【アレルギー専門医監修】子供の「花粉症」、症状が出る前から治療する?予防法や薬まで

春の気配とともにやってくるのが、花粉症。花粉の飛散量が増加していることもあり、子どものうちに発症する人も増えています。不快な症状が気になる場合は、病院へ。飲み薬などで症状を抑え、心身のストレスを減らしましょう。

子供の花粉症、主な症状は鼻水やくしゃみ

花粉症は、体内に入ってきた花粉を体が異物とみなしてアレルギー反応を起こしてしまうために起こります。春はスギやヒノキ、秋はイネ科やキク科の植物が原因となることが多いようです。

おもな症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目や鼻のかゆみなど。頭痛や軽い咳もでることがあり、風邪の症状と似ていますが、花粉症の場合は発熱やひどい咳がみられることはありません。

 

治療はいつから?花粉症かな?と思ったら病院へ

花粉症は、飛散する花粉が減れば自然におさまります。ただし、眠れない、集中力が落ちるなど、生活に支障が出る場合は、小児科や内科、耳鼻科などを受診しましょう。

子供の花粉症の治療法と薬について

病院では、おもに症状を抑える飲み薬が処方されます。飲み薬は錠剤のほか、シロップやドライシロップ、口の中で溶かしながら飲めるタイプの錠剤などもあり、子どもの年齢などに応じて使い分けられています。

飲み薬のほか、症状に応じて点眼薬(目薬)や、鼻の中にスプレーする点鼻薬などが出されることもあります。

薬を長く飲みつづけても大丈夫?

花粉症の薬は、花粉が飛ぶ間は飲み続けることになりますが、体に悪影響を及ぼす心配はほとんどありません。薬の種類によっては眠気などの副作用が出ることもありますが、鼻水などの不快な症状が続くより生活の質を下げずにすむでしょう。点鼻薬にはステロイドが配合されているものもありますが、局所の粘膜から吸収される場合、深刻な副作用につながることはほぼありません。

点眼薬&点鼻薬の使い方

点眼薬は、容器の先が目に触れないようにし注意し、点眼後はまばたきをせず、しばらく目を閉じているのが基本です。でも幼児の場合、点眼を怖がることが多いので、とにかく「目の中に薬を入れる」ことを最優先します。点眼の瞬間に目を閉じてしまったときは、すぐにまばたきをさせましょう。使用後の目薬は、説明書の指示に従って保存します。

点鼻薬は、鼻をかんでから使用します。鼻の中にスプレーしたら、鼻から息を吸い、薬が鼻の奥まで行きわたるようにします。使用後は、容器の先端をティッシュペーパーで拭き、清潔に保つようにします。

花粉症だとわかっている場合は……

すでに花粉症と診断されている場合、症状が出る前から治療を始めたほうがよいこともあります。使用する薬によって治療開始のタイミングも違ってくるので、花粉が飛びはじめる2週間ほど前を目安に受診し、医師の指示に従って薬を服用しましょう。

症状が軽い場合は……

症状が軽い場合は、市販薬で対処してもよいでしょう。ただし、必ず対象年齢を確認し、用法・用量を守ります。

いちばんの予防法は、花粉を体につけないこと!

花粉症は、治療より予防が大切。予防法としてもっとも効果的なのが、花粉を体につけないことです。外出時はマスクとメガネで花粉をシャットアウトすることが望ましいですが、メガネをするのは難しいお子さんは、帰宅したら顔を拭きましょう。

髪にも花粉がつきやすいので、帽子もかぶりましょう。衣類の素材は、ニットやウールなどフワフワしたものより、表面がツルツルしたものがおすすめ。帰宅したら、玄関の外で服の表面を払い、帽子をとりましょう。室内に入ったらすぐに手洗いとうがいをし、できれば顔も洗います。

 

室内の花粉の取り除き方

花粉をしっかり取り除くなら、まずは床掃除用のシートや雑巾などで室内のほこりを1カ所に集め、それを掃除機で吸い取ります。最初に掃除機をかけると、排気で花粉が舞い上がってしまうためです。部屋の隅や、静電気が起こりやすい電化製品の近く、棚の上などは、花粉がたまりやすいところ。とくにていねいに拭き掃除をしましょう。

空気が乾燥していると花粉が舞い上がりやすいので、加湿器などを使ってほどよい湿度を保つことも有効。花粉が飛ぶ時期には、衣類や布団の外干しも避けましょう。

 

記事監修

澁谷紀子|小児科医

総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。

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