元プロ野球選手の篠塚和典さんが説く!幼少期にやっておきたいすべてのスポーツの土台となる運動とは

どんなスポーツにも通じる、幼少期にやっておいた方が良い運動って、保護者ならみんな知りたいはず。そこで、現役時代数々のタイトルを獲得した元プロ野球選手の篠塚和典さんに、ご自身の体験談を元にスポーツの土台となる運動とは何かについて伺いました。

幼少期にやっておいた方が良いスポーツの土台づくりとは

篠塚さんといえば、現役時代しなやかな守備が光っていたのが印象的です。野球の土台ともなりそうな、そのしなやかさは幼少期にどのように身につけたのでしょうか。

お話を伺ったのは……

篠塚和典|元プロ野球選手
長嶋茂雄氏に認められ、ドラフト1位でプロ野球 読売ジャイアンツ(1976~94) に入団。打撃だけでなく、正確な守備にも定評があり、引退後はコーチを務め、現役選手のレベルアップに貢献。主な受賞タイトルは、首位打者2回 / ベストナイン5回 / ゴールデングラブ賞4回。

Q. 今思えば野球に役立ったと思う、子どもの頃の遊びを教えてください。

篠塚さん:「昔は、トレーニング施設や道具などが揃っているわけではなかったので、自然の中で遊んでいたから、それが身体の柔軟性を育ててくれたのかなぁ。

―自然の中でどんな遊びをされていたのですか?

熱中したのは、木登り。隣の木に飛び移ったりする動きで、動的柔軟性や握力が自然と身についたんだと思うなぁ。

※動的柔軟性…「関節可動域における動きやすさ」すなわち運動のしなやかさ。(参考:厚生労働省e-ヘルスネット

だって木から落ちたくないもんね!

今思えば、かなり危険なことしていたよ(笑)

―遊びも必死だと、鍛えられそうですね! とはいえ、現代の子どもたちは木登りがなかなかできない環境。今の子たちが柔軟性や握力をアップさせるには何をさせたらよいですかね……。

篠塚さんアスレチックなどで自然と関わりながら運動するのがいいのでは! 遊びながら鍛えると、バランス感覚も養われるでしょう。

ほかにも、山道や砂浜など足元が整っていないところを歩くだけでも、自分の体重をどのように動かすか、感覚で覚えられるんだよね。

もちろん、公園の遊具を使って動くことで関節の可動域が広がったり、バランス感覚を養うこともできると思うよ。

あとは、走ったり止まったりする「おにごっこ」や「かくれんぼ」をすることでも反射神経は鍛えられるよね。

―なるほど!遊びながら日常では使わない筋肉を鍛えることができるのは、一石二鳥になりますね。

篠塚さんラジオ体操も、ひとつひとつの動きの説明をしながら覚えさせれば、どこを意識して動かせばいいか子どもも考えながら体操ができ、柔軟性を鍛える効果は高いと思うなぁ!

子育てで、意識したお子さんとの幼少期の遊びは

次に、篠塚さんご自身の子育てについても教えてもらいました。

現在、篠塚さんのお子さんは社会人野球チームで活躍されています。お子さんにはどのように野球を教えたり、幼少期にどんな遊びを一緒にしたりしたのでしょうか。

Q. はじめに野球をする魅力は、どんなところでしょう。

篠塚さん:野球って、ほかのスポーツの土台にもなる「投げる」「走る」「打つ」など多様な動きが伴う上に、ルールを通じて社会での協調性を学ぶことができるんだよね。

ただ、いきなり小さい子にやってごらん!と言うのではなく、はじめはどんなスポーツでも、少しでも興味を持ってもらうことができるような環境づくりを親がしてあげることが大事。

野球なら野球の試合を見に行ったり、サッカーならサッカー場に連れて行くとか……。

リビングには、2009年の第2回WBCで侍ジャパンの打撃コーチをされたときのユニフォームが。試合を見せるのは、確かにスポーツを始めるきっかけになりそうです

篠塚さん:子どもがこのスポーツをやってみたい!と自分で決めるということが、そのスポーツが長続きできるコツだと思うんだ。

というのも、どんなスポーツも、毎日同じことを繰り返して、身体に覚えさせていくことが一番大事だからね。

―大人でも毎日同じ練習をするのは大変ですよね……。

Q. お子さんにはどのように野球を教えたのですか?

篠塚さん:息子には、幼少期に遊びの中でボールの感覚を身体に覚えさせていたよ。

例えばコレ!ちょっと見て。

篠塚さんは、天井にほど近い、窓枠を指さします

篠塚さんのご自宅のリビングは吹き抜けになっていて天井は高いのですが、2階部分にあたる窓枠にはボールがぎっしり!

いったいどうやって、ボールをのせたの?と言うほど高いところにある窓枠です。

息子が小学生の頃「この窓枠に、野球ボールを投げて、のせてごらん!」と言っていたんです。

帰宅すると「今日は何個のせたよ!」って嬉しそうに報告してくれました。

窓枠がボールでいっぱいになったら「今度は、ボールをボールで落としてごらん」と言うんです。

実は、力の加減やどの位置に投げるかなど、集中力が必要で、まあ、難しいんですよ。その分、達成感もあるんだろうけれど……。

笑いながら、コントロール良くボールを投げていく篠塚さん

常に家でボールが手元にあるという環境は、指先の感覚が研ぎ澄まされていいんだよね。

-篠塚さんは、外や習い事の場でないと練習できないというのは思い込み。少し子どもと接して、上手にできたねと褒める時間を設けるだけで、家での練習時間も有意義なものになると思うよ、と話します。

篠塚さん:余談だけど、実は息子、この窓枠だけではなく、受賞したゴールデングラブ賞の記念グラブを的にして、ボールを投げていたこともあって。さすがに、そのときは冷汗をかいたよ(笑)。

お子さんの的あてにされていたというゴールデングラブ賞! 壊れなくて良かった……(笑)

Q. ほかにも、家でできる野球の練習ってありますか?

篠塚さん:息子に、新聞紙を丸めてボールをつくり、自分で投げてバットに当てるという練習もよくさせていたかなぁ。

この自分で投げて当てるという感覚も、球技には大事なポイントになるんだよね。おうちでの自主練にぜひ。きっと自信にもつながると思うよ。

―今日は、ためになるお話を本当にありがとうございました!

子どもの時の運動習慣が、将来のスポーツに役立つ

元プロ野球選手の篠塚さんは「子どもの時の、運動習慣が将来のスポーツに役立つ」というお話をしてくれました。

その運動習慣も、遊びの中で自然に柔軟性が鍛えたり、毎日時間を見つけてボールに触れるようにするなど、日々の暮らしの中でちょっと意識をすれば良いというお話でホッとした方も多いのでは?

好きなスポーツを始めているお子さんはその目標に向かって、まだ特に何も始めていないお子さんは少しでも興味を持ったスポーツへ親がアシストして。家族でスポーツを楽しんでみては♪

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取材・文/森岡陽子 写真/藤岡雅樹(小学館)

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