お屠蘇とは
お屠蘇は元旦の朝に、一年の無病息災を願って飲む薬草酒です。私は以前お正月に飲む全てのお酒のことをお屠蘇だと思っていたのですが、お屠蘇にはきちんと作り方があるのです。お屠蘇は小さな袋の中に調合された生薬やスパイスを、お酒や本みりんに付け込んで作成します。作るのに数時間かかるので、今では日本酒をお屠蘇として召し上がるご家庭もありますね。お屠蘇を作るための調合された生薬は、祝箸やお正月用品が置いてある棚に一緒に置いてあることが多いです。
名前も独特ですね。実は一つ一つの漢字を見ていくと面白いのですよ。
お屠蘇の
屠(と)=屠(ほふ)る、切ってばらばらにする
蘇(そ)=中国に伝わる病気をもたらす鬼の名前/生き返る/よみがえる
という意味があります。併せると、蘇という鬼をやっつけて(屠り)、さらに元気でいよう(よみがえろう)という意味が伝わりませんか。
お屠蘇とお神酒(おみき)の違い
お正月にいただくお酒として思い出されるのが、新年の参拝時に神社でいただくお神酒ではないでしょうか。同じお酒ではあるものの、こちらはお屠蘇とは違うものです。では何が違うか、というとお神酒の中には日本酒が入っています。この日本酒は一度神様に献上したもの。神様からの力をいただいたお酒をいただくことで神様の力を分けていただく、ご加護をいただく、というものです。
子どもから「家でも飲んだでしょ?」と言われたら「お家で飲んだのはお屠蘇、今いただいたのはお神酒。お屠蘇はパパやママが一年健康でいられますように、病気をしたりしませんように、という意味を込めて飲むお酒、神社でいただくお神酒は神様のパワーを少し分けていただくお酒なのよ」と伝えてあげてください。
飲み方で気を付けたいこと
お屠蘇とお神酒では、実は誰から口を付けるか、という順番が違います。お神酒は年齢が上の方から先にいただきますが、お屠蘇は年少者から順に口を付け、最後に年長者となるようにいただきます。これは、若いエネルギーを他の方に分ける、という意味があります。ちなみに、年齢の順番は関係なく、厄年の方は年長者よりも後、最後に口を付けましょう。これはパワーが必要な厄年の方に皆さんの力を分け与えて差し上げる、という意味があります。
若い方から順に・・というと、一番パワーがある子どもたちを思い浮かべます。もちろんお酒が飲めない子どもたちですから、口を付けることはしません。しかし、パパやママが祖父母へお屠蘇を注ぐとき、そっと手を添えるだけでもパワーが伝わるような気がしませんか?「お屠蘇でね、パパやママのパワーをおじいちゃん、おばあちゃんに分けてあげるんだ。〇〇ちゃんのパワーも一緒にもらえる?」といって子どもが手を添えるだけで、子どもが祖父母を想う気持ちが伝わり、本当に力を与えられるような気持ちになりませんか?
お屠蘇で無病息災の一年を
子どもたちの記憶にも年少者から年長者へ注ぐ意味が伝わり、大きくなってお屠蘇を一緒にいただくときに自分が相手へ注ぐのだ、ということが分かるはずです。
いつかは子どもと一緒にお屠蘇をいただく日を想い、お屠蘇で無病息災の一年をすごしましょう。
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文・構成/赤名麻由子
赤名 麻由子