ポカンと開けた口の呼吸が口臭の原因のひとつ
わが家には4歳と2歳の息子と、0歳の娘がいます。まだまだ甘えたがりな息子たちは、隙あらばママにすり寄ってきます。
嬉しい反面、ママは気づいてしまいました…息子たちの息が臭いんです。
まだ子どもなのに!とショックを受けて、仕上げ磨きを念入りにしてみたけれど改善しません。
思い切って歯医者で相談したところ、口呼吸が癖になると唾液が減り、細菌が増えて臭くなると指摘されました。
歯医者で指摘されるまで気にしたことがなかったけれど、確かに子どもたちを見ると度々ポカンと口を開けています。
親子で楽しめる3つの鼻呼吸トレーニング
子どもの口呼吸を改善したい!と思って、ポカンと口を開けていることに気づくたびに「口閉じて!」と言うのも大変です。それに、子どもはなぜ「口閉じて」と言われるのか理解できません。
そこで、親子で楽しみながら鼻呼吸を鍛える方法をご紹介します。
1.お風呂でワニさんごっこ
歯医者で口臭の相談をした時に教えてもらったトレーニングのひとつが「ワニさんの呼吸法」です。
ワニさんの呼吸法
- 湯船に浸かり、口をキュッと閉じて口だけお湯の中に入れる
- 鼻だけお湯から出た状態で息をする
ちょうど、水面から静かに獲物を狙うワニのようなイメージです。
わが家では、この状態の息子たちの横で、ママがこんな歌を歌います。
わにさんが
息をした
大きい 大きい 大きい 大きい
息をした
フンッフンッ フーン!
(「コンコンクシャンのうた」の替え歌)
子どもたちはお湯が顔にかかるのを嫌がるので、はじめは口だけでもお湯につけるのを嫌がっていましたが、歌を歌うことでワニさんごっこを楽しんでくれるようになりました。
2.絵本『はないきおばけとくちいきおばけ』
鼻呼吸や口呼吸と言われても、子どもはピンときません。大人の私でさえ、鼻呼吸の大切さというのはコロナ禍になってはじめて知りました。
どうして鼻呼吸がいいの?どうして口呼吸はダメなの?という疑問をわかりやすく、おもしろく学ぶことができるのが、この『はないきおばけとくちいきおばけ』の絵本です。
「はないきおばけ」と「くちいきおばけ」のキャラクターにインパクトがあり、おもしろい表情と息づかいをしながら話が進んでいくので、子どもたちも真似をしながら楽しんで読んでいました。
口呼吸するとどうなるのか、鼻呼吸するとどうなるのかについても、おもしろいイラストとともにわかりやすく解説しています。言葉のリズムも心地よく、耳に残りやすいところもオススメです。
3.あいうべ体操でにらめっこ
『はないきおばけとくちいきおばけ』にもありますが、口呼吸を習慣にするには、舌を鍛えて正しい位置にもってくる必要があります。そこで有効なのがこんな体操です。
あいうべ体操
- 「あー」と喉の奥が見えるくらい大きく口を開けて1秒
- 「いー」と首に筋が出るくらい思い切り広げて1秒
- 「うー」とタコのように口を突き出して1秒
- 「べー」と舌が顎につくようなイメージで1秒
- 1〜4を10回1セット、1日3回
やり方は簡単ですが、これを10回3セットというのが、なかなか大変です。時間を決めて習慣化できるといいのですが、子どもの機嫌に左右されがちなわが家では、理想の回数はあまり気にしないことにしました。
その代わり、できる時に、気づいた時に、最低1日1回を目標にしています。忘れず実践するために、わが家で取り入れているコツを2つご紹介します。
コツ1: 『はないきおばけとくちいきおばけ』の1ページを部屋に貼る
絵本の「あいうべ体操」をしているページを部屋に貼っておくと、たまに子どもがひとりでそれを見ながら「あーいーうーべー」とする姿が見られます。ひとりでコッソリ(?)実践しているのを目撃した日には、ママは心のなかでガッツポーズです。
コツ2: 子どもと向き合い、にらめっこしながらスキンシップ
子どもを膝に乗せて向き合い、「あいうべー」としながら大切な親子のスキンシップタイムのひとつにしています。
向き合って「あーいーうーべー」としていると、自然とにらめっこのようになって、どちらかが笑ってしまうのも、楽しいですよ。たいてい、ママが負けますが…。
実際にやってみると、普段動かさない顔周りの筋肉を使っているのを実感します。ママは、小顔効果もあるといいなぁ…と淡い期待をもちながら、子どもと楽しんで実践しています。
口呼吸のデメリットは意外に多い
鼻呼吸と比べた際の口呼吸のデメリットについて、歯科衛生士さんにうかがってみました。
- 1)風邪やインフルエンザに罹りやすい
鼻は空気中に漂っている身体にとって「いらないもの」を防塵するフィルター効果を持っています。鼻からではなく口から呼吸すると、細菌やウイルスを体内へ取り込みやすくなるので、風邪やインフルエンザなどに罹りやすくなってしまいます。
- 2)睡眠時無呼吸症候群を引き起こす
口呼吸していると舌の筋肉が弱くなる傾向があります。寝ている時に脱力して舌が喉の方に落ちて気道を塞いでしまうことで、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすと考えられています。
- 3)アレルギー体質の原因になることもある
身体に侵入する細菌が増えれば、それだけアレルギーの原因物質も摂り込む可能性が増えます。
- 4)虫歯や歯周病になりやすくなる
口呼吸で常にお口が開いていると、口腔内が乾燥しやすくなります。唾液の殺菌作用が働かず、虫歯や歯周病菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが上がります。
- 5)口臭の原因になる
口臭は虫歯や歯周病はもちろん、歯垢や歯石なども原因となります。口呼吸で口腔内の唾液が少なくなると自浄作用が働きにくく、歯垢や歯石も付きやすくなりますし、虫歯や歯周病になりやすくなることで口臭の原因も増えてしまいます。
- 6)出っ歯になりやすい
歯並びは引き締まった口唇や舌に押されて整います。常に口がポカーンと開いていると歯が前方に突出し「出っ歯」になりやすくなります。
お口周りの健康は人生を左右する
子どもの歯を虫歯にしたくない、歯並びは綺麗であってほしいと願う親は多いと思います。でも、注目すべきは「歯」だけではなく、お口周りの機能全体であることを、もっとたくさんの人に知ってほしいなと思います。歯磨きはもちろんですが、これからは、口周りの筋肉や息にも着目して、子どものお口の健康と身体を守っていきたいですね。
お口周りの健康については、堀滋歯科医師監修のこの記事も参考になります。
文・撮影(一部をのぞく)/村上詩織