一日に必要なカロリー(熱量)の計算方法は? 健康的なダイエットに必要な基本を確認

無理のないダイエットを目指すなら、カロリーの知識が欠かせません。熱量とカロリーについて、1日に必要な食事量などを知り、体重・体型の管理に役立てましょう。育児や家事で忙しくても続けられるカロリー計算方法や、ダイエットの基礎知識を解説します。

熱量・カロリーとは

熱量やカロリーがダイエットに関係があると知っていても、それぞれが何を意味するのかまでは分からない人も多いのではないでしょうか。まずは熱量・カロリーの定義をおさらいしましょう。

熱量を表す単位の1つが「カロリー」

熱量とはエネルギーのことで、カロリーは熱量のことを表す単位です。カロリーの表記「cal」は、フランス語で「熱」を意味する「calorie」を略したものです。

1calは、水1gの温度を1度上げるために必要な熱量と定義されています(厳密にいうと1気圧下・気温14.5度から15.5度へ1度上げるための熱量)。

人間が活動するためには、エネルギーが必要です。食品の熱量(エネルギー量)を表す場合には、主にcalの1,000倍の単位「kcal(キロカロリー)」を使用します。日常会話では「このお菓子は1袋で500カロリーもある」などと言いがちですが、正確にはキロカロリーであると覚えておきましょう。

1日に必要とされるカロリー

人間の活動に必要なカロリーの目安は、性別や年齢によって異なります。性別や年齢が同じ場合は、運動量の多さで変わってくることも押さえておきましょう。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日当たりの推定エネルギー必要量は下表の通りです。

推定エネルギー必要量(kcal/日)厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会資料(2020 年版)報告書より

「身体活動レベル」とは、1日の活動の強度を表す指標です。以下のように、3段階に分けられています。

●レベルⅠ(低い):ほとんど外出せず、座っている
●レベルII(普通):通勤や家事などで、日常的に軽い運動をしている
●レベルIII(高い):移動や立ち仕事が多く、活発な運動習慣がある

例えば、30歳の女性で身体活動レベルがIIの人は、1日2,050kcalのエネルギーが必要と分かります。

ただし、妊娠中・授乳中の人は、もっと多くのエネルギーが必要です。このように、必要量は状況によって変わるため、医師や助産師などの指示に従いましょう。

参考:日本人の食事摂取基準(2020 年版)|84ページ 参考表2 推定エネルギー必要量(kcal/日)|厚生労働省

カロリーの計算方法

エネルギー必要量は年齢や運動量だけでなく、体型によっても変わってきます。自分にとって必要なカロリーをより正確に知りたいときは、「基礎代謝量」を調べてみましょう。

基礎代謝量とは、呼吸や臓器の活動などの生命維持に必要な、最小限の消費カロリーです。下記のサイトに数値を入力すると、簡単に分かります。

健康・栄養フォーラム – 基礎代謝量の推定

そうして求めた基礎代謝量に、身体活動レベルごとに割り当てられた数値をかけたものが、1日の必要カロリーです。

年齢階級別に見た身体活動レベルの群分け(男女共通)厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会資料(2020 年版)報告書より

参考:日本人の食事摂取基準(2020 年版)|79ページ 参考表8 年齢階級別に見た身体活動レベルの群分け(男女共通)|厚生労働省

1食分の必要カロリーのめやす

1回の食事で取るべきカロリーは、正確に計算しなくても、次の分量をおおまかな目安とすることができます。(成人で肥満でなく普通の活動レベルの場合)

●ご飯やいも類:握りこぶし1個分
●肉・魚・卵・豆腐:片手のひらに乗るサイズ
●野菜:生は両手のひら一杯・温野菜は片手のひら一杯

細かく調べる時間がないときは、目安として活用しましょう。

主なエネルギー源について

人間は、主に炭水化物・脂質・タンパク質の三つの栄養素をエネルギー源としています。それぞれについて、特徴や注意点を見ていきましょう。

炭水化物

炭水化物は脳や筋肉など、細胞が活動するために必要な栄養素です。大きく糖質と食物繊維に分けられ、ブドウ糖や果糖などの糖質がエネルギー源として使われます。

糖質は消化吸収が早く、すぐにエネルギーに変わる反面、余った分は脂肪として体内に蓄積されます。炭水化物を取ると太りやすいといわれるのはこのためです。

ただし、太るのを気にして炭水化物を極端に控える生活を続けると、エネルギーが不足して疲労を感じやすくなります。特に、脳にとっての唯一のエネルギー源であるブドウ糖が不足すると、判断力や注意力の低下につながるともいわれるため注意しましょう。

脂質

脂質は、細胞膜やホルモンなどの原料として使われる栄養素です。皮下脂肪となって内臓を保護したり、体温を保ったりするほか、脂溶性ビタミンの吸収を促す働きもあります。

エネルギー源となる栄養素の中ではもっともカロリーが高く、少量でも多くのエネルギーを得られるのが特徴です。脂質も炭水化物同様、取り過ぎると肥満を招きますが、不足すると疲労感や肌の乾燥、ビタミン不足などを引き起こす恐れがあります。

タンパク質

タンパク質は、筋肉・臓器・皮膚・免疫物質など、体の組織の材料となる栄養素です。炭水化物や脂質によるエネルギーが足りないときは、タンパク質が分解されてエネルギー源となります。

タンパク質は、ダイエット中でもしっかり摂取することが推奨されています。炭水化物や脂質の摂取量を減らすと、タンパク質が消費されて筋肉量が減り、ダイエット前よりも痩せにくくなる恐れがあるからです。

髪や爪もタンパク質でできているため、不足すると髪がパサついたり、爪が弱くなったりするでしょう。健康はもちろん、美容のためにも、不足しないように意識する必要があります。

カロリー制限をする際のポイント

ダイエットを成功させるには、バランスのよい食事と適度な運動が欠かせません。健康的に痩せるためのポイントを見ていきましょう。

食事のバランスに気を付ける

カロリー制限しているからといって、何を食べてもよいわけではありません。1日の目標摂取カロリーの範囲内で、エネルギー源となる栄養素をバランスよく取りましょう。

1回の食事でのカロリー摂取量を100%とした場合、おすすめの割合は以下の通りです。

●炭水化物:50~65%
●脂質:20~30%
●タンパク質:13〜20%

炭水化物の割合が多くなっていますが、炭水化物には食物繊維が含まれているため、便秘の予防・解消効果が期待できます。減らし過ぎると逆効果になるため、注意しましょう。

参考:日本人の食事摂取基準(2020 年版)|170ページ エネルギー産生栄養素バランス(% エネルギー)|厚生労働省

運動とセットで行う

カロリー制限中は適度な運動を継続すると、筋肉量の低下を防いで健康的に痩せられます。前述の通り、体内のエネルギーが不足するとタンパク質が消費され、筋肉が減っていきます。

食事でタンパク質を取るのも大切ですが、カロリー制限しながら十分な量を確保するのが難しい場合もあるでしょう。このため、運動で筋肉を鍛えて落とさないようにすることが重要なのです。

運動といっても、軽い筋トレやジョギング程度で構いません。やりやすく、長く続けられそうな方法を探してみましょう。

カロリーを意識して無理のないダイエットを

カロリーはエネルギーの量(熱量)を表す単位です。人間は生きていくのに必要なエネルギーを食品から取り入れ、余った分を脂肪として蓄えます。そのため、食品のカロリーを制限すれば蓄えたエネルギーを消費することになり、痩せられるのです。

ただし、極端に制限し過ぎると、必要な栄養が不足して健康を損なう恐れがあります。カロリーだけでなく栄養バランスも意識して、無理のないダイエットを心がけましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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