ウクライナやロシアの伝統的な料理「ボルシチ」に使われることで知られる「ビーツ」。日本では、まだあまり一般的ではないため、「ビーツを使ってみたいけど、どうやって使うの?」「どんな味?」という疑問をもつ方も多いのでは? ビーツは色鮮やかで、料理を彩るだけでなく、高い栄養価を含む野菜です。
知っておけばいざという時に役に立つ、ビーツの基本知識をチェックしていきましょう。
ビーツとは?
ビーツとは、ヒユ科フダンソウ属の根菜。原産は諸説ありますが、地中海沿岸やヨーロッパ、アフリカの北部だとされています。カブのような見た目と、鮮やかなピンク色が特徴。天然の着色料としても使われます。日本では、ビーツは普段よく使う野菜ではありませんが、ヨーロッパなどでは、よく食べられている野菜です。
同じヒユ科の野菜には「ほうれん草」、てんさい糖で知られる「サトウダイコン」があります。ビーツは、赤カブのような見た目なので、カブの仲間かと思いきや、ほうれん草などの仲間だったんですね。
またビーツには、ウズマキダイコン、ビート、ルートビート、テーブルビート、かえんさい、など多くの別名があります。
ビーツの旬は?
ビーツの旬は、年に2回。まず6~7月、そして11~12月にかけてです。
日本での主な産地は、埼玉県や北海道、また長野県や茨城県、熊本県でもつくられています。輸入されたものは年中出回りますが、日本で生産されたものは上記の時期に旬を迎えます。
ビーツに含まれる栄養は?
ビーツは「飲む輸血」と言われるほど、高い栄養価を含む野菜。ビーツに含まれる主な栄養素と健康効果をチェックしていきましょう。
カリウム
カリウムは、余分なナトリウムを体外に排出する効果が。そのため高血圧やむくみの予防・改善が期待できます。また、ナトリウムは神経伝達や筋肉の収縮に大きく関わっているため、筋肉の働きを維持する効果もあります。
ビタミン
ビーツに多く含まれるビタミンは、ビタミンB6と葉酸です。
ビタミンB6はアミノ酸の働きを助け、免疫機能を正常に働かせます。さらに皮膚のバリアを高め、肌を健康な状態を維持する効果も。また脂質の代謝やエストロゲンの代謝にも関与していて、ホルモンバランスを整える作用があります。
葉酸は「造血のビタミン」とも言われ、赤血球の生産を助けるビタミン。細胞の生産や再生を促すことから、体の発育に重要な栄養素です。
食物繊維
ビーツに含まれるのは、不溶性食物繊維。便の量が増え、腸を刺激します。そのことによって便通が促され、便秘の改善にも効果的です。また、食物繊維を摂ることで、血糖値が急上昇するのを抑える効果も。糖尿病などの予防も期待できます。
オリゴ糖
オリゴ糖は胃で消化されず大腸まで届くため、腸内環境を整えてくれます。腸内環境が整うことで、美肌効果や免疫機能の向上、睡眠の質の改善などの効果が期待できるでしょう。
一酸化窒素(NO)
血管を拡張し、血流をスムーズにする働きがある一酸化窒素。血管の柔軟性を保ち、血管内のコレステロールや血栓ができるのを抑制する効果があります。
また、血流が促進されることで、冷え性や肩こり、さらにスポーツ時の疲労回復やパフォーマンス向上も期待できる栄養素として注目されています。
ベタレイン
ビーツの赤紫色の色素であるベタレイン。高い抗酸化作用をもち、美容効果をはじめ、抗消炎作用、抗ガン作用があると言われています。
ビーツの食べ方は?
ビーツは、口に入れるとほのかな甘味を感じます。この甘味の正体はショ糖。サトウダイコンの仲間であるビーツはショ糖を含みます。そのため、自然な甘さを感じるのです。
ビーツは、生で食べることが可能ですが、人によっては土っぽさを感じることも。しかし、切り方や調理方法によって、この土っぽさは感じにくくなります。またビーツは加熱して食べる場合、その色と美味しさを逃さないため、皮ごと調理するのがおすすめです。
では、ビーツの食べ方や下ごしらえ方法を見ていきましょう。
生で食べる
ビーツを生で食べると、シャキシャキとした食感。サラダなどにピッタリです。しかし土っぽく感じることも。薄くスライスしたり、千切りにすると食べやすいでしょう。
1、葉や茎はカットし、皮は厚めにむきます。
2、薄切りにしたり、千切りにすると、生でも食べやすくなります。
茹でて食べる
ビーツの土っぽさがなくなり、甘味が増すのが、茹でて食べる方法です。食感は茹でたじゃがいもや、茹でた大根に似ています。
茹でたビーツは、ポテトサラダなど、じゃがいもと一緒に入れると、ピンク色のフォトジェニックなサラダになります。
1、葉や茎が残っている場合はカットします。
2、皮ごとビーツを鍋に入れ、ビーツがかぶるくらいの水と少々の酢(レモン汁でもOK)を入れます。
3、鍋にフタはせずに強火で加熱。沸騰したら火を弱め、水を足しながら煮ていきます。
4、ビーツに竹串がすんなり刺さるくらい柔らかくなればOK(目安は30~60分)です。
5、鍋から取り出し、軽く水で洗い皮をむいてお好みの大きさにカットしてください。
皮がスルッとむけたら火が通っていサインです。
オーブンで加熱して食べる
ビーツは、オーブンで焼くと、ホクホクとした食感が楽しめます。皮をむき、塩をちょっとふりかけて食べるのもおすすめです。
1、ビーツはよく洗い、茎や葉をカット。
2、2をアルミホイルで包みます。
3、180~200℃のオーブンで30~40分加熱。
4、柔らかくなればOK。皮をむいてお好みの大きさに切って食べます。
煮込み料理に使う場合
ビーツをボルシチなどの煮込み料理に使う場合は、皮をむき、食べやすい大きさに切ってから加熱します。
ビーツを使った超簡単レシピ
ビーツをオリーブで炒めただけの簡単ですぐできるレシピ紹介です。「あと1品欲しい!」ときや、肉や魚のメイン料理の添え物としておすすめ。シンプルでとても美味しい1品です。
【材料】
・ビーツ… 適量
・オリーブオイル… 適量
・塩… 適量
・ブラックペッパー… 適量
【作り方】
1、ビーツはよく洗い、皮をむき、薄くスライス、もしくは千切りにします。
2、フライパンにオリーブオイルと1を入れ、お好みの硬さまで炒めます。
3、仕上げに塩、ブラックペッパーで味を整え完成です。
スーパーフード「ビーツ」を食べよう
私たちの食生活では、まだ馴染みが浅いビーツですが、とても栄養価の高いスーパーフードです。
ビーツを加熱する際のポイントは、皮をむかずに調理すること。様々な料理に活用して、ビーツの美味しさと、その高い栄養価を余すことなく、いただきましょう。
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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)