【小児科医監修】母子感染もある?子供のB型肝炎の主な症状と原因、予防法を解説

B型肝炎について正しく知っていますか?B型肝炎は母親から感染することがほとんどですが、人からうつることもあるため、ワクチンで予防することが大切です。

step1 「B型肝炎」のおもな症状と原因

母親から子どもへの感染が多い

子どものB型肝炎の多くは、出産の際、母親から子どもに感染するものです。このほか、血液などを介して人から人へうつることもあります。感染すると急性肝炎を発症し、食欲不振、体がだるい、皮膚や粘膜が黄色っぽくなる黄疸などの症状が現れますが、子どもの場合、9割は症状が出ないか、出てもかぜ程度の軽いものです。ウイルスが排出されれば治りますが、乳幼児の場合は慢性化しやすいので注意が必要です。

 

step2 母子感染予防

母親が感染している場合は生まれた直後から予防

母親は妊娠中に、B型肝炎ウイルスの抗原の検査を行います。母親が抗原陽性(体内に抗原を持っている)の場合、子どもに感染する可能性があるので、生まれた直後から発症予防の処置を行います(右上の図参照)。子どもが3歳以下で感染すると、ウイルスを排除できず体内に持ち続ける「キャリア」になる確率が80%といわれています。キャリアは将来、肝硬変や肝がんになるリスクがあるため、乳幼児期に感染しない予防措置が重要です。

 

step3 「B型肝炎」予防のためにできること

定期接種のワクチンで確実に予防する

B型肝炎は、ワクチンで予防することができます。母親が感染していない場合、「定期接種」としてワクチンを接種することができます(接種のスケジュールは右上の図参照)。父親や、家庭でのおもな養育者が感染していることがわかっている場合は、接種のタイミングを早めることがすすめられます。園での感染を防ぐためには、血液や体液(傷口からしみ出す浸出液など)に触れさせないようにすることが大切です。

 

B型肝炎を予防するために

 

感染を防ぐために家庭で注意したいこと

□ 室内の掃除や消毒をきちんと行う。
□ 直接肌に触れる寝具やタオルなどは共用しない。
□ 子どもが口に入れるおもちゃ類はこまめに洗う。
□ 手洗いをこまめに。
□ 傷口はばんそうこうなどで覆う。

※血液や体液、唾液などから感染するが、プールなどで水を介してうつることはない。

 

 

記事監修

澁谷紀子|小児科医

総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。

出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 写真/本田犬友 再構成/HugKum編集部

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