ビタミンDを摂取すれば、インフルエンザ対策に有効!ビタミンDが摂れるおすすめレシピも

今年度は、インフルエンザによる学校閉鎖がすでに去る9月から起こっていますが、流行の本番はこれから。お子さんの体調管理によりいっそう心を配るお母さんが多いのではないでしょうか。

そんななか、免疫機能を高める「ビタミンD」の効果について、ビタミンD研究の第一人者・田中清教授(神戸学院大学 栄養学部)の監修によるデータが大塚製薬より発表されました。今回は、その概要をご紹介します。

「ビタミンD」の摂取は、インフルエンザにも風邪対策にも有効です!

まず注目すべきは、日本人研究者によって行なわれたビタミンDとインフルエンザの感染に関する調査結果です。

その調査によると、ビタミンDを摂取している人ほど、インフルエンザの発症リスクが低くなることが判明しています。

調査は6~15歳の日本の児童を対象に、2008年12月から2009年3月の期間に行なわれたもの。調査対象の児童を「毎日ビタミンDのサプリメントを与えるグループA」と、「毎日有効成分を含まない錠剤を与えるグループB」に分け、インフルエンザの発症率を調べたところ、グループAのインフルエンザの発症率は10.8%で、グループBの発症率は18.6%であることが判りました。

また、アメリカの研究者たちが行なった調査(※)によると、以下の3つの結論が導き出されています。

 

1・ビタミンDを摂取することで、すべての参加者の「急性上気道感染症」の発症リスクが減少していた。

2・ビタミンDを摂取することで、体に害のある事象の発生率は増加しない。

3・毎日、あるいは毎週、あるタイミングで定期的にビタミンDを摂取し続けた参加者において、とくにポジティブな効果が認められる傾向が強かった。

 

要するに、ビタミンDには風邪に対する保護作用があり、適切なビタミンDの摂取は人体に安全であることが明らかになったわけです。

 

※調査は、「急性上気道感染症」(いわゆる風邪)の罹患率と、「25ヒドロキシビタミンD」(体内にあるビタミンDになる前のもっとも良い状態の養分)の血中濃度との関係性について調べた、25の研究結果(0~95歳の1万933名のデータ)を、アメリカの研究者たちが検証・分析したもの。

 

ビタミンDの適切な摂取と、各種対策を組み合わせて健康的な生活をおくりましょう!

これらのデータから、近年、ビタミンDの適切な摂取は、インフルエンザや風邪の発症リスクを低くすることが判明しています。この冬は、インフルエンザの予防接種など従来の対策に加えて、日常生活の中でビタミンDの継続的な摂取を心がけてみてはいかがでしょう。

ビタミンDは、下表にある魚類やきのこ類を食べることで、無理なく摂取することができます。これからの季節におすすめのビタミンDが豊富に摂れるメニューも一緒に紹介しておきましょう。

これからの季節におすすめのビタミンDメニュー

石狩鍋

↑「石狩鍋」は、ビタミンDが豊富な旬のサケや舞茸をまとめて食べられる。

サーモンといくらのスパゲッティ

↑「サーモンとイクラのスパゲッティ」は、

旬のホウレンソウを加えれば、ビタミンDだけでなく、

風邪対策に有効なビタミンCも一緒に摂ることが可能。

 

インフルエンザの流行期となる、これから春先にかけての過ごし方として、監修の田中清教授は「ビタミンDの継続的な摂取のほかに、インフルエンザや風邪などの感染症からカラダを守るためには、以下の3点に注意するといいでしょう」とコメントしています。

インフルエンザや風邪などの感染症予防のための3つのポイント

感染源からできるだけ離れること

人ごみには、くしゃみや唾などによる飛沫感染のリスクが高いので、外出をできるだけ避け、家で過ごすよう心がけましょう。

外出からの帰宅時には、手洗いやうがいを励行すること

基本的なことですが、これも大切です。外出先で身にまとったウイルスや細菌を排除して、感染症の発症リスクを下げることができます。

カラダの免疫機能を維持、もしくは高めること

これも重要です。睡眠不足や栄養バランスの悪い状態が続くと免疫力は低下します。また、運動のしすぎも禁物。運動による心身への負担が強すぎると、免疫機能が低下することが明らかになっています。

以上のことに留意したうえで、部屋の空気が乾燥し過ぎないように注意しましょう。湿度がある程度保たれた空間では、インフルエンザウイルスが空気中を漂う時間が短くなるため、感染するリスクを低くすることができます」

医療機関にはできるだけ早くかかろう

しかし、いったん体調をくずして、インフルエンザに感染したかもしれないと思ったなら、「できるだけ早く医療機関を受診することが重要だ」とも田中教授は言います。

「なぜなら、近年は発症後できるだけ早くインフルエンザ薬を投薬することで症状を軽くできたり、治るまでの時間を短くできるからです。もしインフルエンザを発症してしまった場合は、外出を避けることはもちろんですが、家庭においても家族との接触をできるだけ避け、マスクをして飛沫感染を防ぎましょう。嘔吐や下痢、発熱をしている場合は、水分と電解質が不足しがちなので、スポーツドリンクで補給することを忘れずに。食事を摂れるようであれば、胃腸に負担のないもので栄養補給を行うことも肝心です」

 

ビタミンDの効果はほかにもいろいろある!

うつ病の発症や骨折のリスクもある!?

ところで、ビタミンDのカラダへの効果はインフルエンザや風邪以外にも多数あるそうです。

「ビタミンの欠乏によってさまざまな病気が起こることが判明したことにより、ビタミンB1の欠乏により起こる脚気や、ビタミンD欠乏により起こるクル病・骨軟化症などのようなビタミン欠乏症は、近年おおむね克服されたと考えられてきました。

しかし、最新の研究ではビタミン摂取の不足は軽度であっても、さまざまな病気のリスクを高めることが明らかになっています。ビタミンDの場合、免疫機能だけでなく、うつ病の発症や骨折のリスクなどにも影響があることが判明しています。ビタミンDを十分に摂ることは、若年者から高齢者まで年代を問わず必須です」と田中教授。

 

ちなみに、一日に必要なビタミンDの摂取量の目安は、別表の通りとなっています。各種対策を組み合わせながら、日々の食事をバランスよく摂り、健康的な生活を実現したいものです。

ビタミンDの一日の摂取基準

田中清先生 プロフィール

神戸学院大学 栄養学部 教授

1977年、京都大学医学部卒業。京都大学医学部付属病院に勤務後、米国オレゴン大学医学部に留学。帰国後、京都大学医学部付属病院の勤務(1986~2000年)、甲子園大学栄養学部教授(2000~2004年)、京都女子大学家政学部食物栄養学科教授(2004~2018)を経て、現職。主な研究分野は「骨粗しょう症、ビタミン不足」。詳細は、神戸学院大学のホームページをご覧ください。

 

編集/山津京子

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