1歳からできる「片づけ」で判断力を磨く! 魔法の片付け術で「自分で片づけられる子」に

何かとモノが増えがちな子育て期。でも、少し工夫すれば、快適に暮らせます。片づけやすい環境をつくることは、「自分で片づけられる子」を育てるためにも大切なこと。2児の母でもある片づけの専門家がコツを伝授します!

まずはLDKを親子が暮らしやすい環境に

片づけの目的は、見た目がきれいになるようにモノを整理することではなく、散らからない暮らしをして、家族が快適に過ごせるようにすることです。

子ども部屋がある家でも、子どもが幼いうちはLDK(リビング・ダイニング・キッチン)で親子が一緒に過ごす時間が長いもの。物置がわりにする部屋をつくってもよいので、まずはLDKを親子で安心して過ごせる空間にしましょう。すべての部屋を片づけなければと気負う必要はありません。

モノを捨てるよりも「空間」をつくることが大切

家の中のどこかひと部屋でもスッキリした空間をつくれば、モノを捨てなくても快適な暮らしは実現できます。散らかっているモノは片隅に寄せるだけでよいので、まずは片づけたいと思う場所を「更地(モノが何もない空間)」にしてしまいましょう。すると、子どもはそこでのびのびと遊べるようになり、おうちの方の気持ちもスッキリします。

家族みんなで作業を分担しながら、下のようなステップで片づけを進めていきましょう。

モノをいきなり捨てない片づけ3つのステップ

必要なモノと不要なモノを仕分けする作業から始めてしまうと、時間がかかるわりには片づけの成果が目に見えず、イライラしがちです。また、思い出の品を「今は使っていないから」という理由だけで捨ててしまうと後悔することも。

モノを捨てることから始めずに、左のステップで快適な空間をつくりましょう。

ステップ1 モノを寄せて何もない空間をつくる

片づけたい場所のあちこちにモノが置いてあるなら、とりあえず片隅に寄せるか、物置がわりにできる部屋やベランダなどに移動させましょう。スッキリとした何もない空間で過ごす心地よさを味わうと、そこを再びモノだらけにはしたくないという意識が働きます。

ステップ2 その空間で使うモノだけを戻す

片隅に寄せたり、別室に移動したりしたモノのうち、その空間で必要なモノだけを戻します。戻すかどうかを迷うモノがあるときは、「この空間で何をしたかったのか」を思い出して判断しましょう。戻す必要がなかったモノはあとで整理し、いらないモノは処分を。

ステップ3 よく使うモノは1秒で取れる場所に

使う場所と置き場所(しまう場所)が離れていると、もとに戻すのが面倒でそのままにしてしまい、散らかる原因に。ステップ2で戻したモノは、使うときに1秒で取れる場所に置くのが理想。「どこにあると便利?」と家族で相談しながら置き場所を決めましょう。

おもちゃが散らからない部屋づくりのコツ

子どもがすぐに戻しやすい環境をつくる

おもちゃが散らからないようにするには、どうしたら子どもがもとに戻しやすいかを考えて、環境を整えることが大切です。

「おもちゃで遊ぶ場所」と「使い終わったら戻す場所」は、離れすぎないように配慮を。リビングで遊ぶなら、ほかの部屋までおもちゃを戻しに行かなくてすむように、リビングにおもちゃ置き場をつくりましょう。

「片づけて」ではなく「戻してね」という言い方のほうが、何をしてほしいかが伝わりやすくなります。

おもちゃ箱に入れておくおもちゃは一定量をキープ

使わなくなったおもちゃを残したまま、新しいおもちゃを買い足していくと、子どもは「モノは際限なく増やしていいんだ」と勘違いし、必要か不要かを判断する基準を身につけることができません。

「家に置いておけるおもちゃは、この箱に入る分だけ。箱がいっぱいになったら、古いおもちゃとバイバイしないと新しいおもちゃは買えないよ」というモノの持ち方の基本を、おもちゃを通して小さいうちから教えていきましょう。

【1~2歳のうちは】なんでも入れるだけのざっくりBOXを用意

おもちゃの定位置を決めていても、毎回そこへ戻すのは難しいもの。「遊びをやめるときは何でもこの中に入れればよい」という「ざっくりBOX」を用意して、子どもが遊ぶ場所の近くに置いておきましょう。

1歳のうちは、遊び終えたら、おうちの方がざっくりBOXにおもちゃを入れる動作をやってみせます。2歳になったら、子どもの近くまでざっくりBOXを持っていき、自分で箱の中におもちゃを入れるように声かけをしていきましょう。

【3歳ごろからは】もとの場所に戻す経験を少しずつ

3歳を過ぎたら、ざっくりBOXではなく、おもちゃをそれぞれの定位置に戻す回数を増やしていきましょう。そのためには、子どもがいつも遊んでいる場所の近くで、子ども自身が出し入れしやすいところにおもちゃの置き場所をつくっておくことが必要です。

通園を始める場合は、玄関から入ってきたときに立ち寄りやすい場所に通園バッグなどの置き場所をつくると、帰宅後に自分でそこに置く習慣を身につけやすくなります。

身支度をリビングでするなら、衣類やケア用品のBOXもリビングにあると便利。

遊び終わったら次のことをする前にざっくりBOXに入れるのをルールに

食事やお出かけ、お風呂などで遊びを中断するときは、おもちゃを出しっぱなしにしないで、ひとまずざっくりBOXにすべて入れることをルールにしましょう。空間をもとの状態に戻してから次の行動に移るという習慣を身につけることが大切です。

きょうだいがいる場合は色やマークで分けてもOK

きょうだいがいる場合は、みんなで共通のざっくりBOXを使ってもいいですし、ひとりにひとつずつBOXを用意するのでもかまいません。箱を色分けしたり、それぞれのマークを付けたりすれば、文字が読めない子どもでも自分の箱がわかります。

古堅先生のお子さんの保育園時代のBOX。兄はさつまいも、弟は枝豆のマークが目印に。

休日はざっくりBOXの中身を親子で戻す遊びを

ざっくりBOXに入れたおもちゃは、休日など時間があるときに、親子で一緒にそれぞれの定位置に戻すようにします。「このおもちゃはどこにあったか、○○ちゃんはわかるかな?」といった声かけをすると、遊び感覚で楽しく取り組めるのでおすすめです。

子どもが自分のことを自分でやりたくなる収納のコツ

 

しまう場所は子どもの目線・動線で考える

収納は「片づけができる人」に合わせるのではなく、「できない人」に合わせて選ぶことが大切です。

理想は、子どもが使いやすい位置に、「入れるだけ」でよい収納があること。収納が不便な場所にあり、大人が出し入れをしていると、子どもが自分で片づける習慣を身につけられないので要注意です。

下駄箱はひとりずつ定位置を決める

玄関をスッキリさせたいなら、よく履く靴は出しっぱなしにせずに下駄箱にしまい、使う機会が少ない靴はクローゼットなどで保管を。

下駄箱は家族それぞれの靴の置き場所を決め、出し入れがしやすい一番下の段に「○○ちゃんの場所」をつくると、幼い子どもでも脱いだ靴をしまえるようになります。

古堅先生の家ではひとりにつき3足の靴を収納。子どもが小さいうちは、靴をしまう定位置にシールを貼るのがおすすめ。

子どもの衣類はタンスよりボックスに

タンスやクローゼットなど、引き出しや扉を開けないと取り出せない収納は、子どもには扱いにくいもの。衣類はフタのないボックスにしまうとすぐに取り出せて便利です。

パジャマや下着類は、お風呂上がりに子どもが自分で身につけられるように、脱衣所(洗面所)に収納しておくことをおすすめします。

収納の中はきれいにしなくていい

親子が心地よく過ごせる空間をつくることが片づけの目的なので、使ったモノが決められた場所に戻されていれば、収納の中まできれいに整理しなくても大丈夫です。

収納の中にモノをぎゅうぎゅうに詰め込んでしまうと、子どもには取り出しにくいので、ボックスなどの中身には余裕をもたせましょう。

衣類はボックスに収納すると出し入れしやすいので、洗濯後の服をたたんで自分でしまう習慣も身につけやすくなります。

片づけることが習慣になれば「生きる力」が身につく

片づけは、スッキリした空間をつくるための手段であると同時に、子どもが成長するうえで大切な経験になります。「片づける」という行為は、自分に必要なものは何かという判断の連続。その経験を通じて身につく判断力や自分で考える力は、将来の進学や就職といった場面でも役立つ「生きる力」だといえます。

片づけやすい環境を整えたら、おうちの方は手出しをしすぎずに、子どもが自分で判断して行動できるように見守っていけるといいですね。

 

記事監修

古堅純子先生

5000軒以上の家を片づけてきた、幸せ住空間セラピスト。整理収納アドバイザー1級。『シニアのための なぜかワクワクする片づけの新常識』(朝日新書)など著書多数。

『ベビーブック』2021年1月号別冊

文/安永 美穂 構成/童夢 イラスト/くわざわゆうこ

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