出産や育児をしていると、急に病院に行かなければいけない、急いで保育所や幼稚園にお迎えに出なければいけないなど、突発的な出来事が起こります。地方の自動車社会に暮らしていれば、自家用車で事足りますが、都心部で自動車を保有していないとなると、そういった緊急時の足に困ります。
そんな出産中、育児中のパパ・ママに優しいタクシーが「子育てタクシー」。「そんなの聞いたことがないけど?」という人に向けて、今回は全国子育てタクシー協会の情報を基に、子育てタクシーについてまとめたいと思います。
目次
どんなサービスをしているの!? 子育てタクシーとは?
そもそも子育てタクシーとは何なのでしょうか? 上述の全国子育てタクシー協会の公式ホームページを見ると、
<子育てタクシードライバー養成講座課程を修了したドライバーが専門に乗務する、お子さんやその保護者、また妊娠中の方にも優しいタクシー>(全国子育てタクシー協会の公式ホームページより引用)
とあります。
コース別にいくつかのサービスが
要するに妊娠中のママも含めてパパとママに優しいタクシー。かんがるーコース、ひよこコース、こうのとりコース、ふくろうコースと幾つかのサービスがあり、例えば事前打ち合わせを終えている子育てタクシーに連絡をすれば、下の子の急病で上の子の保育園にお迎えができない場合などに、担当ドライバーが指定された保育園に迎えに行き、おばあちゃんの家に送り届けるといった送迎を代行してくれるサービスがあります。ファミリーサポーターに送迎を依頼するように、子育てタクシーに送迎を依頼できるのですね。
他にも母体に配慮した車両で妊婦を産院に運んだり、夜間の救急病院へ親子を乗車させ急行したり、通院や健診など荷物を抱えながら子どもと移動する際の便利なサポーターとして、ドライバーが荷物を玄関まで運んでくれたりするサービスもあります。
札幌や仙台にも?北海道や東北の子育てタクシー会社
ただこの子育てタクシー、全国のどこにでもあるわけではありません。「子育てタクシー」と名乗るには、全国子育てタクシー協会が指定する養成講座を8時間以上受け、子育て支援施設で保育実習を修了しなければなりません。では現状(2018年11月執筆時点)で、北海道や東北には「子育てタクシー」を名乗れる会社は、どの程度あるのでしょうか。幸いにも北海道・東北は全県に子育てタクシーが運行しています。
○北海道(2社)
- 札幌団地タクシー
- 十勝中央観光タクシー
○青森(2社)
- 日乃出タクシー
- 北星交通
○岩手(2社)
- ヒノヤタクシー
- 水沢タクシー
○宮城(1社)
- フタバタクシー
○秋田(9社)
- 秋田合同タクシー
- あさひ自動車
- 黒銀タクシー
- 国際タクシー
- 秋北タクシー
- 新昭和タクシー
- つばめ自動車
- 本荘タクシー
- よこてタクシー
○山形(17社)
- 日観光タクシー
- 朝日タクシー
- 吾妻観光タクシー
- 尾花沢タクシー
- 寒河江タクシー
- 蔵王タクシー
- 新庄タクシー
- 第一タクシー
- 中央タクシー
- 中央タクシー
- 米沢酒類販売ツバメタクシー営業所
- 平成タクシー
- 港タクシー
- 八千代交通
- 山形タクシー
- 山交ハイヤー
- 山寺観光タクシー
○福島(5社)
- 会津乗合自動車株式会社
- いわきタクシー
- 喜多方交通
- 北福島タクシー
- クラブ自動車
自動車検査登録情報協会の「都道府県別の自家用乗用車の普及状況(軽自動車含む)」を見ると、意外にも北海道は1世帯当たりの自動車普及率がちょうど1台といった感じで、低めです。北海道の都市部に住んでいて、悪天なのに足がないときなどは、特に便利かもしれませんね。
東京,埼玉,神奈川,千葉など、関東の子育てタクシー会社
東京や埼玉、神奈川に千葉など首都圏、関東圏はどうでしょうか。上述の自動車の普及状況を見ると、東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏は、普及率が全国的に見て極めて低いです。特に東京は全国最下位で、1世帯当たり0.45台しか車が普及していません。その意味で、首都圏で子育てをしているパパ・ママからすれば、子育てタクシーの価値は大きいとも思えますが、サービスの普及状況はどうなのでしょうか。
○東京(1社)
- 日の丸交通
○神奈川(12社)
- アサヒタクシー
- 神奈川都市交通
- 神奈川都市交通 大和・相模原
- 川崎タクシー
- ケイサンタクシー
- コスモ交通
- サンタクシー
- 湘南交通
- 逗子菊池タクシー
- 東宝タクシー
- ハートフルタクシー
- 三ツ境交通
○千葉(6社)
- 市原興業 IKタクシー
- 市原ベイタクシー
- 潤井戸タクシー
- 協進交通
- 銚子タクシー
- 武藤自動車
○埼玉(6社)
- 岩槻タクシー
- イーエム・アイ
- 大宮自動車
- 彩和タクシーグループ 昭和タクシー
- 志木合同タクシー
- 八千代交通
北関東3県のうち、群馬には子育てタクシーが現状で運行していません。茨城では新栄タクシー、栃木では鬼怒川タクシー、栃木ロイヤル交通が子育てタクシーを運行しています。
大阪,神戸,京都など、関西の子育てタクシー会社一覧
一方で近畿地方はどうでしょうか。大阪市や堺市など大都市を抱える大阪は東京の次に自動車の普及率が低く、京都や兵庫も自動車の普及率は1世帯当たりで1台を下回っています。関西、さらには三重県を含む近畿地方で子育てタクシーを運行している会社がある府県は、滋賀、京都、大阪になります。
○大阪(1社)
- 堺相互タクシー
○京都(2社)
- 西都交通
- 都タクシー
○滋賀(1社)
- 近江タクシー
自動車の普及率が低い府県が多い中、子育てタクシーの運行もそれほど盛んではないという現状が分かります。特に兵庫は自動車の1世帯当たりの普及率が1台を切っていて、全国で普及率は43位と下位ですから、子育てタクシーを運行させるタクシー会社の登場が期待されますね。
名古屋は?中部の子育てタクシー会社
中部地方はどうでしょうか。今回は東海と北陸、信越を全て含めて中部とします。北信越では新潟県に子育てタクシーを運行する会社があります。
○新潟(4社)
- 中越交通
- 万代タクシー
- 日の丸観光タクシー
- やまとタクシー
東海では岐阜、静岡、名古屋のある愛知で多くの子育てタクシー運行会社があると分かります。
○愛知(11社)
- 朝日タクシー
- 犬山タクシー
- 尾張交通
- 尾張西部タクシー
- 尾張北部タクシー
- 香流運輸
- 新川タクシー
- 宝交通
- 中川タクシー
- 二葉タクシー
- 豊自動車
○静岡(6社)
- さくらタクシー
- 静岡ひかりタクシー
- 静清交通
- 千代田タクシー
- 南急観光
- 富士交通
○岐阜(13社)
- 川島タクシー
- 近鉄東美タクシー
- 岐阜交通
- 岐阜名鉄タクシー
- コミュニティタクシー
- 高富タクシー
- つばめ自動車 岐阜支社
- 東鉄タクシー
- 日本タクシー
- 濃飛乗合自動車
- 日の丸自動車 日の丸タクシー
- 平和コーポレーション
- 柳津タクシー
広島は?中国・四国の子育てタクシー会社
次は中国・四国地方の子育てタクシー会社をチェックしてみましょう。自家用車の普及率が低い県は、広島、山口、愛媛、高知あたりになります。1世帯当たりに1台以上はどの県の家庭も車を保有しているようですが、全国的に見て普及率はやや低め。その中国・四国地方の中で、広島、山口、香川、愛媛に子育てタクシーを運行する会社があります。
○広島(3社)
- 東広島タクシー
- 富士交通
- 平和タクシー
○山口(3社)
- 宇部構内タクシー
- 日本交通産業
- 湯田都タクシー
○香川(4社)
- 大和タクシー
- トキワタクシー
- 花園タクシー
- 本山タクシー
○愛媛(3社)
- 伊予鉄タクシー
- ときわタクシー
- 光タクシー
自家用車の普及率が低めな広島など、地方の大都市を中心に自動車なしで子育てしているパパ・ママなどには、子育てタクシーは便利なサービスかもしれませんね。
福岡や那覇は?九州や沖縄の子育てタクシー会社
最後は九州や沖縄で子育てタクシーを運行している会社をチェックしてみます。1世帯あたりの自家用車の普及率の低さで言えば、やはり福岡が最も低く、次いで長崎、鹿児島などが続きますが、意外にも福岡には子育てタクシーを運行する会社が存在しないようです。
○佐賀(16社)
- 有田タクシー
- 大町観光タクシー
- 小城タクシー
- 温泉タクシー
- 基山タクシー
- 再耕庵タクシー
- 西肥亀の井タクシー
- 佐賀タクシー
- 昭和自動車
- ジョイックス交通
- 武雄タクシー
- 中央タクシー
- 鳥栖構内タクシー
- 鳥栖タクシー
- 有限会社 錦タクシー
- 吉野ヶ里観光タクシー
○長崎(6社)
- エキマエタクシー
- 合同タクシー
- シルバータクシー
- 長崎タクシー
- 春雨タクシー
- ラッキー自動車
○宮崎(2社)
- エムアール交通
- 三和交通グループ 宮崎タクシー
○沖縄(4社)
- 沖縄交通
- 共同交通
- つきしろ交通
- 北部観光タクシー
以上、子育てタクシーを運行する全国の会社一覧をまとめました。荷物の多い子連れの外出をサポートしたり、通園や通学、通塾を代行したり、陣痛時に産院に直行する足になったり、夜間の急な発熱などの移動手段になったりしてくれる子育てタクシー。
ただ、保育園や幼稚園、学童保育に保護者の代わりに迎えにいくサービスや、妊婦を産院に急行して連れていくサービスなどは、事前の登録が必要になります。サービスに興味のあるパパ・ママは、上述の一覧を参考に、身近な子育てタクシー会社を探してみるといいかもしれませんね。
文/坂本正敬
参考
※ 都道府県別の自家用乗用車の普及状況(軽自動車を含む) -自動車検査登録情報協会