6人のお子さんを自宅学習で育てる生駒知里さんを直撃
生駒知里さんは、中2長男を筆頭に小6、小4、小2、4歳、2歳の6人の母親です。子どもたちは学校にとらわれず、フリースクールや自宅学習などで自主学習を中心に学ぶスタイルをとっています。
というと、「学校に行けない子たちがしかたなく家で勉強している」という暗いイメージで捉える人もいるかもしれません。でも、お子さんたちは実に明るく楽しそうに、そしてびっくりするほど深く学んでいるのです。小学校4年生で発酵について極めたり、小2で飛行機はなぜ飛ぶか調べたり、1年生で「石」にハマって地球の構造まで探求したり……。
家の中では「ねえねえ、これって」「だから●●によると……」。図鑑やらインターネットやら哲学の本まで持ち出して、子どもたちで討議しています。
学校に行っていないのに、なんでこの子たちはこんなすごい知識を持っているの?
そのきっかけから今に至るまでを語ってもらいました。
きっかけは長男の1年生のときの言葉「ママ、学校って辞められるの?…」
「きっかけは、長男ですね。小学校1年生のある日、『ねえママ、学校って辞められるの?』と言われたんです」
そもそも、長男くんは小さな頃からこだわりが強く、自分のやりたいこととやりたくないことがはっきりしている。幼稚園の園庭で自由に遊ぶのは大好きだけれど、一斉に同じことをやるのは苦手。先生に手を引かれてようやくとりかかるような感じです。園の制服も、最初はいやがっていました。
「でも、勉強はすごく好きで、未就学児なのに、本屋さんで『どうしても白地図を買ってほしい』『問題集をやりたいから買ってほしい』などとせがむような子でした。だから、幼稚園では“個性的な子”だけれど、小学校にはハマるんじゃないかと思っていました」
トイレの時間まで決まっている小学校は窮屈だ
ところが、入学してみると、そうではありませんでした。あまり楽しそうではないし、「半年行ってみて、自分には合わないところだとわかった」と……。学校を休むようになりました。朝、パパが送っていっても、行きたくなくて、こっそり逃げ出したこともあったといいます。
いったい何がいやなのでしょうか。
「強制されるのが好みじゃない」
「自分の勉強したいことを、自分の勉強したい時に、自分の勉強したい量だけやりたい」
これが長男くんの言い分でした。生駒さんは先生に相談して、もう少し本人の自由になるようにお願いし、「ママが先生に理解してもらったから、ためしに明日、学校行ってみて」と声をかけ、学校へと促しました。しかし、半信半疑で家を出た長男くんは、帰ってくるなり「やっぱりそんなに変わらない」と。
パパは、「とにかく、学校は行くものだ」と、そんな長男君を批判し、なんとか学校に行かせようとしました。でも、生駒さんがよく観察すると、勉強好きな彼だけれど、得意なことと苦手なことが極端だということもわかってきました。
「学校の勉強は簡単すぎて難しすぎる」から…
「理科だと、1年生から熱エネルギーや光エネルギーなどにも興味を持って、担任の先生に『1年生とは思えない』と言われるけれど、字を読むことや、九九は苦手。つまり、学校の勉強が『簡単すぎたり難しすぎたりする』のです」
ついていけないのはもちろんつらいけれど、簡単すぎてつまらない授業をずっと聞いているのも、つらいもの。1年生の後半は学校に行かず、でも2年生からがんばって通ったけれど、がまんして学校にいると、帰ってきて荒れるほど精神的神に追い込まれてしまう。
「本人は苦しいだろうな、と思うんです。でも、私もすごく落ち込んでしまって。なんでこの子はほかの子みたいにできないんだろう。できないのはこの子のせい? それとも私が悪いの……?って。そのくせ、ほんの小さなことでも『なぜ?』『どうして?』と聞いてくる長男に、ひそかにむかついて、『はいはい、』なんてあしらっていました」