保育園や幼稚園など集団生活をする年齢に多く発症するのが「流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)」。病気の症状や予防、対処について専門家の先生にお聞きしました。
こんな病気!
軽症ですむことが多いけれど、無菌性髄膜炎やムンプス難聴など、深刻な合併症に注意が必要です。
おもな症状と原因
耳の下などが腫れて痛む
3~6歳ごろの子どもに多い病気で、ムンプスウイルスによって起こります。耳の下~あごに腫れや痛みが起こり、発熱することもあります。 腫れや痛みは1~2週間で治まり(年齢が上がるほど長引くことが多い)、熱も3~4日で下がります。ウイルスに感染しても症状が出ずに治ってしまう「不顕性感染」も珍しくありません。
治療の基本
強い痛みや高熱には薬を処方
病院での治療は、つらい症状をやわらげるためのものが中心。痛みが強かったり高熱が出たりした場合は、解熱鎮痛薬が処方されます。
ホームケア
食事は食べやすいものを
受診後は、自宅で静かに過ごします。痛みのために口を開けにくかったり、ものを飲み込みにくかったりすることもあるので、様子を見ながら食べやすいものを用意しましょう。腫れが出てから5日過ぎ、全身の症状がよくなるまで登園停止です。
予防のためにできること
合併症予防のためにもワクチンを
園に通う年齢の子どもに多い病気なので、ワクチンで予防するのが一番。生後12か月を過ぎたら、すぐに受けておくのが理想です。流行性耳下腺炎は、頭痛や吐き気、高熱が見られる「無菌性髄膜炎」や聴力に後遺症が残る「ムンプス難聴」などの合併症を引き起こすことがあります。流行性耳下腺炎のワクチンは、保護者の希望で受ける「任意接種」ですが、深刻な合併症を防ぐためにも、ワクチン接種がすすめられています。
小児科医より
ムンプスウイルス以外の原因で耳下腺の腫れをくり返す「反復性耳下腺炎」もあります。原因がはっきりしないときは、抗体の有無を調べる検査や追加接種を!
記事監修
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。
出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 写真/繁延あづさ 再構成/HugKum編集部