知っておきたい基本の掃除方法
浴槽には、入浴のたびにさまざまな汚れが付着します。入浴した日は、できるだけその日のうちに汚れを洗い流しましょう。毎日の浴槽掃除の基本を紹介します。
毎日できる掃除方法
浴槽をこまめに洗えば汚れが定着せず、毎日の掃除も楽になります。家族全員が入浴を終えたら、お湯を抜いて次の手順で掃除しましょう。
用意するものは、風呂用の中性洗剤と柔らかいスポンジ、古くなった歯ブラシです。
1.お湯をかけて浴槽全体を濡らす
2.洗剤をスプレーしてスポンジでこする
3.ゴム栓やパッキンの汚れは歯ブラシでこする
4.シャワーで洗剤を洗い流す
お湯が入っているときにできる「水位線」の付近は特に汚れやすいため、丁寧にこすり洗いをします。ゴム栓の周辺と金具類も、歯ブラシで汚れを取り除きましょう。
お湯を抜いた直後の掃除がおすすめ
浴槽内部に付いた汚れは、乾燥すると固まって落としにくくなります。そのためお湯を抜いた直後、浴槽がまだ温かいうちに掃除するのがおすすめです。
子どもの世話などで忙しく掃除をする時間がないときは、汚れが固まる前にシャワーだけでもかけておきましょう。シャワーの勢いで汚れがある程度流されるので、後の掃除が楽になります。
浴槽の材質別で見る掃除方法
浴槽の材質によっては、使う洗剤や洗い方を間違えると傷んでしまうことがあります。浴槽に使われる主な材質と、適した掃除方法を見ていきましょう。
FRP(ガラス繊維強化プラスチック)
住宅用の浴槽に最も多く使われているのが、軽量な樹脂素材・FRP(ガラス繊維強化プラスチック)です。FRPは肌触りがよく、優れた保温性・耐久性・耐衝撃性があります。
丈夫な素材ですが、塩素系漂白剤を使うと傷んでしまうため注意が必要です。
また、硬いたわしやクレンザーなどでゴシゴシこすると傷が付き、FRP特有の滑らかな感触が失われてしまいます。掃除の際は中性洗剤と柔らかいスポンジを使って、優しくこすりましょう。
プラスチック・ポリ
アクリルやポリエステルで作られる「人工大理石」は、デザイン性の高さと手入れのしやすさから、洗面台やキッチン、浴槽の素材として人気です。表面が滑らかで汚れが付きにくく、中性洗剤とスポンジで軽くこするだけできれいになります。
ただし天然の大理石とは異なり、とても柔らかいので、たわしやクレンザーの使用は避けましょう。アルカリ性・酸性の洗剤も、傷みや変色を引き起こす可能性があります。
ステンレス
ステンレスの浴槽はとても丈夫で、保温性に優れています。サビやヒビ割れ、変色などの心配がなく、長く使えるのもメリットです。
ただし表面は傷が付きやすいため、掃除の際は注意が必要です。たわしやクレンザーを使うと細かな傷が付いて、美しいツヤが失われてしまいます。ステンレス浴槽の掃除は、目に沿って一定の方向に磨くのがポイントです。
目に逆らってこすると傷になりやすいため、十分注意しましょう。
ヒノキなど木材
ヒノキに代表される木製の浴槽は、自然を感じられる香りや柔らかな肌触りが魅力です。
しかし、木の浴槽は腐食しやすく、油断するとすぐにカビが発生してしまいます。手入れがしやすいように特殊な処理を施した浴槽もありますが、他の素材に比べると非常に気を使うと考えてよいでしょう。
基本的には入浴を終えたら速やかにお湯を抜き、柔らかい布で水気を拭いてよく乾燥させます。
洗剤の使用やカビ取りの方法については素材によって異なるため、メーカーに問い合わせる方が確実です。
浴槽をきれいに保つポイント
浴槽をきれいに保つには、こまめな掃除の他にもいくつかの注意点があります。掃除の効果が高まるポイントを、具体的に見ていきましょう。
基本は汚れを放置しない
育児や家事に忙しいと、なかなか浴槽の掃除にまで手が回らないかもしれません。毎日の掃除が重要と分かっていても、現実には厳しい人も多いでしょう。
しかし浴槽の汚れは放置すると、だんだん落としにくくなります。ぬめりやカビが発生すれば、元通りにするために多くの労力がかかってしまいます。そのためできる範囲で構わないので、汚れを放置しないように心がけましょう。
毎日洗剤で洗うのが難しい場合は、シャワーのお湯で浴槽内をすすぐだけにして、週末に念入りに掃除するのもアリです。
水切り・徹底した換気も重要
浴槽をきれいに洗っても、高温多湿な状態が続くとぬめりやカビの原因になります。掃除の後は冷たいシャワーを浴室全体にかけて、温度を下げましょう。
その後、バスタオルや水切りワイパーを使って水気を切り、換気扇を回し続けます。窓がある浴室なら、入浴時以外は開けておくとよいでしょう。
メラミンスポンジは使わない
メラミンスポンジは柔らかそうに見えますが、一般的なたわしやクレンザーに比べて研磨力が強く、浴槽の表面を傷付けてしまいます。
傷に入り込んだ汚れは落としにくく、雑菌が繁殖する原因にもなります。頑固な汚れがある場合もメラミンスポンジに頼らず、汚れ・材質に合った適切な方法で対処しましょう。
「種類別」頑固な汚れを落とす方法は?
では、中性洗剤とスポンジだけでは落ちない頑固な汚れは、どのように掃除すればよいのでしょうか。汚れの種類別に詳しく解説します。
皮脂汚れには「重曹」
浴槽に付く汚れの中で最も目立つのが、入浴中に体から出る汗やあかなどの皮脂汚れです。すぐに掃除すれば簡単に落ちますが、毎日洗えないときや汚れを見落としてしまったときなどは、固まって落としにくくなります。
頑固な皮脂汚れには「重曹」が効果的でしょう。皮脂汚れは酸性なので、アルカリ性の重曹を使うと中和され、楽に落とせるのです。
ただし浴槽の壁に重曹水をかけても、すぐに流れ落ちてしまいます。以下のように、ペースト状にしてから使うとよいでしょう。
1.ボウルや洗面器に水と重曹を1:3の比率で入れ、ペースト状になるまで混ぜる
2.スポンジにペーストを乗せて汚れている部分に塗り、優しくこする
3.水でしっかりと洗い流す
重曹には研磨効果があるため、材質によっては傷が付く可能性があります。強くこすらずに、浮いてきた汚れを拭き取る程度にしましょう。
カビには「塩素系漂白剤」
浴室は家の中でも湿度が高く、黒カビが発生しやすい場所です。毎日お湯を入れ替える浴槽の内部はともかく、縁や壁との境目に黒カビが発生してしまうこともあります。
カビは菌の仲間なので、除菌効果の高い「塩素系漂白剤」がよく効きます。黒カビも、漂白効果ですっきりきれいになるでしょう。
スプレー式の塩素系漂白剤をカビの上からたっぷり吹きかけ、数分間放置して水でよくすすげば完了です。浴槽が濡れていると洗剤成分が薄まってしまうため、よく乾かしてから掃除をしましょう。
1回で落ちない場合は、同じ手順を何度か繰り返します。キッチンペーパーを当てて上からスプレーし、ラップでパックするのも効果的です。
塩素系漂白剤は刺激が強いため、使うときは浴室の窓やドアを開け、換気扇を強めに回します。ゴム手袋・マスク・ゴーグルも忘れずに着用しましょう。
また、浴槽がFRP(強化プラスチック)の場合、材質を痛めてしまうため使用は控えましょう。
水垢・石けんカスは「クエン酸」
浴槽を濡れたまま放置したり、浴槽内で体を洗ったりする人は水垢と石っけんカスに注意が必要です。どちらも固まるとしつこくこびりつき、少しこする程度では落とせなくなってしまいます。発見したら、できるだけ早めに掃除しましょう。
水垢も石けんカスもアルカリ性の汚れなので、酸性の「クエン酸」が有効です。クエン酸を使った掃除方法は下記の通りです。
1.スプレーボトルに水100mlとクエン酸小さじ1杯を入れて溶かす
2.汚れにスプレーを吹きかける
3.キッチンペーパーを当て、もう一度スプレーする
4.2~3時間放置する
5.キッチンペーパーをはがしてスポンジでこすり、水ですすぐ
汚れが軽い場合はキッチンペーパーを省き、スプレーして数分間放置するだけでもきれいになります。
また、クエン酸と塩素系洗剤が混ざると有害ガスが発生して、大変危険です。カビ取りと水垢掃除は同時にやらないように注意しましょう。
「番外編」追い焚き機能付き浴槽について
追い焚き用の配管も、お湯の中に含まれる皮脂汚れや雑菌がたまりやすい場所です。追い焚きの際に配管から汚れが出てきて、浴槽内に広がってしまうこともあります。
浴槽に追い焚き機能が付いている場合は、1~2カ月に1度は配管を掃除したいものです。
配管の掃除には「風呂釜専用洗剤」または「酸素系漂白剤」を使います。配管のタイプ別に、掃除方法を詳しく見ていきましょう。
一つ穴タイプの浴槽
穴が一つしかない「強制循環タイプ」は、以下の手順で掃除します。
1.穴の上から5~10cmを目安に水をためる
2.風呂釜用洗剤または酸素系漂白剤を回し入れる
3.追い焚きをする
4.2~3時間放置する
5.5分間追い焚きをして排水する
6.再度同量の水をため、5分間追い焚きをする
7.排水してフィルターを掃除する
最初の追い焚きは40~50℃の高温に設定すると、汚れがよく落ちます。酸素系漂白剤を使う場合は、汚れの程度に応じて300~500gで量を調整しましょう。
二つ穴タイプの浴槽
二つ穴タイプは「自然循環タイプ」と呼ばれます。風呂釜用洗剤の中には一つ穴タイプにしか使えないものもあるので、購入時は注意しましょう。
掃除の手順は以下の通りです。
1.フィルターを外す
2.下の穴に古くなったタオルを詰める
3.上の穴に洗剤または酸素系漂白剤(約50g)を入れる
4.40~50℃のお湯を上の穴に注ぐ
5.そのまま2~3時間放置する
6.下の穴に詰めたタオルを抜き取る
7.シャワーやホースで汚れを洗い流す
8.フィルターを洗って取りつける
下の穴からお湯が流れ出ないように、しっかりとタオルで塞ぐのがポイントです。またタオルを外すときは、必ずゴム手袋を着用しましょう。
最後は上下の穴からたっぷりと水をかけ、汚れをかき出します。
きれいな浴槽で1日の疲れを癒そう
浴槽の掃除は、風呂を使った直後に毎日実施するのが理想です。素材や汚れの種類に合う方法で掃除をすれば、浴槽掃除の負担も軽くなります。
こまめな掃除で浴槽をきれいに保ち、仕事や家事でたまった疲れを癒しましょう。
文・構成/HugKum編集部