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尾頭つきの魚、家で食べていますか?
“尾頭付きの魚”とは、字のごとく「尾」と「頭」がついた魚のこと。釣ったそのままの状態でいただく魚のことです。皆様は普段から尾頭つきの魚を召し上がっていますか?
魚には子どもの身体や脳の成長にとても大切な栄養が沢山含まれているため、積極的に子どもに食べてもらいたい食材の一つです。今は魚が調理しやすい状態でスーパーに置いてありますし、「骨なし」とシールがついて既に骨が取ってある場合もあります。魚を食するときに気になる骨が無いことで、子どもも魚を食べることが多くなりました。
旬のサンマは尾頭つきの魚を食べる練習にぴったり
しかし、そうは言っても魚は尾頭つきの状態でいただくのが一番美味しいと思っています。普段はなかなかできないのですが、サンマが美味しい時期を利用して、子どもたちと一緒に尾頭つきの魚を食べる練習をしてはいかがでしょうか。
「尾頭つきの魚って難しそう」と思われる方もいらっしゃると思いますが、食べる順番を覚えれば簡単です。その順番も「マナーでそう決まっている」と構えるのではなく「その順番で食べると、食べやすいから」と考えていただくといいと思いますよ。普段は切り身で出てくる魚が、一匹丸ごと食卓に出てくるだけで、子どもたちには新鮮に感じるのではないでしょうか。
魚の頭は左に。掻敷(かいしき)やあしらいを添えてみよう
今日は尾頭つきの魚を食べてみようと決めたら、子どもと一緒に魚をいただく準備をしてみませんか?まず魚を置く位置です。焼きあがった魚の頭は左にします。左利きの方がいらっしゃる場合は食べやすくするために頭を右に向ける場合もありますが、基本は魚の頭は左を向いている、と覚えてください。そのままお皿に乗せて食卓に出してもいいのですが、美味しさや見栄えの観点から、ひと工夫してみませんか?
お店などでいただくとき、魚の下に笹の葉が敷いてあることがありますね。これを「掻敷(かいしき)」といって魚の下、もしくはお皿の左上辺りに置きます。そして魚の右下に置くのが「あしらい」です。これは大根おろしやかぼす、レモン、しょうがなど魚の臭みを消す作用の他に、味を美味しくするために添えられているものです。子どもと一緒に盛り付けを工夫して一皿作ってみてはいかがでしょうか。
私は『今日はサンマを焼くぞ!』と思った日は子どもと散歩に出かけ、綺麗な状態で落ちている紅葉や、匂いのついていない銀杏の葉を拾ってきて一緒に洗って添えたり、お弁当で使う仕切りの緑の葉を笹の形に小さく切って添えたりしています。大根おろしの盛り付けや、かぼす、レモンを置く位置を子どもに任せてもいいですね。
魚は「6つのステップ」で簡単においしく食べられる
まずいただく前に、おしぼり、もしくは懐紙を用意しておきましょう。魚の頭や骨を手で触る場面がありますから、事前に用意しておけばスマートに手を拭けます。では、準備ができたらいただきます。魚は6つのステップで綺麗に簡単に美味しく食べられます。
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STEP①
- 写真の【中心】と書かれている線(中骨)に沿ってお箸を入れます。骨が当たる位置で止めて、頭から尾まで順番に箸を入れていきます。
※背びれや胸びれがある場合はこの時に取って魚の向こう側に置いておきます。
STEP②
【表1】と書かれた中骨より上の部分を頭の後ろから尾にかけて食べます。骨に沿って、ゆっくり外しながらいただくのがポイントです。
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STEP③
- 今度は【表2】をいただきましょう。中骨から下の部分を頭の後ろから尾にかけて食べます。小骨や内臓の食べられない部分があった場合は魚の向こう側に置きます。
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STEP④
- 中心にある大きな中骨を外します。頭を左手で押さえ、箸で尾を掴みます。尾を掴んだ箸を少し左に倒して尾を外したら、両手(左手頭、箸を持った右手は尾を持っている)で骨を魚の向こう側へ移動します。
この時に手が汚れたら、用意しておいたおしぼりや懐紙を活用しましょう。 - ※お皿の手前には食べられるものがある状態にします。食べられない骨や使い終わったかぼすなどは(写真の黄色い丸の部分)皿の向こう側へ置くと覚えてください。
STEP⑤
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- 魚の頭の位置は左のまま、骨が無くなった下の身をいただきます。【裏1】と書かれている、中心から上の部分をまずいただきます。
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STEP⑥
- 最後に【裏2】と書かれている下の部分をいただいたら終了です。
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片付ける人を気持ちを考えて
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- 食べ終わった後は、お皿の上の方には骨や内臓など食べられない部分だけがある状態ですね。片づける人のため、なるべく一か所にまとめましょう。懐紙があれば懐紙で、無ければ、かぼすやレモンなどを上に乗せてみてください。食べ終わった後のお皿がどのようにしたら綺麗に見えるか、子どもと一緒に考えてもいいですね。「片づける人の気持ち」を一緒に考えるチャンスです。
- ほかほかご飯に湯気の上がるお味噌汁、さらに自分たちで準備したお皿に乗った焼きたてアツアツのお魚。こんなご馳走はありませんね。秋の食卓が美味しく楽しく、食べた後も美しい食卓となりますように。
文・構成/赤名麻由子
赤名 麻由子