「尿路感染症」はどんな病気?
「尿路感染症」はあまり聞きなれない病気ですが、大人では「膀胱炎」や「腎盂炎」と診断される病気を子供の場合はまとめて「尿路感染症」と呼び、尿の通り道に炎症が起こる病気です。
赤ちゃんは特に注意
赤ちゃんの場合、進行するまで気がつかないこともあり、痛みや発熱、放置すると別の病気へもつながることもあるため注意が必要です。
「尿路感染症」の原因は?
尿の通り道に菌が入ることにより起こる
腎臓でつくられた尿は膀胱へ送られ、尿道を通って体の外に出されます。尿路感染症は、尿の通り道のどこかに炎症が起こる病気です。多くの場合、尿の出口である尿道から大腸菌などが入ってくるために起こります。
子供がかかってしまった時の症状
排尿時の痛みなどが起こり、進行すると発熱も
おもな症状は、排尿時の痛み、尿が近くなる、残尿感など。進行すると、発熱や背中の痛みなどが見られます。
「尿路感染症」にかかってしまった場合の基本治療
症状に応じて抗生物質、飲み薬などで治療
病院では尿検査を行い、顕微鏡で白血球の数を調べたり、細菌の検査をしたりします。尿路感染症と診断された場合、年長児で熱がなければ抗生剤の飲み薬が処方されることもあります。
熱は出る?入院が必要な場合は
発熱しているときは腎盂(腎臓でつくられた尿が集まる部位)に炎症が起こっている(=腎盂炎)可能性があるので、尿検査に加えて血液検査をし、抗菌薬の点滴による治療も行うため、数日~1週間の入院が必要になります。
治療の基本スケジュール
腎盂に炎症が起こっている場合は数日から1週間程度の入院治療必要になることも。
尿路感染症が起こる部位
尿路(腎盂 腎臓 尿管 膀胱 尿道)
子供の場合、尿路のどこかに細菌が感染したものを「尿路感染症」と呼びます。
「尿路感染症」予防のために家庭でできること
風邪症状がないのに熱が出たときは要注意
予防のためには、陰部を清潔に保つことを心がけます。ひとりでトイレに行ける子の場合、女の子には、排便後は前から後ろへ拭くように教えましょう。体調を言葉で伝えられない年齢の場合、排尿時の異常などには気づきにくく、症状が進んでしまうことがあります。風邪の症状がないのに熱が出た場合は、尿路感染症の可能性もあります。放置すると腎障害につながることもあるので、早めに受診しましょう。
記事監修
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。
出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 再構成/HugKum編集部