子どもの歯並びにお悩みを持つ親は40%ほど
HugKum読者のママパパ814人にとった「子どもの歯」についてのアンケート結果でも、5人中3人の人が「歯並びに気になるところがある」と答えていました。「長期間にわたって大変そう」「費用がかかりそう」などのイメージがある小児矯正についての質問を、ママであり、歯科医でもあるモアナクリニックの吉田先生に答えてもらいました。
矯正はいつ頃始めたほうがいいですか?(5歳のパパ)
「矯正は乳歯のある子どもの矯正(一期治療)と永久歯の矯正(二期治療)があります。一期治療は、前歯が永久歯に変わった時(小学校低学年)、二期治療は永久歯がはえそろう12歳(中学生以降)に行うことが多いです」
矯正にはどのような方法がありますか?(3歳、7歳のママ)
「取り外しのできる装置と自身で取り外せない固定式の装置があります。固定式は従来のワイヤーによるものが一般的です。
取り外し式は入れ歯のような形状の床矯正装置が一般的で、マウスピース型の矯正装置も最近良く使用されます」
矯正をする子どもに共通していることはありますか?(8歳のママ)
「矯正が必要な場合がある不正咬合にはたくさんの種類があり、一概には言えません。一方で最近では、柔らかい食べ物を食べる現代人の食生活が顎の成長が妨げ、歯が並びきらない凸凹の[乱ぐい歯]とも呼ばれる歯並びにつながっているとも考えられています。それは、あごの力が弱い、あごが細い、歯並びが悪い、すべてに関連していると考えられています」
たくさんある矯正歯科。何を基準に選べばいい?(10歳のママ)
「日本矯正歯科学会などの認定医制度があり、資格を取得していることは選択肢の一つになるのではないでしょうか。
無料相談などをしている医院もあるので、信頼できそうな先生か一度お話しを聞きにいってみるのも良いかと思います」
マウスピースや矯正器具を嫌がる子どもにつけさせるコツはありますか?(8歳のママ)
「マウスピースのサイズや矯正器具のサイズがあっていなく、調整をすることで入れられるようになる場合もあります。
取り外し式ではなく固定式の矯正装置が向いている場合もあるかもしれません。矯正歯科の先生に相談されてみてください」
矯正はすべて自費ですか?(11歳のパパ)
「子どもについて保険適応のものもあります。施設基準の関係で、基本的には大学病院になるかと思います。保険適応の症例は、厚生労働省が定める疾患、主に染色体以上を伴う先天性疾患で、ダウン症などが有名な疾患です。染色体異常のない口唇口蓋裂も保険適応になります。
現在は、59の疾患が認められております。それ以外でも厚生局に相談すると認めてもらえる場合もあります。一例としては、
・6歯以上の先天性無歯症(59の先天性疾患に含まれます。)
・3本以上の前歯の埋伏症例
・顎変形症(外科的矯正歯科治療の適応症例)などがあります。
顎変形症の治療については、身長(成長)が止まっていれば10代でもおこないますが、いわゆる永久歯列期の二期治療からになります。先天性疾患、無歯症、前歯3本以上埋伏については一期治療からも行います」
矯正の大体の費用が知りたい!(7歳のママ)
「費用に関しましては、自費診療になりますし、患者様個人個人で必要となる治療が変わってきますのであくまでもおおよそになりますが、
・早期治療(一期治療)40万円前後
・永久歯列期治療(二期治療)80万円前後
にて料金設定されているクリニックが比較的多いように思います。ただし、その他、検査診断料や再受診料などが必要となってきます。
心配事があれば永久歯が生えてくるころに受診を
歯が生えてくる場所がない、あごが細いなど、歯並びについて不安なことがあれば、小児矯正の取り扱いのある歯科医院に行って相談してみるのがおすすめ! ほとんどの場合が自費治療になるため、いくつかの歯科医院に相談して、相性のいいところを見つけるのも良さそうですね。
記事監修

松本歯科大学・歯学部卒業、神奈川歯科大学付属病院臨床研修修了。神奈川県内歯科クリニック勤務した後、2013年にモアナ歯科クリニックを開業。2014年には医療法人奉優会の理事に就任。4歳の娘さん、ご主人、愛犬二匹と暮らしている。
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構成・文/本間綾