「ねんどん」はどんなキャラクター? やぶの先生に聞いてみた
やぶのてんや先生は大ヒット作『イナズマイレブン』でも知られ、現在「コロコロイチバン!」で「ねんどん」を連載中。
「ねんどん」は子どもが大好きなねんどでできていて、どんな形にも変形できる!
そんな魅力たっぷりの「ねんどん」が絵本になりました。どんなお話なの? 想像しただけでワクワクしてきますね。
小学生のパパでもある、やぶのてんや先生に「ねんどん」の魅力をたっぷり語っていただきました。
著者紹介
東京都出身。1990年『情熱のクリッパー』でデビュー。『イナズマイレブン』(コロコロコミック)で、第34回講談社漫画賞、第57回小学館漫画賞を受賞。その他の代表作に、『うるとらイレブン』(週刊少年ジャンプ)、『ボッチ わいわい岬へ』(コロコロイチバン!)など。
Twitter https://twitter.com/yabu_ten
「ねんどん」はどのように生まれたキャラクターですか?
子どもがねんど遊びをしているのをみて、自分もよく遊んでいたのを思い出したんです。
ねんどを見ると「さあなに作ろう?」と自由を前にワクワクする感覚、あったなぁって。そのとき児童漫画の題材として、いつか使いたいと思いました。
あらためて見ていると、こねてのばして、思ったとおりのかたちのモノを作ることができるってすごい遊び道具ですよね。
しかも、いくらでも作ったり壊したり「トライ&エラー」を繰り返して遊ぶことができる。
この「トライ&エラー」は、ねんどんのキャラクターを作るうえで、とても大事なキーワードになりました。
最初はもう少し年齢が上の「コロコロコミック」のキャラクターとして考えていたのですが、ねんど自体は年少の頃に夢中になる子が多いということで、小学校に就学前後の子どもが読む雑誌「コロコロイチバン!」に向けて、わかりやすいシンプルなキャラクターにかわりました。
もし「コロコロコミック」で考えていたら、ねんどを使った超能力「念動力」ならぬ「ねんど力」で土を変形させて戦う超能力キャラクターになっていたかもしれません(笑)。
絵本にチャレンジしようと思ったのはどうしてなのでしょう?
もともと、より児童向けの作品を描きたいと思っていたんです。僕はどちらかというと抽象的な、たとえば「赤くてまるいもの」がリンゴになったり太陽になったりするような「見立て」の感覚や、リアルなものよりシンプルな表現が好きなんです。そういう感覚を読者の子どもたちと、より共有できたらいいなと思っていて。
「コロコロイチバン!」という雑誌が、インパクトのあるギャグやハードなバトルといったものだけでなく、ほのぼのとした古き良き学年誌のような漫画も載せてもらえる雑誌で、そういう雑誌だからこそ描ける作品があるんじゃないか、と思っていたのもひとつ。
そしてちょうど編集長が同じ意見を持っていて、親子で読める絵本的なものを雑誌で連載することを、強くバックアップしていただけたのが大きいです。
一見シンプルすぎるかも…と怖くなるところも、ささえてくださる。そういう意味では、絵本チャレンジは編集長と二人三脚のチャレンジですね。
作品を作るとき苦労したのは、どんなことですか?
いつも苦労するのは、ねんどんが変形に失敗した姿のデザインです。
最初に描いたものはつい、まとまったデザインになってしまいがちで、そこから、あえてくずしていくことが多いです。
できれば読者の子どもには「これなら僕の作ったねんどのほうが上手い!」と思ってもらいたい。でも、ただブサイクなだけでなく愛嬌のあるかたちにしたい。
ということで、自分の子どもの作品を見たりしながら、まさに試行錯誤しています。
なんだか、へんな試行錯誤ですけど(笑)。
「ねんどん」を通して伝えたいことはありますか。読者の親子へメッセージ をお願いします。
ねんどんは、お兄ちゃんに認められたい弟のようでもあり、親のお手伝いをして褒められたい子どものようでもあります。
だけど、まだまだ不器用でうまくいかない。
そんなところを、子どもには共感してほしいですし、親御さんには「ああ、うちの子もこんな感じで健気にがんばっているな」と重ね合わせて読んでほしいなと思います。
また、試行錯誤と失敗をするチャンスは子どもの特権ですし、それをいかにたくさん与えられるかが大人の役割だとも思うのです。
ねんどんが失敗してもめげずに何度でも何度でもトライ&エラーを繰り返す姿をとおして、親子の生活の一助になったらうれしいと思っています。
親子で読んでみよう「ねんどん」第1話
ねんどんは、ねんどのまじん。たのまれたら何にだってへんけいできちゃうけど、 うまくへんけいするのはちょっぴりにがて・・・。でも、そんなねんどんのまわりは なぜだかみーんなえがお! 月刊コロコロイチバン!で大人気連載中!!
絵本には3話分を収録、絶賛発売中。
文・構成/HugKum編集部