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外食・中食は、食物アレルギー表示に関するルールはありません
加工食品は、特定原材料8品目(えび、そば、かに、卵、くるみ、乳、落花生(ピーナッツ)、小麦)を微量でも含む場合は表示が義務付けられています。さらに特定原材料に準ずるアーモンド、りんご、オレンジなどの20品目は表示が推奨されています。
しかし外食・中食に関しては、加工食品のような表示義務はありません。そのため口にした途端にアレルギー症状を起こすこともあるようです。
東京都が2020年10月に発表した「アレルギー疾患に関する3歳児全都調査(令和元年度)」の報告書では、3歳までに食物アレルギー疾患と診断された割合は、2019年度は14.9%(403人)でした。1999年度の調査より、約2倍に増えています。
外食・中食でアナフィラキシーショックを起こした事例も
実際に起きた事例を紹介します。
事例1 ソースの材料を確認せずに、アレルギー症状が
子どもは卵・乳のアレルギーです。家族が注文した合鴨のロースのソテーを、子どもがほしがったので一切れあげたところ、なめただけですぐに泣き出し、顔が腫れました。ソースに卵とバターが使われていたのですが、お店の人に確認しなかったのが原因でした。
事例2 スタッフの情報共有不足で、食べられない料理が
子どもは果実類のアレルギーです。レストランの予約をするとき、食物アレルギーがあることを伝えました。しかし当日、ソースに果実が使われており不安を感じてスタッフに確認。誤食は防げましたが、予約を受け付けたスタッフが、シェフに食物アレルギーのことを伝え忘れていました。
事例3 お店の人の知識不足でアナフィラキシーショックを
乳アレルギーのため、パン屋で米粉パンに卵と牛乳が入っていないか確認し「入っていません」と言われたので購入しました。しかし食べたところ全身にじんましんが出て、呼吸困難になり、アナフィラキシーショックで入院。パンには脱脂粉乳が入っていたのですが、お店の人は脱脂粉乳が乳製品であることを知りませんでした。
事例4 卵アレルギーなのに、オムライスの卵をはがしたチキンライスが提供された
卵アレルギーのことをお店の人に伝えたのに、卵がのったオムライスが運ばれてきました。食べられないことを伝えてその後、出されたチキンライスを食べたところアナフィラキシーショックで救急搬送されました。作り直さずに、オムライスの上の卵をはがしただけで、卵が少し残っていたことが後からわかりました。
*事例3、4は、外食・中食事業者向けのパンフレット「外食・中食事業者の皆さんへ 食物アレルギーのお客様との会話で困った経験ありませんか」より
お店の人に食物アレルギーがあることを伝えることが基本。しかし問題点が…
外食・中食を利用するときは、お店の人に食物アレルギーがあることをきちんと伝えて、アレルゲンとなる食材が含まれていないか確認することが必要です。
しかし次のような問題点もあるので、心配なときは利用しないほうがいいでしょう。また責任者に確認することが望ましいです。
1 お店の人が十分に食物アレルギーのことを理解していないこともある
2 調理スタッフと接客スタッフの間で、情報共有できていないこともある
3 原材料が変わったりしていても、スタッフの間で情報共有ができていないことがある
4 コンタミネーションといって、調理中にアレルゲンとなる食材が意図せずに混入することがある
アレルゲンとなる食材が意図せずに混入する「コンタミネーション」はなぜ起こる?
4で紹介した「コンタミネーション」とは、どのようにして起こるのでしょうか。考えられる主なケースは、次のようなことです。
コンタミネーションの原因
1 まな板や包丁などの調理器具に微量にアレルゲンとなる食材が付着していて混入する
2 トング、スプーンなどの共有から混入する
3 調理のときそば粉、小麦粉などが舞うことで混入する
4 ドリンクを注ぐノズルにアレルゲンが付着していて混入する
食物アレルギーをもつ家族がいる方は、こうしたリスクがあることを知っておきましょう。
消費者庁は、外食・中食事業者向けのパンフレットも作成
消費者庁は、『食物アレルギーの患者さん・ご家族の方へ 外食・中食を利用するときに気をつけること』のパンフレットと併せて、外食・中食事業者向けのパンフレット「外食・中食事業者の皆さんへ 食物アレルギーのお客様との会話で困った経験ありませんか」も作成しています。パンフレットでは、外食・中食で実際に起きた事例を紹介し、誤食を防ぐポイントや緊急時の対応などについて触れています。
紹介したパンフレットは、消費者庁のHPからダウンロードできます。家族に食物アレルギーがある方は、是非チェックしてください。アレルゲンとなる食材を専用シートで伝える「食物アレルギーコミュニケーションシート」などの紹介もあります。
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構成/麻生珠恵