くなった方にお供えする「枕団子」は真ん丸なので、それとは違うようにするために、少しだけ団子の中央をつぶして備えましょう。

お供えする団子の数は15個、ないしは、1年におとずれる満月の回数と合わせて12個(うるう年は13個)、あるいは、シンプルに5個としましょう。並べ方は、一番下の段に3個を3列、合計9個を並べ、下から2番目の段に2個を2列、合計4個を並べます。団子を13個並べるのであれば、ここまででOKです。団子を12個並べる場合は、下から2番目の段に3個並べてください。

団子を15個並べる場合は、13個並べる手順にプラスして、下から3番目の段に団子を2個並べます。その2個の向きは、月に向かって縦に並べてください。

団子を5個並べる場合は、一番下の段に2個を2列、合計4個を並べて、下から2番目の段に1個置きましょう。

すすき

すすきもお供えもののひとつです。

本来であれば稲穂をお供えし、月に豊穣を願うのですが、十五夜の時期には稲穂がないことから、稲穂のかわりに穂の出たすすきをお供えします。

また、すすきには、魔除けの効果があると考えられていました。そのため、収穫物を災いや悪霊から守り、豊作を願う意味も込められています。

里芋

十五夜には「芋名月(いもめいげつ)」という別名があります。これは、秋の収穫物である里芋をお供えする風習からそう呼ばれるようになりました。

里芋をお供えするのには、芋類の収穫を祝い、収穫に感謝する意味が込められています。これは、米ではなく里芋などの芋類が主食として食べられていたころに、十五夜の時期の収穫物を供えていた名残なのだそうです。

十五夜に考えるうさぎと月の関係

お月さまを見ると、うさぎが餅つきしているように見えませんか? 月とうさぎの関係にはさまざまな伝説や言い伝えがあります。ご紹介してきましょう。

月にうさぎがいるのはなぜ?

月にうさぎがいるという言い伝えは、インドから伝わったのがはじまりとされています。

インドには、仏教説話の「ジャータカ」というものがあります。その中に、こんなお話が書かれています。

さる、きつね、うさぎは、「人の役に立ちたい」と思って暮らしていました。そんなときに仏教の守護神である帝釈天が疲れ果てた老人の姿となって現れ、3匹に食べ物を恵んでほしいとお願いします。さるは木の実を、きつねは魚を老人に捧げることができたのですが、うさぎは何もできませんでした。うさぎはそのことを嘆き、自分を食べてもらおうと自ら火の中に飛び込みます。それを見た老人は、このうさぎの行動を後世に伝えるため、月にうさぎを昇らせました。

このお話から、月にうさぎがいるといわれるようになったようです。

うさぎが月で餅をついているのはなぜ?

うさぎが餅つきをしているという話の由来となっているのは、中国の伝説に基づいているそうです。

古代中国では、月でうさぎが臼に薬草を入れ、杵でついて不老不死の薬をつくっていると考えられていました。それが日本に伝わるときに、餅つきに変わったのではないかといわれています。

もともとはお餅ではなく、不老不死の薬だったという説もあるようです。

十五夜の由来を知って、家族でお月見を

2023年の十五夜は9月29日(金)です。秋の夜空に輝く、きれいなお月さまを家族で眺めながら、記事でご紹介した十五夜の由来や月とうさぎの関係などを、お子さんに伝えてみてはいかがでしょうか。

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文・構成/HugKum編集部

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