元小学校教員が教える「子どもの放課後」トラブルが多いのは、実はおうち遊び!

小学校の新クラスの生活にもそろそろ慣れてくる子が多い頃。お友達との仲が深まると、子どもだけで遊びに出かける機会も増えてきます。そこで元小学校教員から、友だちと遊ぶときの注意点をご紹介します。

放課後に遊ぶ約束をするようになる

新しいクラスに慣れるとお友達も増え、放課後に遊ぶ約束をする機会も増えてきますね。

初めは学校が終わってから待ち合わせをして、近所の公園や広場、児童館などに出かけることが多いようです。
近いとはいえ、子どもだけでの外出は心配ですよね。

そこで今回は、元小学校の先生で2児のママである筆者が、子どもだけでの放課後遊びに対して、親が気をつけるポイントをご紹介します。 

低学年だと、

・遊ぶ約束をしたものの、待ち合わせの場所と時間がわからない

・遊んでいる間に、知らないところに着いてしまった

・お友達と門限が違って、帰るタイミングが分からない

なんてこともあります。

子どもが出かける前、必ず確認すること3点

まずは、送り出す前に必ず確認しておきたい3点です。
何かあった際に迎えに行くヒントになります。おうちの方が在宅でない場合でも、スマホに連絡したり、メモを残したりして確認しておきたい項目です。

誰と遊ぶ

1つ目は、遊ぶ相手です。「何年何組の○○さん」とクラスまで確認しておきましょう。

どこで遊ぶ

2つ目は、遊ぶ場所です。待ち合わせ場所や行く予定の場所を聞いておきます。遊んでいるうちに移動して、遊ぶ場所が途中で変わることもよくあります。 

いつ帰る

3つ目は、帰る時間です。5時のチャイムが鳴ったら帰る、習い事があるから〇時までに帰る、などご家庭によってそれぞれですが、必ず確認しておきましょう。

親はどんなことに気をつければいい?

親同士の面識がなくても、子ども同士で遊ばせてみよう

幼稚園・保育園の時は、基本的に親が近くで見守りながら遊ばせることが多いですよね。そうすると自然に、親同士も知り合いになります。

しかし小学生になると、親同士が知り合う機会がとても少なくなります。
「〇〇ちゃんのママと会ったことないけど、遊ばせて大丈夫かな」と感じることもあるかもしれません。保護者会などで顔を合わせた際にあいさつしておくと、お互いに安心ですね。

子ども同士で遊びに行くということは、お子さんが自分で人間関係を育んでいる証拠。それは、成長の大きな一歩なのです。

時には待ち合わせがうまくいかなかったり、思うように遊べなかったりすることもあるかもしれません。
それも友達とのやりとりを学んでいる過程と捉えて、見守ってあげましょう。

お友達のおうちにおじゃまする、自分のおうちで遊ばせる際には、保護者に一言確認を

「ママ!○○ちゃんとうちで遊んでもいい?」と聞いてくることもあります。自分のテリトリーである自宅に友達を招きたいと思うくらい関係が深まっていることが分かります。

お友達が遊びに来た際には、「お家の人は遊びに来てOKって言ってた?」と確認することをおすすめします。子どもが勝手によその家にお邪魔するのに抵抗がある(ちゃんとご挨拶した上で伺いたい)ご家庭、感染防止のためおうち遊びを控えているご家庭もあるからです。

実は放課後遊びのトラブルで多いのが、このおうち遊びなのです。筆者も1・2年生の担任をしていた際、おうち遊びでのけんかやおもちゃの破損・紛失について、保護者から仲裁を求められたことがあります。今は連絡網などがないので、親同士も連絡がとれないのです。

食べ物のやりとりは、親同士の確認が取れてから

学校が終わってから遊びに出かけると、ちょうどおやつの時間です。自宅からお菓子を持って出かけることもあるでしょう。

ただ、食べ物の交換や共有は様々なリスクがありますので、注意が必要です。アレルギー対応やコロナ対応の観点から、食べ物のやりとりは親同士の確認が取れてからがよいでしょう。

子どもの遊びは地域差が大きい!?

子どもの遊び環境については、地域による差があります。

例えば大都市圏では、学校まで徒歩20分以内、というところが多くお友達の家も比較的近いと言えます。
そうすると、下校後ランドセルを置いてから、また集合して遊びやすいです。

自宅から学校までが遠く、電車や車で登校しているような地方では、帰宅してからまた集まるのは難しいです。
そのため、授業終了後に校庭で遊べる時間が設けられている学校もあります。

また、都心のオフィス街や人の多いターミナル駅に近い地域だと、子どもだけで遊びに行ける場所が限られていることもあります。

子どもだけの放課後遊び、困ったときはどうする?

おうちの方の連絡先を知らない場合は?

お子さんが小学生だと、お家の方同士で連絡先を交換していないことも多いですよね。キッズケータイを持っているお子さんなら、おうち遊びの可否や食べ物のやりとりなど、その場でおうちの方に連絡してもらうことができますが、そうでないことの方が多いです。

その場合は一度帰宅しておうちの方に確認してから、もう一度来てもらうか、その日は公園遊びや家の前で遊ぶ程度にとどめておきましょう。「今度は、お家の人に聞いてから遊びに来てね」と声をかけておくと良いですね。

お家の方に確認することは、子どもにとって面倒に感じるかもしれません。しかし「○○ちゃんのうちで遊びたい」→「ママやパパに聞いておかなきゃいけないんだった!」と考えることが、自分がやりたいことのために必要な段取りをする、見通しをもって行動することの練習になっています。

お友達と遊ぶときには、他にも「遊ぶ前に宿題やらなきゃ!」「今日は○○ちゃんと遊ぶから○○を持って行こう」「○○公園に人が多かったら、△△公園に変更しようかな」と子どもたちは頭をフル回転させています。

こんな思考の中にも、見通しをもつ力や問題解決能力の要素があるのですね。

迷子になってしまったら?

大人にとって近いと感じる場所でも、子どもには未開の地のように感じることがあります。
小学生なら、学校までの道のりや、習い事でよく通る道などは知っているでしょう。しかし、学区域内でも知らない場所はたくさんあるのです。特にお友達とおしゃべりに盛り上がっていると、「気づいたら見慣れない場所に来てしまった!」なんてこともあります。

知らない場所に行ってしまったら、分かる場所までお友達に案内してもらうのが一番です。「知らないところに行ってしまったら、『さっきの道までどうやって行くの?』とお友達に聞いて、教えてもらうんだよ」と事前に話しておきましょう。

一番安全なのは、知らない場所には行かないこと。「この先は知らないぞ」と思うところに行きそうだったら「こっちの道まで遊びに行ったことないからわからないよ」とはっきり言えるようにしたいものです。
ただ、少しずつ知らないところも開拓していきながら行動範囲を広げていく発達段階であるということも、親として把握しておきましょう。

お友達と門限が違うときは?

小学生の帰宅時間で最も多いのは、夕方の5時です。「5時の鐘が鳴ったら帰ろうね」と意識させやすいですよね。ただ、お子さんの習い事やご家庭のきまりによって、帰る時間はまちまちです。

お友達と門限が違ったとしても、「我が家のルール」を守るのが基本です。子どもだけでの遊びに慣れていないお子さんには、「先に帰る子や、もっと長く遊ぶ子もいるかもしれないけど、あなたは5時の鐘が鳴ったらすぐ帰るのよ」などと約束しておきましょう。

いろいろな子と遊ぶ経験を重ねると、「あの子だけ5時半まで遊べてずるい」なんて言うこともあるかもしれません。
確かに「子どもは勉強と遊ぶのが仕事」と言われることもあるくらい、遊ぶのは大切なことです。その場合は、お子さんの遊び方の安全度、日照時間、しっかり約束を守れるかなどを考慮しながら、門限を相談して決めていきましょう。

お友達関係を作っているお子さんを見守って

「○○くんと遊びに行ってもいい?」と聞くのは、お友達との関係を作っているという表れですよね。ただ、子ども同士での関わり・遊びに予想外のトラブルはつきもの。それでも、自分たちで考えたり解決したりすること自体が成長につながります。

何をして過ごしているのか心配になるかもしれませんが、子どもだけの空間で過ごすことは自立に向かう一歩になります。
長い目で、あたたかく見守っていきたいですね。

 

構成・文/yurinako

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