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子どもの気質には5つのタイプがある
「気質とは、持って生まれた個性のようなもので、成長しても本質的に大きく変わることはないもの。個性と受け止めて、育児に取り入れてほしいですね」と話す竹内先生。
竹内先生によると、気質はおもに5つのタイプに分けられるといいます。気質によしあしはありませんが、ときに気質が育てにくさとして現れ、困りごとや心配のタネとなるのです。
お子さんがどのタイプに属するか、また、「気質タイプ別子育て」について詳しくは、この記事の最後をご覧ください。
1. エンジェルタイプ……愛嬌たっぷりで人気者だけど、のんびり屋
2. テキストタイプ……知的で優等生だけど、ませていて理屈っぽい
3. アクティブタイプ……好奇心旺盛で行動派だけど、落ち着きがない
4. デリケートタイプ……感受性豊かでやさしいけれど、引っ込み思案
5. ネガティブタイプ……粘り強く努力家だけど、こだわりが強い
繊細で傷つきやすい「デリケートタイプ」はどんな子?
デリケートタイプ チェックリスト
あてはまる項目が多いほどデリケートタイプの気質あり!
□ 常にビクビクして、おびえているように見える
□ 静かで落ち着いた環境でなければ眠れない
□ 包み込むように抱きしめてあげると、落ち着いて泣きやむ
□ 初めての場所になかなか慣れず、保育園や幼稚園に通えない
□ お友達におもちゃを取られても返してと言えない
□ 友達の輪に入れない
デリケートタイプの特徴
ちょっとしたことですぐに泣いてしまうなど、繊細で傷つきやすい、敏感性の気質です。 順応性が低く、環境に慣れるまで時間がかかることも。でも、人の気持ちを理解することが得意で思いやりもある、やさしい性格です。
相談 いつも幼稚園に行きたくないと駄々をこねます。どうすればいいでしょうか?
【デリケートタイプ・4歳男の子】ママのお悩み
4際の息子は、デリケートタイプです。
なぜかわかりませんが、毎朝、幼稚園への登園を渋るので、行かせるのに苦労しています。良い解決法はありますか?
デリケートタイプのお子さんには、理由をしっかり聞いてあげて
竹内先生
「まずは『どうして行きたくないの?』と園に行きたくない理由を聞き、その理由によって対処してあげましょう。
行きたくないからといって『行かない』とは限らないのです。私たち大人にもありますよね、朝起きたくないとか仕事に行きたくないとか(笑)。本当に行きたくないわけではない、ただ気持ちの切り替えができない場合もあるので、理由をしっかり聞いてあげ、状況を把握してあげることから始めましょう」
行きたくない理由の見極めを
竹内先生
「何とかして園に行けたときは、お子さんが園でどのように過ごしているかを先生に聞いてみましょう。朝は駄々をこねていたとしても、『一日楽しそうに過ごしていましたよ』などと先生が答える場合は問題ありません。気分の切り替えがうまくできないだけなのですから。
園に送っていった際、スッパリと別れるのもおすすめです。デリケートタイプのお子さんは、親もデリケートタイプであることが多いので、お子さんを心配して『大丈夫? 今日は仲良くするのよ。ママすぐ帰ってくるからね』などと声をかけている場合が多いんです。そうすると子どもの不安が募ってしまうのです。
『今日も行こうね』と園に連れて行って、『じゃあね、バイバーイ!』とあっさりお別れするのです。親が心配すると子どもにも気持ちが移ってしまうので、余計な説得は不要です。
もし、園に行きたくない理由が、お友だちや先生と合わないということであれば、それは相談してみることが必要だと思います」
刺激に疲れてしまうなら、たまに園を休んでも
竹内先生
「デリケートタイプのお子さんの中には、感覚過敏といって、多くの刺激に疲れてしまう子もいます。新学期やクラス替えの直後に多いのですが、『どうしても今日は行きたくない』という日があったりします。
たまに園を休ませてあげたり、早くお迎えに行ってあげるのも効果的だと思います。それによって翌日は元気に園に行くことができたりします。『園に行って楽しく過ごしているかどうか』で、その必要性を見極めればいいと思います」
登園前の時間にゆとりを持つ
竹内先生
「また、デリケートタイプのお子さんは朝の支度に時間がかかる場合が多いので、他の子より長めに時間を取ってあげるといいでしょう。少し早起きするのもいいですね。
おそらく、朝の時間に親が『早く準備しなさーい』などと言って、お子さんは『まだ遊びたい』『まだご飯中ー』などと答えて怒られているなど、家を出る前にトラブルがあるのかもしれません。本当に行きたくない場合でなければ、朝の機嫌に左右されていることも多いのではないでしょうか」
園生活で無理をさせない配慮を
竹内先生
「感覚が敏感なデリケートタイプは、基本的にやさしい性格です。意地悪せず、人のことは傷つけません。だから園生活でも、無理をさせないことが大事です。
元気すぎるお友だちや先生のことや、早口のおしゃべりが苦手だったりするので、気になる場合は担任の先生に「うちの子は感覚が敏感でして、ゆっくり静かに伝えてください」などと、相談してみるもの手だと思います。
親もなるべく落ち着いたトーンで、お子さんに接してあげるようにするといいでしょう」
「気質タイプ別子育て」で子育てをラクに!
子育てするうえでのお悩みは尽きないものですが、デリケートタイプのお子さんの多くは、敏感なだけに人の気持ちがわかってやさしいという長所があるといいます。
竹内先生には、このほかの「気質タイプ」のお子さんのお悩みにも答えてもらいました。
子どもの気質に合った育て方をして、その伸ばし方を知ることで、育児はもっと楽になるといいます。
そもそも、竹内先生が「気質タイプ別子育て」の研究を始めたのも、あまりにも多くの親御さんが、子育ての悩みを「自分のせい」だと思い込み、悩んでいるのを知ったことからでした。
「子どもが泣いたり、わがままを言ったりするのは親のせいではないし、困ったことの裏返しは才能でもあるので、正しい接し方を知ってほしい。子どもの気質を理解して子どもの良いところを見ることができれば、自分自身や周りの大人のことも理解できるようになる」と竹内先生はいいます。
また、「困った」事態に備えることができるので、親のイライラや不安も軽減されます。
お子さんの気質タイプや、竹内先生の「気質タイプ別子育て」については、HugKumの他記事もどうぞ参考にしてみてください。
参考書籍/『0歳から6歳までは 生まれながらの「気質タイプ別育て方」でラクになる!』 (KADOKAWA)
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竹内エリカ先生
お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。20 年にわたって子どもの心理、教育、育成について研究し、これまで約 20,000 人、子どもから大学生までを指導してきた。あそび学を専門とし保育・幼児教育関係者への講演活動や執筆、ラジオパーソナリティーなども務める。
イラスト/よしだゆう 文・構成/村重真紀