子どもの気質には5つのタイプがある
「気質とは、持って生まれた個性のようなもので、成長しても本質的に大きく変わることはないもの。個性と受け止めて、育児に取り入れてほしいですね」と話す竹内先生。
竹内先生によると、気質はおもに5つのタイプに分けられるといいます。気質によしあしはありませんが、ときに気質が育てにくさとして現れ、困りごとや心配のタネとなるのです。
お子さんがどのタイプに属するか、また、「気質タイプ別子育て」について詳しくは、この記事の最後をご覧ください。
1. エンジェルタイプ……愛嬌たっぷりで人気者だけど、のんびり屋
2. テキストタイプ……知的で優等生だけど、ませていて理屈っぽい
3. アクティブタイプ……好奇心旺盛で行動派だけど、落ち着きがない
4. デリケートタイプ……感受性豊かでやさしいけれど、引っ込み思案
5. ネガティブタイプ……粘り強く努力家だけど、こだわりが強い
繊細で傷つきやすい「デリケートタイプ」はどんな子?
デリケートタイプ チェックリスト
あてはまる項目が多いほどデリケートタイプの気質あり!
□ 常にビクビクして、おびえているように見える
□ 静かで落ち着いた環境でなければ眠れない
□ 包み込むように抱きしめてあげると、落ち着いて泣きやむ
□ 初めての場所になかなか慣れず、保育園や幼稚園に通えない
□ お友達におもちゃを取られても返してと言えない
□ 友達の輪に入れない
デリケートタイプの特徴
ちょっとしたことですぐに泣いてしまうなど、繊細で傷つきやすい、敏感性の気質です。 順応性が低く、環境に慣れるまで時間がかかることも。でも、人の気持ちを理解することが得意で思いやりもある、やさしい性格です。
相談 すぐに怒ったり泣いたりして、手がつけられなくなります
【デリケートタイプ・6歳女の子】ママのお悩み
小学1年生の娘は、デリケートタイプでネガティブタイプも一部あります。
物事が上手くいかないときや弟とケンカしたとき、すぐにカッとなり、手に終えなくなることも。
泣いて怒ると何を言ってるのか聞き取れず、まるでイヤイヤ期の幼児のようです。どう対応したら良いのでしょうか。
デリケートタイプのお子さんには「寄り添い」が大切
竹内先生
「デリケートタイプのお子さんはには、シクシクと泣いて落ち込んで、あまりしゃべらず、静かになるタイプが多いのですが、お子さんの様子を見るとネガティブタイプも一部あるとのことですね。
子どもが納得しない、イヤなことがあるときは、特にデリケートタイプの場合は、寄り添って話を聞いてあげることが必要です。
そして、子どもの言っていることを繰り返してあげましょう。「これがイヤだったのね、うまくいかなくて悔しかったのね」などと感情を言葉に出して代弁し、寄り添ってあげます」
励ますのは逆効果。気持ちを代弁してあげる
竹内先生
「特にデリケートタイプは、一度気分が沈むと落ち込んだ気持ちが長引きます。しかし、寄り添いながら「大丈夫よ」とか「気にすることないよ」「こういうときは、こう言い返すのよ」などと意見をするのは要注意です。
泣いている状態では、子ども自身は何もできないので、気持ちを代弁してあげることがとても重要です。
この相談の場合は、言っていることを聞き取れない状態ですが、そんなときはスキンシップとして背中をゆっくりさすったり、トントントンとしてあげたりすることで呼吸をコントロールしていると、落ち着いてくることがあります」
感情のコントロールの仕方を教えるつもりで
竹内先生
「子どもを説得したり励ましたりする必要はなく、ただ自分の感情をうまくコントロールすることを教えてあげるべきなのです。
子どもがカッとなった場合は、その後、気分がしずまるまでの時間がどのくらいかを観察したうえで、しずまるまでの時間を徐々に短くしていくようにします。
そこで「大丈夫」「そんなこと気にしないで」と大人が焦ると、子ども自身が「カッとなった」という感情をうまく処理することができないままになってしまいます」
泣くことで感情を吐き出せる
竹内先生
「ネガティブタイプだと感情が強いので、物に当たったり怒鳴ったりすることがあるのですが、それはいけないことですよね。このお子さんの場合は、感情を言葉で発散しているだけで、人や物に害を与えているわけではないので問題ないと思います。
怒ったりしたときには、思いっ切り泣かせるのも一案。そして、泣いたまま呼吸を整えてあげると泣き止んでいきます。イヤな気持ちの原因となっている感情を吐き出させてあげることが、感情をコントロールできるようになる近道です」
「気質タイプ別子育て」で子育てをラクに!
子育てするうえでのお悩みは尽きないものですが、デリケートタイプのお子さんの多くは、敏感なだけに人の気持ちがわかってやさしいという長所があるといいます。
子どもの気質に合った育て方をして、その伸ばし方を知ることで、育児はもっと楽になるはず。
そもそも、竹内先生が「気質タイプ別子育て」の研究を始めたのも、あまりにも多くの親御さんが、子育ての悩みを「自分のせい」だと思い込み、悩んでいるのを知ったことからでした。
「子どもが泣いたり、わがままを言ったりするのは親のせいではないし、困ったことの裏返しは才能でもあるので、正しい接し方を知ってほしい。子どもの気質を理解して子どもの良いところを見ることができれば、自分自身や周りの大人のことも理解できるようになる」と竹内先生はいいます。
また、「困った」事態に備えることができるので、親のイライラや不安も軽減されます。
お子さんの気質タイプや、竹内先生の「気質タイプ別子育て」については、HugKumの他記事もどうぞ参考にしてみてください。
参考書籍/『0歳から6歳までは 生まれながらの「気質タイプ別育て方」でラクになる!』 (KADOKAWA)
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記事監修
竹内エリカ先生
お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。20 年にわたって子どもの心理、教育、育成について研究し、これまで約 20,000 人、子どもから大学生までを指導してきた。あそび学を専門とし保育・幼児教育関係者への講演活動や執筆、ラジオパーソナリティーなども務める。
イラスト/よしだゆう 文・構成/村重真紀