子どもにスポーツの習い事をさせているパパ・ママの気持ちは、いろいろだと思います。八村塁選手や大谷翔平選手のような、世界を代表するアスリートになってもらいたいと思っているケースもあれば、元気な体になってもらいたいと願う場合もあるはずです。
なんであれ親の根底にある思いは「スポーツを通じてすくすく育ってもらいたい」ではないでしょうか。そのためには、元気な体をつくる源の「食」についてもちょっとだけ詳しくなったほうが思いは実現するはず。
そこで今回は、アスリートフードマイスター1級にして、オリンピック選手の食事支援も行う浅島麻希子さんに、運動の習い事をしている小学校の子どもたちに食べさせたい食事や間食、補食の考え方を聞きました。
おもしろい話がたくさん聞けたので前・後編(後日配信)でお届けします。
「わが子のサッカーをサポートしたい」から始まった
そもそも浅島さんとはどういった人なのでしょうか? アスリートフードマイスターになる前は、会社員生活を送りながら子どもを育てる普通のママだったと言います。
しかし小学校2年生の時に子どもが始めたサッカーでわが子がけがの連続。小学校6年生のころにキャプテンを外される出来事もあり、落ち込む子どもを支える意味で、ご飯から子どもをバックアップしてあげようと思ったのだとか。
プロサッカー選手が出版する食事に関する書籍から学びを始め、子どもが中学校に上がって地元のJリーグのクラブチームに入ると、最新の知識を得たいとアスリートフードマイスター3級を取得したそう。
五輪メダリスト・羽根田卓也選手のサポートも
子どもの体がポジティブに変わり、結果が出始めると、周りの友達や父母からも質問を受けるようになったと言います。会議室を借りてミニ講座を始めるころから、いよいよのめり込んで2級・1級と浅島さんは取得しました。ちなみに1級取得者は全国に60人しか存在せず、名門大学のスポーツチームで食事サポートするなど、他の取得者も各分野で活躍しているみたいですね。
浅島さんについては1級取得後にメディア出演も重なり、知名度の向上とともに日本カヌー連盟とのパイプも生まれ、海外合宿などにも帯同するようになります。日本人として初めて五輪でメダルを獲得した羽根田卓也選手のサポートなどもするようになったのだとか。
子どもの劇的な成長期=ゴールデン・エイジってなんだ?
そんな浅島さんに聞いた子どもの食事の問題。そもそも食事は子どもの成長に、どの程度の影響を与えているのでしょうか?
浅島さんによれば、もちろんとても大事との話。特に「ゴールデン・エイジ」と呼ばれる小学校4年生~中学校1年生くらいの間は、決定的な影響を与えると言います。
人間の成長の4ステップ
子どもの身体的な成長のピークを18歳だとすると、それまでに人間は4つのステップで体を成長させていくと言います。
(1)0~6歳に体質などが決まる
(2)小学生のころに脳と神経がつくられる
(3)中学生のころに心臓と肺が発達しホルモンの分泌が始まる
(4)高校生のころに筋肉や骨格が付く
中でも小学校4~6年生、中学1年生くらいまでの間は「ゴールデン・エイジ」と呼ばれ、脳と運動神経の発達がいちじるしいのだとか。
「本物に触れる」「本物の体験」をこの時期の子どもにはできるだけ与えてあげたいとの話。あのサッカー選手の香川真司選手も小学校4年生のころに三浦知良選手に出会って、その時の感動を原動力にしてきたみたいです。
さらに食事においても良質な栄養を含む食べ物を口にさせ、料理づくりも含めてさまざまな角度から一緒に食を楽しむ機会を与えてあげると、子どもの脳が食に対するポジティブな印象を持ち、口にする食べ物から最大限のプラスの効果を体が獲得できるようになるみたいですね。
ゴールデン・エイジの子どもに与えたい栄養
ゴールデン・エイジに食べさせたい良質な食事(食べ物)とは具体的に何なのでしょうか。その点を聞くと、
- 植物性タンパク質(体質によっては動物性タンパク質の方が良い場合も)
- 魚の油
- ミネラル
を含んだ食事(食べ物)が理想的だと教えてくれました。運動神経伝達の発育を促す栄養素が上述の3つだからみたいです。
タンパク質には植物性と動物性があって、植物性タンパク質とは大豆など豆類、アスパラガス・ブロッコリーなどの野菜類、トウモロコシなどの穀類、ピーナッツ・クルミなどのナッツ類などに含まれる栄養素です。
魚の油に含まれる不飽和脂肪酸はオメガ-3系脂肪酸に分類できます。オメガ-3系脂肪酸と言えばEPA・DHA。これらの栄養素は「頭を良くする」としてサプリメントなどでも見かける言葉ですね。
ミネラルと言えば体に欠かせない栄養素です。カルシウム・ナトリウム・カリウム・マグネシウム・鉄・亜鉛・リンなどを意味します。海藻類や野菜類、果物類、豆類、乳製品などに多く含まれています。
少なくともゴールデン・エイジに入るころには、スポーツをする子どもたちにこれらの栄養素を含んだ食材を食べさせて、脳と神経の発達を栄養の面からバックアップしてあげればいいのですね。
※後編記事では具体的な簡単レシピを紹介します!
取材・文/坂本正敬 写真/繁延あづさ
【取材協力】
浅島麻希子さん・・・アスリートフードマイスター。日本カヌー連盟、および富山県カヌー協会の活動をメインに食事サポートスタッフとして帯同する。学校やクラブチームでの講座開催、アスリート弁当や補食メニュー考案・提供なども行う。公式SNS:athleterecipes_asajimamakiko
【参考】
※ 植物性タンパク質が含まれる食品を紹介。野菜など大豆以外の食品も紹介! – MORINAGA