探究学舎のオンライン授業を受けてみて~興味の種は芽を出す前に根を張るもの

コロナ禍を経て、いろんな習い事のオンライン授業が増えました。話題の学習塾「探究学舎」もそのひとつ。代表の宝槻さんがTV「情熱大陸」に取り上げられたことでも注目を集めた教室です。
今回は、その探究学舎のオンライン授業「広げるコース」をコミックエッセイスト・ハラユキさんの息子さんに体験していただき、そのリポートをハラユキさんに書いていただきました。「探究学舎ってどんな授業をするの?」「オンライン授業で子どもは集中できるの?」そんな様子をご紹介します。

小5の息子の「探究学舎」オンライン授業ド正直レポ。授業テーマは「愛」。

1回第2回と食いつきいまいちな息子(その様子はこちらより)、果たしてどうなる!?

第3回「ナイチンゲール」

今回もいやがらずに席に着く。息子は嫌なときは徹底的にいやがるので、席につくだけ、完全に嫌ではないのかもしれない。今日の先生はピカ先生。ピカってすごい名前だね!と息子。

2回にわたって紹介していた「ヘレン・ケラーとアン・サリバン」回が終わり、今回は違う人をとりあげるようだ。マザー・テレサやナイチンゲールやマンデラ大統領やキング牧師が紹介されている。なるほど、「愛」を人種差別講義運動とかさらに広げて紹介していこう、という方向なのね。メインでとりあげるのはナイチンゲールのようだ。

「さて、ナイチンゲールはなんと呼ばれてたでしょう?」

というカフートアプリを使ったクイズからスタート。前々回はカフートクイズで不正解になり心が折れて叫んでいた息子だけど、今回はあっさり正解できてご機嫌なスタート。よしよし。ほっ。

ナイチンゲールの人生なんて、子どもの頃に本で読んで以来で、ほとんど忘れちゃったなあ…と思いつつみていると、私の記憶よりもナイチンゲールがすごい人だということがわかった。

両家の子女として生まれたのに、当時は職業的に低い立場だった看護師に周囲の反対を押し切って就職。不衛生で汚物にまみれていたイギリスの病院を改革するため、病院改革を実行。上司に反対されても、さらに上の立場であるところのイギリス女王に手紙を書くという行動力と度胸。しかも算数が得意で、レーダーチャート分析や病院設計図も提案に添える。現在の病院の基礎をつくったのはナイチンゲールといわれ、今では当たり前のナースコールもこのときに生まれたらしい。

えええ、すごすぎる、ナイチンゲール!!!

さて、一方の息子は、ごはんを食べながら見ていたので、途中、汚物にまみれた病院の画像には「ごはん中なのにいい!」といったん逃げたりしていたものの、まあ今回はヘソもほじらずに普通に見ている。かといってすごい食いついているわけでもない。そうこうしたままに授業が終わる。

うーん、残り1回。本当にこのままのローテンションで終わっちゃうのかなあ。でも私がいくらハッパをかけてもしょうがない。勉強しろ集中しろと言えば言うほど子どもは逃げていくものだ。あとは野となれ山となれ。

 

第4回「まとめ~愛ってなんだ!?」

いよいよラストの授業。今回もカメラオンにはせず、自分の姿は写さない。

だが、実は今回初めて、息子がちゃんと授業に食いつくのである。その様子をリポートしよう。

授業では、今ままで登場したいろんな偉人があらためて紹介される。復習とまとめ回というかんじっぽい。マザー・テレサを見ながら「マリオにもテレサいるんだよ」と言う息子。そうかいそうかい。

先生は、偉人のやってきた功績をざっと紹介し、じゃあ「これで世界に問題はなくなったの?」という質問投げかけをしたあと、「企業の障害者就職率」を取り上げてくる。ほおお、現代日本のリアルな社会問題にも突っ込んでいくのか。円グラフを見せたり書かせたりしつつ、質問のやりとりを続ける。

息子が今までの授業に比べたら普通に見ている。あれ、なんでだろ?ひょっとして今までと授業の傾向が違うから?ドラマティックに紹介されてきた偉人伝より、表とかグラフとかのが食いつくのは息子っぽい。質問に紙で書いてそれを見せながら答えるために、珍しくカメラもオンに切り替えた。

さらに「障害者を雇わない企業の理由は?」という質問に、息子は「重化学工業だと仕事がむずかしいから」などと言っている。おおう?今までわりとちゃかすような答えが多かったのに今日はなんだか賢そうなこと言うなあ!!

さらに授業は「日本に差別はあるの?」「日本の子どもの貧困率は?」など深い話にもっていく。おいおい、こういう大人でも扱いが難しいテーマをもってきて、どうまとめる気なんだい??と上から目線で思う私。

かっきー先生はさらに続ける。

「愛でこれらの問題を解決しながら人類は社会をよくしてきた。でも、愛によって悪い方向に進むこともある。たとえば今ウクライナで戦争が起きているけど、戦争はそれぞれの大事な家族や国を守ろうという「愛」を発端して始まることもあるよね」

ほう、さらに戦争まで言及しちゃうんだ!と思っていたら、息子が言う。

 

「自分たちだけ守ろうっていうのは、それは「愛」じゃないんじゃない?」

おおお!?

ただ先生の言うことを鵜呑みにせず、自分の意見で語ろうとしてる!!

あ、ちなみに、先生たちに発言したわけではなく、息子は音声をミュートにしたままなので、あくまでこっちしか聞こえない発言ね。でも私はおおっと思った。

いいそいいぞ。自分の意見を持つことが、こういう「答えの出ない問題」では大事なことだぞ。

これに関して、生徒たちが各々の意見を発言したり、チャットに書き込んだりしている。ドイツから参加しているお子さんも発言している。そいえば、前回はフランスで授業を受けているお子さんもいたし、ここの授業はなんだかワールドワイドなのだ。

いろんな意見を先生がまとめたあと、画面にはこんな表が解説つきで写された(実際は、少しづつパーツが増えてこの表になった)

 

社会を変えていくにはまずは自分の無知を知ること、そしてその分野の知識を勉強すること。さらに実際に体験すること(たとえばボランティアなど)、さらに、それを自分ごととして応援したり行動したりすること。そんな説明がされていく。

おおう!この表はむちゃくちゃいい!これって大人でもなかなか段階を意識できないことだよ。

「愛をただの偉人紹介で終わらず、ここまで持っていくのはすごいなあ!!しかもこれむっちゃ大事な図!これを子どもに教えるのいいな~~!!」

と思わず私が言う。息子もわりと食いついてみている。表を見つめつつ、

「実体験のフロアは別の場所になるときもあるんじゃない?体験して知ることもあるよね」

とか言っている。確かにそーだ!

なんだ息子、これまでの3回が嘘のように、自分の頭で考えてるでないの!

授業のラストでは「本当にその人たちの役に立つか考え続けること。それが愛だ」とまとめられていた。

うん、それは確かに愛だ。すごい、よくここまでテーマを広げてちゃんとまとめたなあ。

今回の授業は今まででいちばん関心した。

だって、偉人伝は本を読んで知ることもできるけど、このラスト回みたいに、今までの話を総合して、あらためてテーマを深掘りすることこそ、自分の頭で考えることこそ、授業に参加する意味があると私は思うから。

息子は、授業が終わってからも「やっぱりあれは愛とは違う」とか言っている。私は「うん、そうやって、自分の意見を持つのはすごくいいと思うよ」と伝えておいた。

なんか嘘みたいにラストギリギリで食いついたなあ、と思っていたら、さらに息子がぽつりと、

「この授業って毎回やってるの?これからもやってるの?」とか言う。

「え?興味あるの?あるなら受けてもいいけど?」

とネットでこれからのテーマを見せると「う~ん、次が医療か~!生命とか宇宙は興味あるけど~!でもやっぱ面倒くさいかな~!」とか言っている。

だいたいなんでも乗り気にならない息子がここまで言うのは珍しい。

ここでゴリ押しすると引くタイプなのは知ってるので「また相談しよう」とさらっと流し、その日は終わった。

以上、100パーセント嘘偽りのない探究授業オンライン授業レポートでした!

 

一ヶ月4回、授業を息子と一緒に体験してみて私が学んだのは

「偉人ってあらためてすごすぎ」

「授業にすぐ食いつかなくてもそのうち食いつくパターンもある」

「子どもにこんな難しいテーマ大丈夫!?って言うのは大人の思い込みでけっこうそっちのが食いつくこともある」

「息子の食いつきのツボはなかなかおもしろい」

 

でした。また授業受ける機会があるといいなあ。

探究学舎の先生方、ありがとうございました!

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ハラユキ

コミックエッセイスト&イラストレーター。小5男児の母。雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間スペイン・バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。近著に『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、『ほしいのはつかれない家族』(講談社)。家事育児テーマのオンラインコミュニティ「バル・ハラユキ」も主催。

ハラユキTwitter https://twitter.com/yukky_kk?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

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