子どもの食事を「ワンプレート皿や大皿に盛りつけ」で出てきた問題点
ワンプレート皿を多用していた理由は、三つありました。一つ目は子どもの離乳食後期から使っていて、馴染みがあったこと。二つ目は仕切りがあるので、分けたところにメインのおかず、野菜のおかず、ご飯と分ければ見栄えもそれなりにあり、献立も考えやすいと私が感じていたこと。三つ目は洗い物が楽だったこと、でした。
お箸を持てるようになってからはワンプレート皿にプラスして子ども専用の茶碗とお椀を用意しました。それまで使っていたプレート皿を、大皿に乗せた料理の取分け皿として利用したりもしていました。
ところが最近、上の子も下の子も少し大きくなってきたからなのか、秋でご飯が美味しくなったせいなのか。子どもたちの食欲が一気に増しました。すると、食べ方に気になるところが出てきたのです。
大皿に盛ると競い合うように食べる・適量を超えた量を食べ「そっちが大きい、自分は小さい」と不満を口にする。好きなものばかりを食べる、おかずを先に食べてしまうのでご飯だけ残る、早食いになる、などなど。
その都度「一緒に食べている人のことも考えようね」と伝えても【食】に関しては(特にお腹がすいているときには)なかなか冷静な判断ができないようでした。
どうしたらよいか考えていたところ、一緒に出かけたお店にある一枚のお皿を見て子どもが「このお皿いいね」と言ったのです。そこで“基本に戻ろう。一汁三菜を意識した盛り付けをしよう。器をきちんと使い分けて配膳してみよう“と思ったのです。
元来、和食には決まった置き場所があります。器を使って、個々に食事のテーブルを作ってあげたらどうか、と思ったのです。
一汁三菜という基本のスタイルはメリットいっぱい
和食の基本のスタイルは何かというと“一汁三菜”です。一汁三菜の「一汁」とは汁物のこと。「三菜」とはおかずが三品あることをいいます。おかずの一つ目はメインになるもの。お肉やお魚などを使ったメインのお料理、二つ目、三つ目はお野菜を使ったもので考えるとバランスが良くなります。私はあまり料理が得意ではありませんが、一汁三菜を頭に置くとメニューを考えるヒントにもなりました。
お料理に使う素材も自然と数が多くなり、栄養をまんべんなく取ることができます。それに、全部が手作りでなくても、大変な時は市販のお惣菜に頼ってもいいと思います。意識すると以前に比べて市販のお惣菜を買う頻度も選ぶ商品も変わってきました。揚げ物ばかりからお野菜を使ったお惣菜を手に取ることが多くなりました。さらに、作り方を変えたわけでもないのに、器のおかげでそれまでと変わらない私の料理でも格好がつくような気がしました。
和食の基本の置き方を覚えよう
器に盛り付けた料理は子どもたちに自分たちで並べてもらっています。和食には基本の置き場所があるので、最初に丁寧に子どもたちに伝えました。間違えた時は私の並べ方を見てどこが違うのか、まず自分で気づいてもらい、その後自分で直します。
私が正しく置くのは簡単ですが、それでは自分でできるようになりませんものね。最初こそ間違えていましたが、すぐに自分でできるようになりました。
並べ方は以下が基本のスタイルです。
①お箸・・一番手前(箸先は左になるように。左利きの方は逆ですね)
②ご飯・・手前左:左上位の考え方からご飯は左に置きます
③汁物・・手前右:一口目は汁物からいただきます。(右側にあると取りやすいです)
箸に水分が付き、お米が食べやすくなります
④主菜・・右奥:肉、魚、卵などを使ったタンパク質を取るメインのおかず
⑤副菜・・左奥:お野菜を使った準メインとなるおかず
⑥福々菜・・中奥:足りない栄養素を補う部分。お浸しや和え物でもいいですね
⑦お漬物などを添えたいときはご飯と汁物の間に置きましょう
大変だと思ったことは一つだけ。使う器が増えて、洗い物の種類が少し多くなったくらいでしょうか。ですが、大変だと思う以上の嬉しい効果が沢山ありました。
器を変えたら、子どもたちが落ち着いて食べるように
それぞれの席にテーブルクロスをひいて、茶碗、お椀、メイン・・と置いていき、食事を続けていると、子どもたちの食事に変化が出てきました。
自分の目の前にある食事を大切に落ち着いて食べるようになったのです。
競争する必要が無いからなのか、全員がそれぞれ等分になっていることに満足しているのか。おかわりをすることはありますが、競い合って食べるようなことはなくなりました。
そして、好き嫌いもせず、出されたものが苦手でもきちんと挑戦し、克服するようになりました。好きなおかずだけ先に食べてご飯が残ってしまうこともなく、おかずとご飯の配分を考えて食べられるようになりました。さらに食事の準備も積極的に手伝うようになりました。箸を並べるときに置く箸置きを楽しそうに選ぶ姿も見られます。
器の扱いにも変化が
「ごちそうさま」と言った後はスッと自分の食器を流しへ持っていきます。以前も持って行くことはしていたのですが、プラスチックや木のプレート皿の時よりも器の扱いが丁寧になりました。「このお皿は重ねていいの?」と油物のときには確認するようになりました。
プレート皿の時は何でも重ねて持って行き、洗いにくい食器があるときもありましたが凄い変わりようです。茶碗やお椀の扱いもそっと持ち上げるなど丁寧になりました。
ちょっとした工夫で食卓はさらに豊かなものとなりますね。少し出番の少なくなったプレートですが、お誕生日やイベントの時などにはお子様ランチを作ったりして活用していますよ。特別感が増して、喜んでくれています。
皆様の食卓がさらに豊かで楽しいものとなりますように。
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文・構成/赤名麻由子
赤名 麻由子