『海底二万里』ってどんな話? あらすじは? 映画化もされた古典SFの背景とは【3分で学べる世界名作】

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フランスの小説家ジュール・ヴェルヌの長編小説『海底二万里』。ウォルト・ディズニーが映画化もした、海を舞台にしたSF小説です。発表されてから150年以上もたった今でも、世界中で読まれている『海底二万里』について、あらすじや登場人物をご紹介しましょう。
<上画像:『海底二万里』原作挿絵 PD from Wikimedia commons>

海底二万里とは?

『海底二万里』のタイトルは聞いたことがあっても、実はきちんとストーリーや著者を知らないという方もいるかもしれません。まずは『海底二万里』が、いつ、だれによって書かれたのか、物語の背景についてチェックしましょう。

フランスの小説家によるSF長編小説

『海底二万里』は、フランス人小説家のジュール・ヴェルヌによって書かれた小説で、1869年から1870年にかけて発表されました。潜水艦ノーチラス号とその船長であるネモが活躍するストーリーで、海を舞台にした冒険の話。

日本語版では、上・下と2巻にわかれて発行されているものが多く、小学校高学年程度で読み進められる内容でしょう。

原題:20000 Leagues Under the Sea
国: フランス
発表年:1869~1870年
おすすめの年齢:小学校高学年以上

ジュール・ヴェルヌってどんな人?

ジュール・ヴェルヌは、1828年に生まれ1905年に亡くなったフランスの小説家です。少年だったときから、『ロビンソン・クルーソー』をはじめとした冒険小説を夢中になって読んでいたのだとか。

1863年に最初の冒険小説『5週間気球旅行』を発表すると大人気となり、それ以降、海での冒険を描いた『海底二万里』をはじめ、『十五少年漂流記』など、さまざまな冒険小説を手掛けていきました。特に『驚くべき旅行記』は、地底や海底、月まで探検に出るSFストーリー。のちに「SFの父」と呼ばれるようになったのは、そんな理由があるからです。

ジュール・ヴェルヌ  Photo by Félix Nadar(PD)

いつの時代の話?

『海底二万里』が発表されたのは、1869年から1870年。日本ではちょうど明治時代が始まった頃にあたります。

世界で初めて飛行機の有人飛行が行われたのが、1903年。人類が史上初めて宇宙飛行したのは、それよりさらに後の1957年ですから、そんな時代よりずっと前の頃。ただ、自由に空を飛んだり月へ飛行したりする憧れは、誰もが抱いていたのでしょう。

著書のジュール・ヴェルヌもきっと、未知のそんな冒険に夢を抱き、さまざまな冒険SF小説を書いていたのではないでしょうか。彼の小説に登場する潜水艦、飛行船、ロケットなどは、現代に存在するものばかり。そんな点に注目して読んでみても面白いでしょう。

海底二万里
海のロマンを描いた「海底二万里」。

物語のあらすじ|「詳しく」&「簡単に」2バージョンでご紹介

では、『海底二万里』のあらすじについて、「詳しく」と「簡単に」の2つのバージョンでご紹介しましょう。

詳しいあらすじ(ネタバレあり)

主人公は、フランスの海洋生物学者アロナックス教授。大型船が大きなもので突かれて沈没するという怪事件が続いたことから、巨大な一角獣がいるかもしれないと、アロナックス教授は助手のコンセイユとともにその調査を始めます。

ところが調査のためにアロナックス教授とコンセイユが乗った船が、その巨大な怪物の襲撃にあい、船は大破。2人とカナダ人の銛打ちネッド・ランドは海に投げ出されてしまったのです。

海で漂流した3人が、やがて発見したのは、巨大な潜水艦「ノーチラス号」。3人は潜水艦にとらえられ、ネモ船長に「一緒に深海を調査しよう」と誘われます。しかし、この潜水艦こそが多くの船を襲っていた怪物の正体だったのです……。

潜水艦のなかでは自由にしていいと言われながらも、母国へ帰ることを禁じられた3人。囚われの身となった3人とネモ船長の奇妙な潜水艦での世界一周の旅が始まりました。

途中、“海底の森”や“サンゴの王国”、“海底の探鉱”など、神秘的な世界を訪れたり、巨大タコと格闘したり、ハラハラどきどきする展開。最後は、ネモ船長が銃弾を受けてノーチラス号とともに海底に沈んでいくことになるのです。

ジュール・ヴェルヌ著/アルフォンス・ド・ヌーヴィルとエドゥアール・リオウ画『海底二万里』より、ノーチラス号の甲板上のネモ船長 PD from Wikimedia commons

簡単なあらすじ(ネタバレなし)

船に穴が開く怪事件の調査に乗り出したアロナックス教授と助手のコンセイユ、銛打ちネッド・ランドですが、調査中の船が怪物の襲撃によって大破し、海に投げ出されてしまうことに。

そのときに現れたのが、巨大な潜水艦「ノーチラス号」。実はこれこそが怪物の正体だったのですが、ネモ船長の囚われの身となった3人は、ネモ船長の謎を探りながら不思議な海底の旅に出ることになるのです……。

海底二万里の主な登場人物

物語に登場する主な人物をチェックしましょう。

アロナックス教授

『海底二万里』の語り手となる人物。海洋生物に詳しいことから、海の怪事件の解明に乗り出します。

コンセイユ

アロナックス教授の助手。アロナックス教授を「先生」と慕い、忠実で頭が良いそう。

ネッド・ランド

腕利きの銛使いで、カナダ人。頑固で気が短いものの、コンセイユとはよく気が合い行動を共にすることが多くあります。

ネモ船長

当時には考えられないほどの技術力と性能がある潜水艦「ノーチラス号」の船長。海中世界を好み、地上での世界を嫌い、謎めいた人物です。

海底二万里が読み継がれている理由

発表から150年以上もたっているのに、世界中で愛される『海底二万里』。その魅力や理由は何なのでしょうか?

理論的なSF小説

数ある冒険小説と『海底二万里』が異なるのは、理論的にもとづいた設定であること。この小説が書かれた時代とは思えないほど、数字や地形を使い根拠のある説明がされ、突飛すぎる設定がされていません。だから、「なるほど」と納得しながら読み進められるのです。

ジュール・ヴェルヌ著『海底二万里』の巨大イカのイラスト(アルフォンス・ド・ヌーヴィルとエドゥアール・リオウ画)PD from Wikimedia commons

1954年に映画化

『海底二万里』の人気を裏付けることに、映画化されたことがあるでしょう。1954年にウォルト・ディズニーが同じタイトルで映画を発表。アカデミー賞で美術賞と視覚効果賞を受賞するなど、話題になりました。今でも、小説と映画の両方で楽しめるとあって、世界中の人から愛される存在です。

海のロマンがいっぱい

海を舞台にしているだけあり、海の冒険にどっぷりと浸かれるのも『海底二万里』の魅力。さらに、魚や海の生物などが数多く出てくるため、海が好きな男の子はとくに夢中になりそう。海と男のロマンが詰まったストーリーとも言えます。

映画『海底二万里』のポスター PD from Wikimedia commons

名作「海底二万里」を読むなら

興味を持ったらぜひ『海底二万里』を読んでみませんか?

小学館世界J文学館『海底二万里』

電子書籍で読める『海底二万里』。世界の名作を収録した小学館世界J文学館発行のものなので、小学生でもきっと読みやすいでしょう。

岩波少年文庫『海底二万里(上)』

上・下巻の2冊にわかれています。「大人になってから読み返しても夢中になった」という声もあるようです。

ウォルト・ディズニー『海底二万里』

ウォルト・ディズニーが映画化した『海底二万里」のDVDです。迫力ある映像を見ながら、小説とはまた違う世界に引き込まれそうです。

海・冒険が好きな子におすすめの『海底二万里』

冒険小説はさまざまなものがありますが、海のなかでリアル感たっぷりにハラハラと読み進められるストーリーはそう少ないかもしれません。『海底二万里』は海や冒険が大好きな子にピッタリの一冊。長編にはなりますが、きっと夢中になって読み進んでしまうでしょう。夏休みの課題などにも、ぜひ選んでみてはいかがしょうか。

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文・構成/HugKum編集部

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