『アベベのぼうけん』は学校の授業にもおすすめ!すごろくを作って楽しくプログラミングを学んでみた!

プログラミング的思考が養える人気の絵本『アベベのぼうけん』。2020年12月に千葉市内の小学校で、この本を題材にしたすごろくワークショップが開催されました。

今回のワークショップの目的は「楽しみながらプログラミング的思考に触れてもらうこと」。子どもたちは『アベベのぼうけん』の体験とすごろくの制作を通して、どんな表現をみせてくれたのでしょうか。作品づくりを通しての学びの様子をレポートします!

プログラミングが遊びながら学べる『アベベのぼうけん』本

今回題材にする『アベベのぼうけん』という本についてご紹介します。

これは「物語」「すごろく」「プログラミング」が合わさった本で、文章に書いてあるとおりにすごろくで遊びながら、主人公のアベベと一緒に冒険を楽しめる内容になっています。

すごろくをしながら読み進めていく過程で、プログラミング的思考(手順やルールを筋道立てて考える力)や「変数」、「順次処理」、「条件分岐」といったプログラミングにおける基本的な考え方を身につけることができます。PCやタブレットがなくても、遊びながらプログラミング的思考を学べる本として、いま注目を集めています!

実はこの本、あの「ピタゴラスイッチ」の佐藤雅彦さん、「考えるカラス」「Why!?プログラミング」の石澤太祥さん、絵本「コんガらガっち」の貝塚智子さん、「アイスクリームが溶けてしまう前に」のダイスケ・ホンゴリアンさんなど、蒼々たるメンバーが制作に関わっているので、面白いカラクリが満載!子どもはもちろん、大人も楽しめる内容になっているんです。

『アベベのぼうけん』はどうやって作られた?担当編集者に聞いてみた!

授業レポートの前に、今回は『アベベのぼうけん』の企画から編集まで携わってきた小学館の編集者・甲斐さんに制作のきっかけや苦労した点などをお聞きしました。

    そもそも「アベベのぼうけん」を制作したきっかけは?

甲斐さん 実は企画当初は「プログラミングを学べる」ということはあまり考えていませんでした。僕らの想いとしては「知識を教えるのではなく、子どもが主体的に考えることができるなにか」を作りたかったのです。

作者の佐藤雅彦さんと一緒に「本当に面白いものはなにか」を追求しながら進めていたので、実は企画から連載に至るまで1年以上かかりました。

    制作の中で大変だったことは?

甲斐さん 子どもに楽しんで読んでもらうという点では、佐藤さんはじめメンバーの方々のアイディア、こだわりに感銘を受けました。

実際に目の前で子どもが読んでいるところをモニタリングさせてもらったときに、子どもの目の動きが「問題文→すごろく→問題文」と移っていくことに気づきました。これでは、同じ問題文をもう一回読んでしまったり、次に読む問題文がわかりにくいなと。。これを解決するために、番号に◯と□を交互に使うなど、子ども目線に立ってよりわかりやすくする工夫をしました。

やはり大人が作っているので、子どもの気持ちになることがすごく重要で、制作する上で苦労した部分が大きかったですね。

    アベベのぼうけんを今後どのように活用してほしい?

甲斐さん プログラミング教育って難しい、とっつきにくいというイメージがあるので「PCやソフトウェアを使わなくてもできるよ!楽しいよ!」ということをこの本を通して伝えたいです。

ご家庭ではもちろん、学校の授業でオリジナルすごろくを作ったり、体育館や校庭で大きなすごろくを作って、頭と体を使うコンテンツなどもやってみてほしいですね。プログラミング教育が必修化されて、先生たちが授業の内容を考えるときの一助になれれば嬉しいですね。

プログラミングの学びはそもそも楽しいものであると考える甲斐さん。「楽しんですごろくの本を読んでいたらプログラミング的思考が学べた」と思ってもらえたらうれしいそうです。『アベベのぼうけん』は、子どもが「主体的に楽しく考えること」をテーマに制作されたということがよくわかりましたね!

オリジナルすごろく、子どもたちはどう作る?実際に授業で試してみた!

「学校の授業でオリジナルすごろくを作ってみてほしいですね」という担当編集者のメッセージを受け、実際に子どもたちがすごろく作りに挑戦してみることに!

まずは『アベベのぼうけん』を読んで、プログラミングやすごろくの仕組みを理解したところから、制作をスタートしました。果たして、どんなオリジナルすごろくができるのでしょうか!?

グループごとにテーマ決め。宇宙やハンターなど設定もいろいろ

子どもたちはグループに分かれてテーマと内容を決めていきます。あるグループは「宇宙に行って宇宙人を探しにいくすごろく」、またあるグループでは「ハンターから様々なトラップをくぐりぬけて逃げていくすごろく」など、テーマ決めから盛り上がっています。

制作は、ひとりひとりが持ち場で力を発揮!

テーマを決めたあとはさっそく制作に取り掛かります。大枠のガイドラインを作成する子、ゴールまでの道のりを考え文字を書き進めていく子、色鮮やかにデザインを描いていく子など、子どもたちひとりひとりが持つ強みを存分に発揮してすごろくの作成に取り組んでいました。

「みんなに見て欲しい」自信作を発表!

力を合わせて作ったすごろくが形になってきたところで、すごろくをみんなに発表します。

▼発表【海になぞの生き物がきたから『にげろ』!】

この作品は海の生き物達の指示を聞きながら、最適なルートを選んでなぞの生き物から逃げていくすごろくだそうです。
 実際の文章に併せてすごろく内で描かれている魚たちの絵もセリフとして付け足されています。見やすさ、文章と絵の連動性など、細かい工夫が素晴らしいですね!
 分岐構造も数多く用いられ、1つ道を間違えるとクリアが不可能になるといった非常にシビアなシステム。ゴールができるかできないかのドキドキ感も伝わってきます。

子どもたちは我一番と積極的に手を挙げて「どのような作品が完成したのか」「頑張ったポイントはどこか」など、自分たちのすごろくの魅力を伝えたいという気持ちに溢れたプレゼンを行ってくれました。

▼生徒たちが作った作品はみらいいのこちらの記事で詳しく紹介をしています。ぜひご覧ください!

「楽しくすごろくをつくること」がプログラミングの学びになる

今回は、『アベベのぼうけん』の本を読んで、実際にすごろくを作って、楽しくプログラミングを学ぶという授業をレポートしました。すごろくの制作でプログラミングが学べることはもちろん、作りたいイメージに向けて試行錯誤を繰り返すことや、仲間と協働しながら作業をする経験、作ったものをみんなに伝えたいという積極的な姿勢など、主体的に考え行動する子どもたちはとてもイキイキとした表情をしていました。

学校や学童でも注目されている『アベベのぼうけん』のすごろくづくり。ぜひみなさんも本を読んで、オリジナルすごろくづくりにチャレンジしてみませんか。

記事監修

みらいい

「いいなぁ、みらい」をコンセプトに、子どもたちのみらいを切りひらくための機会を提供。webメディア「みらいい」やYouTube「みらいいチャンネルを中心とした先端教育に関する情報発信や成功体験を得るプロジェクトを推進。プログラミング教育やSTEM教育、SDGsに関する情報格差の解消を目指します。

 

さく/佐藤雅彦 さく/石澤太祥 さく/貝塚智子 え/ダイスケ・ホンゴリアン
本体1500円+税
まったく新しいプログラミングの絵本!『アベベのぼうけん』は、プログラムによってできている、まったく新しい形式の物語です。「プログラミング的思考って、こんなにわくわくするものだったのか!」と新たな気持ちになること間違いなしです。

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