【専門家監修】産後うつになるママは意外に多い!症状や治療法、予防策、サポート策をご紹介!

産後うつという言葉は、妊娠中・産後のママだけでなく、最近では世間一般に知られてきたところ。でも、私は大丈夫と他人事のように思っている人も多いのでは。でも、実は身近にある産後うつについて、今回は細かく調査しました。

産後うつとはどんな症状なのか、なってしまったらどうすべきか、予防策はあるのかなど、0〜12歳の子を持つママの体験談と合わせてご紹介します。赤ちゃんを迎える予定だったり、産後のママ、そしてパパも要チェックです。

産後うつとは?

産後うつとは、気持ちが落ち込んでしまい家事や育児のやる気がなくなってしまったり、楽しいと思えていたことができなくなってしまうこと。まずはそんな産後うつを経験したママたちの言葉から症状を紐解いていきます。

産後うつ経験者の声

今回、産後うつを医師から診断されたママたちの声を聞きました。貴重な経験談なので参考にして。育児の負担が大きかったり、気分的に落ち込むことがあると要注意のようです。

「すべてが面倒くさい」(30代・神奈川県・子ども1人)
「気分が落ち込んで身体がだるくやらなくてはいけないことがなかなかできず横になっていることが多かった。また、イライラしやすく夫に当たったりした」(30代・愛知県・子ども2人)
「子どもの泣く声にイライラする、焦り悲しみ、怒りが渦巻く。何度も死にたいと思った」(30代・広島県・子ども1人)

産後うつの症状・原因

産後うつという言葉はよく聞くようになったものの、実際どんな症状があるのか分からないという人も多いですよね。また、産後うつになってしまう原因にはどんなことがあるのでしょうか?

産後うつの症状

産後うつになると、産後に気分が沈んでしまい、日常生活でそれまで楽しいと思えていたことが楽しいと思えなくなったり、物事に対する興味がなくなったりする症状が表れます。大体、産後3か月以内に発症することが多く、そのようなことが一日中あり、また一定期間(目安としては大体2週間以上)続くこと。産後にこのようなうつ状態が続くと子どもに向き合うことも難しくなります。

気持ちの落ち込んでいる時間があっても短時間のみで、ほかの時間帯は好きなことを楽しめ、育児もしっかりとできていれば産後うつの可能性は低いと言えます。

産後うつの原因

産後うつの原因はきちんと解明されていないものの、出産後は女性ホルモンであるエストロゲンが下がるなど、ホルモンバランスの急激な変化が起こることで、ストレスに耐える脳の抵抗力が低下すること、また、子どもの世話で心身の疲労がたまりやすいことが原因と言われています。特に、初めての出産後は、今まで経験していなかった育児のことが押し寄せて心理的な負荷が強く、育児不安が募ったりうつ状態になったりしやすいので要注意。周囲のサポートが少なく孤立しがちだと、さらにリスクが強まります。

産後うつのセルフ診断

産後うつのセルフ診断としては、下記のような症状が一日中あって、それが一定期間(目安としてはだいたい大体2週間以上)続いていないかチェックしましょう。

・気分が落ち込む、不安になる

・イライラする

・集中力・記憶力の低下

・子どもが可愛く思えない

・眠れない

・体がだるい、疲れがとれない

・食欲低下

また、多くの自治体で新生児訪問が行われ、その際の調査に使用されることが多いのが、「エジンバラ式産後うつ自己評価票」。ママ自身が回答するものなので、セルフチェックにも役立ちます。項目1・2では「できなかった」と感じ、項目3~10では「そうだった」と感じることが多い場合には、市区町村の保健師さんや産婦人科のかかりつけ医に相談することをおすすめします。

1.笑うことができたし、物事のおもしろい面もわかった

2.物事を楽しみにして待った。

3.物事が悪くいった時、自分を不必要に責めた

4.はっきりした理由もないのに不安になったり、心配したりした

5.はっきりした理由もないのに恐怖に襲われた

6.することがたくさんあって大変だった

7.不幸せなので、眠りにくかった

8.悲しくなったり、惨めになったりした

9.不幸せなので、泣けてきた

10.自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた

産後うつの治療

産後うつは放っておいて治ることは少なく、さらに重症になってしまうと、子どもの面倒を見られなくなったり、子どもに影響を与えてしまうこともあるので、診断されたらしっかり治療することが大切。ママだけでなく、子どもやパートナーにとっても大事なことだと考えましょう。

投薬療法

うつ病の治療には、抗うつ薬などの治療薬を使うのが一般的ですが、妊娠中や授乳中に薬を飲むことに対して抵抗を感じるのは当たり前のこと。妊娠中・授乳中に治療薬を使った場合、「どの時期なら」「どのような副作用が」「どの程度の頻度で起こりうるか」といったエビデンスは蓄積されつつあるので、過度に心配することなく活用していきましょう。

心理療法

投薬と並行して行うことの多い心理療法は、認知行動療法がメイン。自然と起こる思考のクセや行動パターンが、どのようにうつ状態と関係しているのかを理解するのに役立ちます。白か黒かなど、極端な考え方になってしまっている場合、受け取り方を変えるだけで気持ちがラクになることも。育児は完璧を求めがちなので、心理療法はこの先長く続く子どもとの生活へも役に立つはず。

産後うつはいつまで続く?

産後うつの症状があっても我慢していれば治ると思っている人も多いですよね。ただでさえ忙しい育児の最中で、自分のことを棚上げにしやすい時期。でも産後うつになってしまったらどのくらい続くものなのでしょう?

産後うつは放っておいても治らないことが多い

産後うつになっても、病院に行くことにためらいがあったり、薬を飲むことに躊躇してしまう人も少なくないはず。でも、産後うつなんてそのうち治るでしょ、と考えるのは危険。重症化するリスクも高く、子どもや自分に危害を与えてしまう行動に出てしまうこともあるので、きちんと診断を受けて、治療を受けることが大切です。

産後うつになりやすい人に特徴はある?

今妊娠中の人や、妊娠を考えている人、産後すぐの人は産後うつが心配になることもありますよね。どんな人がなりやすいのか、どんな時になりやすいのかを知っておくことで、産後うつになっても早めに気付けたり、セルフチェックが可能なことも。

1人で抱え込んでしまう人はなりやすい傾向

母親だからやるべきと1人で育児や家事を抱え込んでしまったり、なんでもやらないと、と思ってしまうような完璧思考の人は産後うつになりやすいと言われています。また、身近に家族や友人など悩みを相談したり、頼ることが苦手な人も要注意です。

産後うつは誰にでも起こりうると考えて

産後うつは特別で恥ずかしいものと思ってしまう人が多いのも事実。でも、そもそもうつ病はとてもよく起こる病気で、女性の場合約12人に1人が一生のうち一度はうつ病におちいります。女性は男性の2倍うつ病にかかりやすく、とりわけ人生の中でも妊娠中や産後は産後うつになる人が多く、4人に1人がなるという調査もあります。そのため、産後うつは誰でも起こるものだと考えておきましょう。

産後うつは夫がなることも

母親の産後うつ同様に、最近では、パートナーの妊娠期から産後1年までにおける父親のメンタルヘルスの不調もクローズアップされています。理由としては、父親も家事・育児をすることが当たり前という社会的な価値観が定着しつつあり、社会が父親に期待することや、理想的な父親像が変化する一方で、父親の労働環境が変わっていないことが挙げられます。そして、疲労が蓄積していても「母親の負担や疲労に比べればまだまだ・・・」と考えがちなのも理由のひとつ。夫婦で育児を抱え込むのではなく、ベビーシッターや預かり保育を積極的に活用することが大切です。

産後うつへの対策

産後うつにならなければそれに越したことはありません。そこで予防するために対策をまとめました。妊娠したら調べたり用意しておくことが基本。備えあれば憂いなしです。

体力・気力を回復させる

新生児のお世話を、産後の体調が戻っていないママ一人でするのは大変です。まずはパートナーや家族がサポートするのが大前提。妊娠中から家族に産後うつについて知ってもらい、育児・家事分担を相談しておくことが大切。家族のサポートが得られない状況であれば、自治体などの産後ケア事業を利用して、体を休めるようにするといいでしょう。産褥シッターや一時保育・ベビーシッターなどの情報を調べたり登録するなど、サポート体制を先に準備しておくのがポイント。とにかく、疲れたら無理をせずゆっくり休んで、体力と気力の回復にこころがけましょう。

孤立しない

子育ては、赤ちゃんにつきっきりになってしまうもの。気づいたら、子どもにかかりきりで、今日一度も大人としゃべっていないなんてことも。孤立した子育て、「孤育て」になってしまうと、気軽に誰かに相談したり、頼ることができなくなってしまい、産後うつに陥りやすくなります。ときには、育児を家族に任せて、友達と会っておしゃべりをしたり、子育て支援センターなどを使い楽しい時間を過ごしましょう。

パートナーが産後うつかも?と思ったら

パートナーが産後うつになってしまった時、一番身近な存在として何かできるのか悩んでしまうパパも多いですよね。どうするのが正解なのか、まとめてみました。

産後うつについて理解する

まずは産後うつについてきちんと理解しましょう。サボっているのでは、そのうち治るでしょ、というような無理解は、産後うつを悪化させる要因にもなります。情報が必要な場合には、保健師またはかかりつけ医にたずねたり、WEBで知識を得ることも大事。必要な支援や治療を受けるようにパートナーに勧めましょう。治療について何か不安なことがあれば、医師と話し合いましょう。

寄り添い、積極的に育児・家事の分担をする

ともに時間を過ごすだけでも産後うつ状態の人にとって手助けになります。話を聞き、励ましや手助けをすることが重要です。うつ病はきちんと治療をすれば良くなると言って安心させてあげましょう。でも過度な励ましは、ママを追い詰めてしまうこともあるので要注意。また、パパが育児・家事の分担をする場合にも無理はせず、シッターなど必要なサポートを受けるのが共倒れしないポイントです。

ゆるゆる育児が産後うつにならないポイント

育児は、自分がしっかり子どもを育てなければという責任感から、自分で抱え込んでしまったり、他の人からの助言を受け入れにくくなりがち。でも、子育てはこの先何十年も続くもの。とにかく無理をせず、適度に手を抜いたり、サポートを受けるのは悪いことではありません。ママがゆったりリラックスできている方が赤ちゃんもご機嫌だったりします。ぜひ、ゆるゆるとした育児を心がけてくださいね。

記事監修

本多 公子

臨床心理士 教育学修士
日本女性財団 設立共働発起人
消防庁 緊急時メンタルサポートチーム専門家
農林水産省 農業経営改善R2調査検討会 メンバー
日本プロ農業総合支援機構(J-PAO) 参与
PTSD専門研修(厚生労働省事業)名簿登載者

県立高校の教諭として20年以上、思春期の青少年達と向き合った後、総合病院ウィメンズセンター勤務や大学の学生相談室の運営等を経て「心の健康にも予防が大切」という理念のもと、2006年には、東京と岡山に心理オフィスを開設。
企業や組織それぞれに応じたハラスメント対策、メンタルヘルスケア等の職場環境快適化の支援を行う。また個人・カップルに延べ 6000回以上の心理療法を行う。
セミナー・講演会の講師としても幅広く活躍し、TV・ラジオでのコメンテーターや、新聞 ・雑誌での取材記事掲載なども多数。

 

文・構成/Hugkum編集部

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット

 

 

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