悩むのは、一生懸命、真剣に子育てしているから。いいお母さんの証拠です。【平山許江先生の子育て論】

Q : 子育てを楽しむには、どうする?

子どもはかわいい! と思うけれど時に腹が立ったりイライラしたりも。子育てが楽しいって、どういうこと?楽しく感じられなかったら?平山 許江先生に、子育てを楽しむコツを伺いました。

 

A : 子育てに誇りを持とう!

あるお母さんの話です。バリバリ働いていた仕事を辞め、家事と育児に専念した時、このままでは生産性がないと思ったらしく、給与に換算したらいくらになるだろうと思ったとか。そこで、例えば子どもをお風呂に入れたら○○円などと計算し、その分を貯蓄したら家が建った! 家事や育児には、それ相応の価値があると目に見えてわかったそうです。

残念ながら日本ではまだ、子育てをしている人の社会的地位は高くありません。でもお母さん自身が価値を低く考えてしまったら、楽しくないでしょう。お金に換算するのも悪くないし、「私は日本の未来を育てているんだ」と思ってもいい。子育てに誇りを持ってほしいと思います。

わが子が病気で苦しそうな時、お母さんは夜中でも起き出して様子を見たり、自分を抜きにして心配しますね。子育てほど、心の底から人のために、という気持ちにさせてくれるものは、他にないでしょう。子どもが小さい頃、そういう経験をした私は「なんて私っていい人」と自分にほれぼれ! 子どものおかげで、私の心にも無償の愛があると気づかせてもらえたと、とてもうれしかった。

子育ての楽しさは、面白おかしいというのとはちょっと違います。内から湧いてくる自分の価値に気づくとか、怒ったりも含めて純粋な気持ちになるとか、他では味わえない感動や満足感や喜びが味わえることでしょう。

 

ママにアンケート!子育てが楽しくないと感じやすい時は?

朝から晩まで「ママ、ママ」とまとわりつくので、イライラしてしまう

「まとわりつく」と感じてしまうのは、親の側の体か心が元気ではないのでしょう。まずそこを解決して。またこの言葉には、自分の仕事を邪魔されているというニュアンスが。家事を段取りよく済ませ、遊ぶ時間をつくってゆっくりつき合えば、子どもは満足します。

頑固でかんしゃく持ちで、思うようにいかない

子どもらしくていいじゃないですか。翻訳すると、頑固=意思が出てきた、かんしゃく持ち=やりたいことがある。すごい成長だとポジティブに考えましょう。「思うようにいかない」って、子どもの側も思っていますよ。だから歩み寄って。親の都合を通したい時は「あ、ママがやっちゃった、ごめんごめん」としれっと謝ったり。上から目線ではなく、子どもと同じ目線になり「ママ、ご飯の支度ができなくて困ったなあ」などと言っても。

 

プロが解説する子育てに「楽しみ」を見出すコツ

子どもの過去と比べてみて

子どもの過去と比べてみてください。少なくても1年前を思い出せば、「こんなこともできるようになったんだ」と成長ぶりに感動し、ほめることがいっぱい出てきます。それをに、来年はこうなるんじゃないかと希望も持てますね。

自分で自分を盛り上げる

★自分で楽しさをつくっても。私は子どもが大きくなった時の場面をいろいろ想像しては、「こんなことが起きたら、こう言おう」とか、お芝居みたいに台詞や演技を考えて楽しんでいました。

子供が育ったときのことを想像する

「いつまで一緒にお風呂に入れるかな」と思うと、今のお風呂タイムが急に貴重に思えるように、先のことを考えると、たとえ大変でも、今の子育てがかけがえのないものに思えてきますよ。

 

平山先生からママ、パパへアドバイス

悩むのは、一生懸命、真剣に子育てしているから。いいお母さんの証拠です。悩んだ時は、自分がしたことの悪い点といい点を天秤にかけてみましょう。例えば「怒った、でも食べさせた」「イライラした、でも絵本を読んであげた」とか。すると、世話をしたり、子どもに気持ちを向けていることのほうが多く、「なんだかんだ言ってもよくやっているよ」と自分をほめたくなります。

 

 

平山 許江先生

文京学院大学大学院特任教授

子育てのための退職や大学院へのオバサン入学をはさみ、私・国立幼稚園に20年勤務。短大勤務を経て現職。著書に『子育てはどたばたがよろしい』(世界文化社)など。

 

 

イラスト/松木祐子 構成/河又えり子 出典/『めばえ』

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