育児疲れの理由は?ママの心の状態チェックリスト【精神科医・水島広子先生の「怒らないですむ子育て」】

“なるべく叱らずに子育てをしたい”“子どもの気持ちに寄り添える、理解あるママになりたい!”と理想を描いても、子育てはなかなかうまくいかないもの。 “子どもとの生活に疲れてしまった…”と、子育て疲れ&子育て不安を感じているママも多いのではないでしょうか。国内における対人関係療法の第一人者で精神科医の水島広子先生に、子育て疲れ&子育て不安が起きる理由と解決法を教えていただきました。

育児疲れを感じたことのあるママは約8割

HugKum編集部では、1~3歳の子を持つママ108人を対象に、育児疲れを感じたことがあるかアンケートで聞いてみました。

Q.「育児に疲れた」と思うことはありますか?

「いつも思う」の回答数が25.0%、「ときどき思う」の回答数が50.9%に。育児に疲れたと思ったことのあるママは75.9%と約8割にのぼりました。具体的にどのようなことから育児疲れを感じるか、理由も聞いてみました。

育児疲れを感じるママの声

「発達が遅い子なので、周囲と比較して怒ってしまい、凹む。」(30代・愛知県・子ども2人)
「仕事が終わってから、寝るまでに言うことを聞いてくれなかったり反抗したりされると疲れる」(30代・神奈川県・子ども1人)
「自分が好きなことをする時間が取れず辛い。寝ている時以外は常に子供がべったり。 家事をしていても交互に呼ばれて相手をせねばならず、中断ばかりで思うようにできない。」(40代・愛知県・子ども2人)
「家事との両立が難しい。子供達の昼寝のタイミングが違うので1人でゆっくりする時間がない。主人の帰りが遅いのでワンオペで共感してくれる話し相手がいない。」(30代・東京都・子ども2人)

ママの心の状態は!? 育児疲れの症状チェック

「育児に疲れた…」「育児疲れで一人になりたい…」「子育て“もうやめたい…”」と感じているママは少なくありません。まずはママの心と向き合って、該当項目に☑を入れてみましょう。

□1日1回以上、子どもを叱る・注意する

□イライラして、子どもを叱ることがある

□同じことで何度も叱ったり・注意したりすることがある

□子どもが何かしても、ガマンして怒らないようにしている

□子育てをしていて“こんなはずではなかった…”と思うことがある

□しつけは、しっかりしたい

□周りのママが優しく見えたり、うらやましく見える

□ゆっくり食事やお茶ができない

□子育ては8割以上、ママ一人で行っている

□子どものことや家庭のことを本音で話せる友だちがいない

 

☑項目が、

0~2個  育児疲れは、今のところ心配ありません。

3~5個  育児疲れ予備軍なので注意を!

6個以上 かなり育児疲れが出ている様子。心の休養をとって。

育児疲れ・イライラの理由とは?

子どもを叱り続けると、ママの心は疲弊する一方

“育児疲れの症状チェック”で、☑項目が3個以上のママは、育児疲れ予備軍もしくは、かなり育児疲れが進んでいる状態です。

ママが育児疲れになる原因で、まず考えられるのは子どもを叱ったり、注意したりする回数が多いこと。また子どもといると“自分の時間がとれない!”“予定通りに行かない”ということが多々ありますが、こうした状態が続くとママのストレスもMAX状態に。

育児疲れを軽減するには、子どもに怒りがわく根本的な理由を考えてみることが第一! よくあるトラブルを例に、なぜ怒りがわくのかその理由を解説します。

 子どもにイライラする3つの理由

例えば、ママ友とランチをしているとき、子どもが「ママ~、ママ~」としつこく関わってきたり、話しに割り込んできたりして、ゆっくりランチができなかったとします。そのときママの心の中では、次のような怒りや負の感情が入り乱れます。

 1.子どもに対する“役割期待”のズレ

“ママ友とおしゃべりをしている間、静かに遊んでいてね!”と思っていたのに、期待を裏切られたことによってイライラが募る。

2.自分が“被害者”になった感覚

“なんで少し待てないの!? 困らせないでよ!”“ママになったら、自分のしたいことがホントにできない…”と自分が被害者になったような気分になる。

3.予定が狂ったことによる怒り

“○○さんと久しぶりにランチをして、楽しむはずだったのに!”と予定が狂ったことで怒りがわく。

 

育児疲れの解消法と溜めないコツ

育児疲れ解消には、子どもとの関わり方を見直して!

“子どもに怒りがわく3つの理由”を見て、心当たりがあるママは多いのではないでしょうか。育児疲れの解消法というと“ショッピングやマッサージなどをしてストレス解消する”と言うママもいますが、それはガス抜きをしているだけ。根本的な解決にはなりません。

育児疲れ解消には、子どもとの関わり方を見直すことがカギ。次の2つの視点を取り入れるだけで、育児疲れはぐんと軽減できるはずですよ。

1子どもにムリな期待をしない

例えば“ママ友とのランチ中は、ゆっくりおしゃべりを楽しみたい!”と思うでしょうが、それを叶えるには“大人の話を聞き分け、話しに割り込むときはタイミングを見ること。ただし必要なことは必ず伝える!”という難易度の高いハードルを押しつけていることになります。しかし、冷静になって考えてみると子どもにはムリなことですよね。ママの思い通りにならないときは“求めてもムリな期待”をしていないか考え直してみて。

2子どもの事情を考えてみる

大人の都合を無視して、子どもが振る舞うときは“幼稚園や保育園のお迎えの直後だったから、ママに構ってほしかった”など、子どもなりの理由があるもの。子どもの事情を理解しようとする視点をもつと「せっかく楽しくランチしていたのに! なんで邪魔するの!」といった一方的な怒りが抑えられます。

 

またママの中には、“子どもを怒る自分がイヤ!”と思ったり、“まだ小さな子なんだから…”と自分に言い聞かせて、何かあっても怒りをガマンする方もいます。しかし、そうしたママたちは突然キレたり、ある日を境にガマンできず怒りやすくなる傾向が。そのため怒りは抑えないで! 上記で紹介した“1子どもにムリな期待をしない”“2子どもの事情を考えてみる”ことを意識すれば、子どもの心に届く叱り方ができるのではないでしょうか。

 

監修/水島広子先生

精神科医。医学博士。慶応義塾大学医学部卒業・同大学院修了。慶応義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正などを実現。現在は、対人関係療法専門クリニック「水島広子こころの健康クリニック」院長を務める。著書に「自己肯定感、持っていますか? あなたの世界をガラリと変える、たったひとつの方法」(大和出版)など多数。

『そのイライラは手放せます 怒らないですむ子育て』水島広子・著(小学館)

 

構成/麻生珠恵 写真/石川厚志

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