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食事時間は長くて20分集中して食べられる環境を
まず大切なのは、子どもが集中して食べられる環境を整えることです。好きなものや楽しいものが視界に入ると、子どもはすぐに気が散ってしまうので、テレビは消して、おもちゃや絵本はしまうなど目に入らないよう工夫しましょう。もし可能なら、壁のほうを向いて座るよう配置するといいでしょう。
また、1~3歳ぐらいの子が集中できる時間は、長くて20分程度。「食事時間は20分」と決めておいて、全部食べられなくても切り上げましょう。
おうちの人も一緒に座って食事が楽しくなる声がけを
食事の時間はおうちの人も一緒に席につくことが大切です。お子さんのそばに座って、「おいしいね」「ひ
と口で上手に食べたね!」「もうひとつ食べてみる?」など、うれしい気持ちになる言葉をかけましょう。
小食や好き嫌いなど、人によって悩みはありますが、一生何も食べないで生きていける人はいません。イライラしたり悩んだりするよりも、「いつかは食べるだろう」と気楽に構えて、「大好きな人と一緒に食べたら楽しいな!」という気持ちを積み重ねていくことを大切にしましょう。
これだけはそろえてほしい!食事環境グッズ
子どもの食事のために開発されたグッズは、楽しい食事環境の実現に役立ちます。さまざまな便利グッズがありますが、この3種類があればOKです。
①ハイチェア
食事中に歩き回らないよう、ハイチェアがおすすめ。座ったときに足を置ける「足置き板」があるものを選ぶこと。背もたれにぴったりともたれた状態で足の裏が板につく高さに調整して使いましょう。
②子ども用食器
子ども用に設計された食器を必ず用意しましょう。食べやすいだけでなく、自分用のスプーンやフォーク、お皿が用意されていることで、「自分で食べたい」という気持ちや物を大切にする気持ちも育てる効果もあります。
③子ども用食事エプロン
この時期の子どもの食事は、汚して当たり前。食事用のエプロンが役立ちます。カバー力が高い長そでタイプやポケットでキャッチできるシリコン製、外出用の使い捨てタイプなど、用途に合わせて用意しておくと便利です。
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心や体の発達に合わせてこう変わる!年齢別・食事との関わり方
1・2・3歳は、心も体も大きく発達する時期。発達の段階によって変化していく食事への取り組み方や、おうちの人の関わり方を順に紹介します。無理にやらせるのではなく、お子さんの成長に寄り添いながらゆっくりと進めていきましょう。
1歳
手づかみ食べが大切。汚れても大丈夫な環境を
手指の発達が目覚ましい1歳の時期に、たくさん手づかみ食べを経験することで、自分で食べるのが上手になります。目で見たものを指でつかんで口へ運ぶという一連の動作を何度も繰り返しながら、食べる練習をしているのです。
エプロンをつける、椅子の下に新聞やシートを敷くなど、汚しても気にならない環境を整えましょう。
味を区別できるようになり好き嫌いが始まる
1歳半ごろから味を区別できるようになり、好き嫌いも始まります。昨日まで大好物だったのに急に食べなくなる、ということもあります。
一度食べなかったからといって献立から外さないこと。おうちの人がおいしそうに食べるのを見ているうちに突然また食べるようになることも、この時期の子どもにはよくあることなのです。
2歳
自己主張がピークに。「自分でしたい」を大切に
自我が発達して自己主張が強くなる2歳児は、何でも「自分でやりたい」という意志が強くなります。食事に関しても「自分で!」と激しく主張することが増えるでしょう。
こぼしたり汚したりすることがまだ多いですが、お子さんの「自分で」の意志を大切にしましょう。この積み重ねが、食事を楽しむ気持ちを育んでいきます。
奥歯4本が生えそろうのでたくさん咀嚼できる食事を
2歳半ごろに4本の奥歯が生えそろうとかみ合わせが完成し、硬いものもすりつぶして食べることができるようになります。
奥歯でたくさん咀嚼して噛む力が鍛えられると、食べ物を消化吸収しやすくなる、むし歯を予防する、脳を発達させるなどいいことづくし。おやつはせんべいや煮干しなど歯ごたえのあるものがおすすめです。
3歳
お手伝いを遊びのひとつに食事との関わり方を増やす
自分なりにイメージを膨らませて、いろいろなことに興味をもつようになる3歳児。「ここをめくると枝豆が出てくるよ!」など、楽しみながら食材に親しむといいでしょう。
約20日で収穫できるラディッシュを一緒に育ててみるのもおすすめです。買い物をしながら「きのこってたくさん種類があるね」など会話を楽しむのもいいですね。
3本指の「鉛筆持ち」でスプーンやフォークを持つ
3歳ごろから、親指、人差し指、中指の3本の指でスプーンやフォークを持てるようになります。
3本指の「鉛筆持ち」ができるようになると、炒飯のようなパラパラしたものやスープなどの液状のものもすくって食べられるようになります。この持ち方は、この先鉛筆を上手に使えるようになるための練習にもなります。
トラブルでイライラしない 食事のお悩み、こうして解決!
毎日毎日、食事のたびにトラブル勃発!という方も多いのではないでしょうか。幼児期の食事にまつわるよくあるお悩みについてお答えます。焦ったりイライラしたりする必要はありません。肩の力を抜いて、食事を楽しみましょう。
お悩み① 食べない、食べる量が少ない
生活リズムを見直して空腹を感じてから食べる習慣を
もしかすると空腹だという感覚がないまま次の食事の時間が来ているのかもしれません。子ども自身が「お腹が空いた。食べたい」という感覚を体験することが大切です。
そのためには、朝早く起きる、午前中は外遊びなどでたくさん体を動かす、昼寝は15時までに終わらせる、夕飯の前に散歩や買い物などで少し体を動かすなど、生活リズムを整えるよう意識しましょう。
あまり食欲がなさそうで食べ渋る場合は、ダラダラ食べさせないで「今食べないなら今日の夕飯は終わりね」と切り上げて片づけます。水分だけは摂って、お菓子などもあげないこと。生活リズムを整えながら3食くらいこれを続ければ、自分の空腹に気づき、食べるようになるでしょう。
お悩み② 好き嫌いが多い、食べムラがある
苦手な味はあって当たり前食べなくても食卓に並べる
味覚が育ってくるこの時期は、好きな味や苦手な味が出てくるころです。おうちの人は、元気に育つために何でも食べてほしいと思うかもしれませんが、実はこれは自己防衛としての正常な反応なのです。
例えば酸っぱいものは腐っている、苦いものは毒が含まれているということを察知するサインでもあるので、幼児は本能的にこのような味を嫌います。ですので、無理に食べさせる必要はありません。
また、特定の野菜を嫌う子も多いですが、例えばピーマンが食べられなくても、パプリカやほうれん草など、同じ栄養素が含まれている野菜を食べることができればそれで十分です。まずは食べることが楽しいと思える体験を!
お悩み③ 食事中のマナーやしつけの身につけ方
一緒に食べて、おうちの人の姿を見せる
子どもは一緒に食べる大人の様子やしぐさを見て模倣します。マナーやしつけを身につけさせたいと考えるなら、おうちの人が率先してやるようにしましょう。「いただきます」や「ごちそうさま」の挨拶は、おうちの人が必ず毎日言うこと。まだ言葉を話せなくてもその様子を見続けることで、次第に子どもも言うようになっていきます。
じっと座って食べてほしいなら、おうちの人も食事中はなるべく席を立たないこと。食事に必要なもののチェックリストを作っておいて、「おしぼりよし。スプーンとフォークよし。他も全部よし」と事前にそろえてから食べ始めるように心がけましょう。テーブルに乗るなどいけないことをした場合は「ダメだよ!」ときっぱり伝えましょう。
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『ベビーブック』2023年1月号
イラスト/三角亜紀子 デザイン/平野 晶 文/洪 愛舜 構成/童夢
小学館の知育雑誌『ベビーブック』は、毎月1日発売。遊び・しつけ・知育が一冊にぎっしりとつまっています! アンパンマン、きかんしゃトーマス、いないいないばあっ!など人気キャラクターがお子さんの笑顔を引き出します。はってはがせるシール遊びや、しかけ遊びでお子さんも夢中になることまちがいなしです。
再構成/HugKum編集部