女性の髪の曲がり角は35歳!
妊娠・出産・育児を機に、抜け毛や薄毛、白髪など髪の悩みに直面するママも少なくありません。美容ジャーナリストで毛髪診断士の資格を持つ伊熊奈美さんによると、「髪の曲がり角は35歳」とのこと。
なかでも気になるのは、“白髪が出始める人”が半数以上を占めるのが、30代後半”だというデータです。まだまだ先のこと……とはいえないようです。ヘアケアに精通する伊熊さんが“白髪のトリセツ”をまとめた『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)から、白髪ケアのヒントを探ってみましょう。
女性ホルモンの低下が、白髪に拍車をかける
「髪の曲がり角」に直面する30代後半は、子育てや家庭と仕事の両立など、日々慌ただしく過ごしている人が多い世代。女性ホルモンの分泌量が下降ラインに入っていく年齢でもあるため、白髪はいつ“自分ごと”になってもおかしくありません。
実際に、伊熊さん自身も20代後半から白髪が出始め、36歳で出産した後は、脱毛に加えて白髪が激増したのだそう。
「ホルモンのゆらぎが頭皮に影響するのは大いに考えられます。生活環境的にも、メンタル的にも、そして体の内側からも、白髪につながる要素に次から次へと襲われる30代! 結果、白髪の増加につながると考えられます」(『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』より。以下同)
白髪の原因のひとつは「活性酸素」の発生によるものですが、「活性酸素」と戦う抗酸化力は、40代から衰えてくるといわれています。これは、抗酸化物質でもある女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が減少するためです。さらに、
「もうひとつの女性ホルモンの代表、『プロゲステロン』は30代ぐらいから先行して減少が始まります。こちらは髪の成長に関わりのあるホルモンなので、薄毛や脱毛の原因に。30代後半から髪がペタンとする、ボリュームがないというお悩みが一気に増えるのですが、ここに関連しているのかもしれません」
また、女性は生理によって鉄分が不足しがちです。鉄分は血液を作るのに重要なミネラルのひとつ。東洋医学では髪は「血余(けつよ)」というように、血が余るほどあって初めて髪に豊かな栄養が行き渡るといわれています。
加えて、ストレスも白髪の原因に。日常のストレスから自律神経が緊張状態におかれると、呼吸も浅くなり、血液に十分な酸素が送られずに血流が悪くなってしまいます。
ヘアカラーで頭皮がしみる、かゆいは危険信号!
生え際や分け目に白髪がチラ見えすると、一気に老けた印象になって、気分も滅入ってしまうもの。何とか対処したいけれど、美容院に行くか自宅でセルフケアをするか、白髪染めデビューの第一歩は悩ましいところですよね。ここで、伊熊さんが注意喚起するのは「ヘアカラーかぶれ」です。
「ヘアカラーでしみる・かゆいというのは、敏感肌で化粧品がしみたりかゆくなったりすることと同じレベルの肌トラブルに属します。症状が軽ければ敏感肌程度ですむものの、重い症状なら『接触皮膚炎』といわれる皮膚の急病です」
ヘアカラーかぶれはホームカラー剤でのみ起こることだと誤解されがちですが、実際には、美容院でも自宅でもヘアカラーにはリスクがあるといいます。
東邦大学医療センター大森病院 皮膚科臨床教授の関東裕美先生によると、特に「生理前後」、また「妊娠出産前後で生理がない間」はアレルギーのリスクが高いと指摘します。
「生理が来ないということは、女性ホルモンのエストロゲンが安定していないから。女性にとって生理が来るのは、免疫機能が安定しているからです。だから半年以上来ていない、なんていうときもリスキーです」
自宅染めのヘアカラーかぶれを防ぐ、5つのポイント
伊熊さんは著書の中で、ヘアカラーによるかぶれを予防するチェックポイントを解説しています。ホームケアでヘアカラーを長く続けていくためにも、“白髪染めデビュー”の心構えとして、ぜひ覚えておきましょう。
1.花粉症やぜんそくもちは、最大限の警戒を
何らかのアレルギー体質の人は、ほかのアレルギーも起こしやすい傾向が。特にアレルギー症状が出ているときは、過剰に反応しやすいのでカラーは控えて。
2.ヘアカラーに万全な体調のときに
風邪で免疫機能が弱まっていないか、数日の体調の変化など、思い当たるようならカラーは見送ったほうが無難。生理中も肌が敏感になりやすく、アレルギーにつながる可能性も。
3.アレルギーを確認するパッチテストを
ホームカラーをするときは毎回必ず行い、美容院でカラーするときも行えばベスト。
4.ヘアカラーの間隔をなるべくあける
肌のターンオーバーの周期は40代で約55日。ヘアカラーの間隔は、この周期に1回を目安に。
5.カラー剤の“流し残し”はトラブルのもと
薬剤をしっかりすすぐことが大切。
シャワーで流すとき、後頭部や襟足などは髪をめくりあげて、頭皮に残らないように心がけて。
まずは、頭皮は顔の肌と同じ、体の一部だということを認識しましょう。そして、白髪ケアの選択肢を幅広く知ることで、自分にとって白髪との最適なつきあい方を見つけていきたいですね。
著者プロフィール
伊熊 奈美
1972年静岡県浜松市生まれ。女性誌編集部の美容担当などを経て、フリーランスに。ヘアメイク、スキンケアなどの美容から医療分野まで幅広く企画・取材。特に日本人女性の毛髪化学分野とヘアケアに精通し、雑誌、新聞、WEB媒体にて執筆中。
大人の女性の美髪情報サイト HAIRISTA http://hairista.jp