チゲ鍋とは
朝鮮半島の鍋料理である、「チゲ」には、数多くのバリエーションがあります。
「チゲ」とは、韓国語で鍋料理
日本で「チゲ鍋」と聞くと、白菜キムチが入った赤いスープに、豚肉や豆腐などを入れ、辛い味付けに仕上げた料理を思い浮かべますが、これは「キムチチゲ」のこと。
「チゲ」は本来「鍋」を指す言葉です。甘辛味噌を使用すると「テンジャンチゲ」、汲み上げ豆腐鍋は「スンドゥブチゲ」など、多くの種類があります。鍋料理のバリエーションが限りなく広いのは、日本も朝鮮半島も同じですね。ただ、現地では1人用の小さな鍋を用いるそうです。
変わり種のチゲ鍋
日本の食卓ではあまり見かけることが少ない、本場のチゲには以下のものがあります。ほんの一部ですが、ご紹介します。
・カムジャタン(骨付き豚肉とじゃがいも)
現地では豚の背骨を煮込んで作る鍋料理。コチュジャンスープの甘辛味です。豚のスペアリブで代用して作ると、近い味になります。最初にたっぷりのお湯で茹でこぼしてから調理します。
煮汁は豚の背骨を煮込んだスープにネギの青い部分を加え、酒、しょうゆ、コチュジャンで味付け。具材にはメインの豚肉の他、じゃがいも、ニラ、にんにく、唐辛子、えごまの葉。シメにはトッポギを加えます。
・コプチャンチョンゴル(牛もつ煮)
牛もつの旨味が溶け込んだ濃厚スープがおいしい旨辛鍋です。水と酒で牛のしま腸を煮込み、ダシダ、味噌、コチュジャンで味付けします。
キャベツ、玉ねぎ、戻した干し椎茸、ニラ、にんにく、鷹の爪が具材です。シメはうどんが合います。
お子さんに食べられる工夫
ご家族皆さんでチゲを楽しむなら、キムチは大人用のトッピングに使用してください。一緒に煮込んでしまうと辛くなり、お子さんの口に合わなくなります。
その他にも、お子さんに食べられる工夫を挙げました。それぞれのご家庭でお好みと相談しながら、取り入れてみてください。
キムチ鍋の素を使うなら
・ヤマサ ご飯がススムキムチ鍋つゆ 750g ×3個
お子さんでも食べやすい鍋の素といえば、この商品が真っ先に挙げられます。酸味が少なく、甘味が強い味付け。
出汁にひと工夫
・C・J いりこダシダ(イワシダシダ) 100g
ダシダとは、牛肉出汁に玉ねぎやにんにくの風味がきいた韓国の粉末調味料です。韓国の出汁の素といった存在で、手軽に本場の味に近づけることができます。
ご家庭で代用するなら鶏ガラスープ、または中華スープが近いです。メジャーなのは牛肉出汁で、他にもいりこ味やアサリ味を、海鮮系の鍋に使います。いりこダシダは牛肉よりもあっさりしているので、お子さんには食べやすいかもしれません。
シメにおすすめ
・ユウキ トッポギ/国産 150g
日本国内産の米粉を使ったスティック状のお餅です。日本の餅のような伸びはなく、もちもちとした食感。鍋などの煮込み料理に入れる他、炒め物にも合わせます。お子さんにも食べやすく、韓国料理らしさを味わえる食材です。
基本のチゲ
キムチチゲを、お子さんとご一緒の食卓でも食べやすくしたアレンジをご紹介します。
豚バラ肉のチゲ
豚バラのチゲをしょうゆベースで仕上げ、キムチを入れて食べるのは、本場でも一般的な食べ方です。今回は、お子さんに人気の厚揚げと、たっぷりのもやしを入れました。
◆材料
(2人分)
豚バラ薄切り肉 150g
玉ねぎ 1/4個
白菜 1枚
もやし 1/2袋
厚揚げ 1/2枚
サラダ油 大さじ1
ごま油 小さじ2
白菜キムチ 100g
【A】
水 200cc
酒 100cc
しょうゆ 大さじ1
鶏スープ 小さじ2
【シメ】
インスタントラーメン(乾麺) 1袋分
生卵 1個
◆作り方
【1】キムチは早めに冷蔵庫から取り出し、常温に戻しておきます。厚揚げを食べやすい大きさに切ります。豚バラ肉は4等分、玉ねぎは薄切り、白菜はざく切りにします。
【2】金属製の小鍋にサラダ油を熱して、豚バラ肉を炒めます。全体の色が変わったら玉ねぎを加えます。
玉ねぎがしんなりしてきたら、煮汁の材料【A】と白菜を加えて煮込みます。
【3】沸騰したらもやしを加え、サッと火を通します。仕上げにごま油を回しかけてください。
【4】お子さんには甘味のある白菜を取り分けます。大人は器に盛った後、キムチをトッピングしてお召し上がりください。
【5】鍋を食べ終わった後は、シメです。煮汁が足りない場合は水を足します。沸騰させ、添付の調味料を加えることで味を整えます。乾麺を加え、表示通りに茹でてください。仕上げに生卵を中央に落とし、混ぜながらいただきます。
キムチなし!辛味なし! 家族で楽しむチゲ鍋レシピ
キムチチゲの他にも、お子さんが食べられるチゲをご紹介します。
タッカンマリ(韓国風、鶏の水炊き)
骨付き肉をじっくりと煮て、タレをつけていただく韓国風の水炊きは辛くないチゲです。大人は一味唐辛子をかけて。
◆材料
(2人分)
鶏骨付き肉(ぶつ切り、または手羽元) 200g
【A】
水 400cc
酒 100cc
長ネギの青い部分 1本分
生姜 1片
【B】
玉ねぎ
えのき茸 1/2袋
じゃがいも 2個
【タレ】
ポン酢 大さじ2
白いりごま 小さじ2
青ネギ 10cm
にんにく 少々
しょうが 少々
一味唐辛子 適量
◆作り方
【1】鍋に鶏肉と【A】を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にします。アクをとりながら1時間ほどコトコトと煮てください。
【2】鶏肉を引き上げ、茹で汁をザルで濾します。
【3】小鍋に【2】の茹で汁400ccを入れ、【2】の鶏肉と【B】を入れて茹でます。
【4】タレを作ります。青ネギをみじん切りに、にんにくと生姜をすりおろし、タレの材料と混ぜ合わせます。
【5】【3】の鍋は、じゃがいもが柔らかくなったら完成です。タレをつけてお召し上がりください。
豆乳と春雨のスープ鍋
炒めた豚肉と春菊、春雨を豆乳スープで煮込むチゲ。大人用は、器に取り分けてからキムチを加え、キムチスープにしていただきます。ピンク色のまろやかなスープは、お子さんが食べられなくても、興味が沸くかもしれませんね。
◆材料
(2人分)
豚バラ肉 60g
春菊 1/4束(50g)
はるさめ 20g
水 100cc
豆乳(無調整) 200cc
鶏スープの素 小さじ2
味噌 大さじ1/2
ごま油 少量
白すりごま 大さじ1
白菜キムチ お好みの量
◆作り方
【1】豚バラ肉は4等分に、春雨はざく切りにして、茎と葉を分けておきます。
【2】鉄鍋にごま油を入れて熱し、豚肉を炒める。脂が出たら春菊の茎を入れて炒めてください。
【3】水を加え、沸騰したら春雨を入れ、1〜2分程茹でて柔らかくします。
【4】豆乳に味噌を溶き、【3】に鶏スープの素と共に加えます。沸騰したらごま、春菊の葉を加えてひと煮立ちさせます。
【5】器に盛りつけ、トッピングとしてキムチを加えます。
大人が我慢し過ぎない配慮を
各国の郷土料理を味わうと、その国の文化が感じられ、興味が沸いてくるものです。キムチをお子さんが口にすることは無理があるかもしれませんが、大人がおいしそうにチゲを楽しむ姿を見せることで、興味が沸くことでしょう。
また、大人が食べたいものを我慢し過ぎず、存分に味わえる配慮も大切なことです。うまく工夫をしながら、ご家族でおいしく鍋を囲める幸せを、味わってくださいね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)