子どもの喉の痛みはなぜ?
子どもが喉の痛みを訴えってきたら注意のサイン。喉の痛みが起こるきっかけにはさまざまな原因が考えられます。考えられる原因やそれぞれの症状を知り、いざという時に自宅でも適した対処ができるように準備しておきましょう。
子どもが喉を痛がる原因
子どもがのどを痛がる症状がみられた場合、考えられる主な原因をみていきましょう。
風邪
喉の痛み、鼻水、鼻づまりの症状が主にみられ、多くの場合がウイルスや細菌の感染によって風邪の症状があらわれます。子どもが風邪の症状で鼻水が多くなると、中耳炎につながることもみられるので注意が必要です。子どもが耳の違和感をうったえている場合は、耳鼻科を受診し、適切な処置をしてもらいましょう。
アデノウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス
風邪の原因となるウイルスはさまざまありますが、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルスといった風邪の症状を伴うウイルス感染が子どもでよくみられます。いずれも感染力が強いウイルスなので、日ごろから手洗いうがいを心がけるようにして感染を防ぐことが大切です。
アデノウイルスに感染すると、のどの痛み、扁桃に白い斑点、発熱といった症状が現れます。プール熱(咽頭結膜熱)の原因となるウイルスでもあり、目ヤニや眼の痛みなどを伴う結膜炎の症状がみられる場合があります。夏場に多く見られますが、季節に関係なく風邪の原因ウイルスとして蔓延しています。
RSウイルスには、秋~春にかけてに感染する子供が多く、2歳までにほとんどの幼児が1度は感染しているともいわれています。主に0~1歳児が発症し、軽い風邪の症状~肺炎までと症状はさまざまで、初めて感染発症した場合に症状が重い傾向があります。
インフルエンザウイルスは、例年冬場に流行し、高熱、悪寒、関節痛、倦怠感といった症状がみられます。医師の判断により、抗インフルエンザウイルス薬によって治療されることがあります。インフルエンザウイルスに対しては、流行前のワクチン接種(任意)により、「感染後に発症する可能性を低減させる効果」と、「発症した場合の重症化防止に有効」と報告されています。厚生労働省によると、子どもがインフルエンザウイルスに感染すると異常行動を起こす恐れがあるとし、自宅療養でも一人にならないように注意を呼びかけています。
ウイルスのタイプによって対処法が変わり、アデノウイルスやRSウイルスに対する抗ウィルス薬はなく、症状を緩和する対症療法がおこなわれます。
扁桃炎
口を大きく開けて舌の根元の両側にみられるこぶのような部分(扁桃)が炎症し、のどの激しい痛みや発熱、倦怠感などの症状があります。免疫力の低い乳幼児や疲れにより免疫力が下がった時に引き起こしやすく、繰り返し扁桃炎になったり、他の病気を併発したりする場合もあります。頻繁に同様の症状がみられたり、症状が長引いていたりしている時は医師に相談しましょう。
溶連菌感染症
溶連菌などの細菌に感染して喉の痛みがでることも、学童期の子どもによくみられます。溶連菌は、咽頭炎、扁桃炎を起こす細菌であり、感染すると、喉の痛みに加え、高熱、いちご舌などの症状がみられ、抗生剤の内服で治療されます。1~2歳児の場合、熱や発疹などが見られず、風邪と区別しにくいこともあるので注意が必要です。
ママパパの体験談
2~12歳のお子さんがいるママパパに子どもの喉の痛みに関する体験談を教えてもらいました。喉の痛みといってもさまざまなウィルスや細菌の感染が原因となっており、肺炎などの合併症の併発を経験したお子さんもいるようです。
子どもの喉が痛いときの対処法
子どもが喉が痛い日はどのように過ごしたらいいのでしょうか。自宅での対処法をみていきましょう。
安静にする
激しい運動は控えて自宅でゆっくり過ごすようにしましょう。大きい声で騒いだり、叫んだりすると喉に負担がかかるので、喉を休ませてあげることも大切です。体調の不良は、疲れて免疫が下がった時に起こりやすいので、体を十分休ませて、日ごろから睡眠をしっかりととるようにしましょう。
室内を加湿する
特に冬の乾燥しやすい季節では、室内の空気が乾燥しがちです。空気が乾燥すると、喉の粘膜が乾燥し、ウイルスや細菌に感染しやすくなります。部屋の湿度は50~60%を保てるように、加湿器などを使って適切な湿度環境を作りましょう。寝る前に、濡れタオルを部屋に干しておくだけでも効果的です。
長風呂は避ける
長時間のお風呂は避け、十分な水分補給をし、入浴後に湯冷めをしないように気を付けましょう。
市販薬は使える?
激しい痛みや高熱が出た時に痛み止めや解熱剤を飲むことも可能ですが、薬が必要なほどの痛みなどの症状がある場合は、病院に行って医師の指示に従うようにしましょう。また、市販薬を服用する場合な使用量をきちんと確認し、子どもの成長に合った薬のタイプ(シロップやドライシロップ(顆粒)、粉薬など)を選ぶようにしましょう。
子どもの喉が痛い日の食事
喉が痛い日の食事はどのようにしたらいいでしょう。上手な栄養の摂り方をみていきましょう。
痛みが少ないとき
ウイルスや細菌から体を守るためには、十分な栄養と栄養バランスの整った食事をとることが必須です。栄養バランスの整った食事を1日3食きちんと食べるようにし、健康な体作りを心がけるようにしましょう。子どもの好き嫌いをなくせるように、お野菜克服レシピを参考にしてみるのもおすすめです。暖かい食べ物でしっかりと体を温め、消化しやすい食べ物を選ぶようにしましょう。
痛みが強いとき
痛みが強いときは、のどに通りやすいおかゆやスープなどやわらかい食べ物がおすすめです。無理をしてたくさん食べる必要はありませんが、抵抗力をつけるためにも、きちんと栄養を摂る必要があります。
おすすめの食べ物・飲み物
喉が痛い時は、水さえ飲みたがらない子どもも多いです。薬局などで売っている経口補水液や子供用のイオン水は、ゼリータイプだと刺激が弱いこともあります。また、ビタミンAを含んだニンジンやホウレンソウ、ブロッコリーなどの野菜がたっぷり入ったスープやお味噌汁、冷やしたおじやもおすすめです。
健康食品としても知られているプロポリスが入ったはちみつは、風邪の治りに効果的であるとの研究結果もあります。子どもには、すりおろしたリンゴにはちみつを混ぜて食べさせたり、白湯にはちみつを溶かして飲ませるのもおすすめです。ただし、ハチミツを食べることによって乳児ボツリヌス症にかかることがあるので、1歳未満の赤ちゃんにはちみつ入りの飲料・お菓子を含んだ食品などを与えるのは避けましょう。
避けたい食べ物・飲み物
熱すぎるもの、冷たすぎるもの、辛いものなど喉を刺激してしまうものは避けましょう。スープも食べる時はある程度冷ましたものを飲むように。酸味が強い柑橘類は喉にしみやすいので控えるようにしましょう。
病院を受診する目安
では、どのような場合に病院で診てもらう必要があるのでしょう。受診する目安を覚えておくといいですね。
発熱がある場合
咳や鼻水などの症状がなくても熱が出ている場合は、小児科を受診するようにしましょう。喉の痛みがある時は、発熱もしやすいので、朝晩と定期的に体温チェックをするようにしておくといいですね。
熱なくても受診するケース
喉の痛み以外にみられる症状を確認しましょう。食事や睡眠が十分にできていない、ぐったりとしている、呼吸が苦しそう、おしっこの回数が異常に少ない、耳を痛がるなどの症状がある場合は、医師に早めに診てもらう必要があります。
乾燥した季節に
これからの乾燥した季節に起こりがちな喉の痛みは、普段から栄養バランスのとれた食生活と規則正しい生活で防ぐことができます。子どもの喉の痛みのサインを見極めて、必要な場合は早めに病院で診てもらうようにしましょう。体に抵抗力がつくようにもう一度生活習慣を見直し、手洗いうがいを心がけて、元気に冬を乗り越えましょう!
記事監修
杉田 亮
文・構成/HugKum編集部