ウクライナってどんな国?
ウクライナがどのような国なのかを学ぶために、民族や言語、宗教などの基本情報を紹介します。ロシアとの関係を含めた歴史についても見ていきましょう。
ウクライナの基本情報
ウクライナは、ロシア・ベラルーシ・ポーランド・ハンガリー・ルーマニアなどと隣接する東ヨーロッパの国です。首都は「キーウ」で、日本の約1.6倍の国土を有しています。
人口の約80%はウクライナ人で、ほかにロシア人やベラルーシ人なども暮らす多民族国家です。言語はウクライナ語を国家語としており、それ以外にロシア語などが使われています。
宗教は、ウクライナ正教や東方カトリック教をはじめ、ローマ・カトリック教やイスラム教、ユダヤ教などが併存しています。
1991年、ソ連崩壊に伴い独立
黒海沿岸の地域は、古来よりアジアとヨーロッパの交易の中継地とされてきました。紀元前4世紀頃にはスキタイ(古代ギリシャ)の文化が栄え、13~14世紀頃には北部がシルクロードの中継地になるなど、古い歴史があります。
かつてはソ連の構成共和国の一つでしたが、1991年にソ連が崩壊したことをきっかけに独立しました。独立後は親ロシア派と親欧米派が対立していましたが、2004年・2014年と2度、親欧米派政権が誕生しています。
これに反発したロシアがクリミア半島を一方的に併合し、その一部を新ロシア派に支配させるなどして、現在に至っています。
ウクライナの特徴
ウクライナは、どのような特徴をもつ国なのでしょうか? 経済を支えている主要な産業から観光地、食事情まで幅広く紹介します。
主要産業は「農業」と「重工業」
ウクライナにはドニエプル川などの大きな河川が流れており、水資源が豊かです。さらに、河川の流域には豊富な栄養を含んだ黒土地帯が広がっていることから、農業が盛んです。
国土の70%以上が農地で、小麦やテンサイ、ヒマワリなどが栽培されています。小麦・砂糖・ヒマワリ油は主要な輸出品で、2002年には日本も飼料用穀物を輸入しています。
鉄工業や重化学工業などの重工業も、ウクライナの主要な産業です。なかでも、鉄鋼は輸出の30%以上を占めるなど、国の経済を支える産業の一つです。造船や航空、宇宙分野の技術でも高い水準を誇っています。
首都は芸術の都と呼ばれる
首都のキーウには歴史的建築物が数多く残っており、古いものと新しいものが融合した美しい街並みが魅力となっています。
世界遺産に登録されている、キーウに現存する最古のキリスト教大聖堂「聖ソフィア大聖堂」や、東スラブ最古のロシア正教修道院「ペチェールスカ大修道院」は、人気の観光名所になっています。
世界的に有名な「キエフ・バレエ」の本拠地で、150年以上の歴史を誇り、旧ソ連三大劇場の一つである「タラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立歌劇場」も有名です。
ウクライナの食事情
代表的なウクライナ料理は「ボルシチ」です。ロシアのものとは異なり、細かく刻んだキャベツ・タマネギ・ニンジンなどの野菜類がふんだんに使われています。刻んだニンニク入りのオイルを柔らかいパンにかけた「パンプーシュカ」と一緒に食べるのが定番です。
そのほか、水餃子のような「ワレニキ(ヴァレーニキ)」も人気です。具は肉や野菜だけでなく、ジャムや果物などを入れてデザートとして楽しむ食べ方もあります。
バターを包み込んだ鶏のささみ肉を揚げたカツレツ風の料理など、日本人に合うものが多いのが特徴です。
現在のウクライナは?
近年、毎日のようにメディアで報道されているウクライナ情勢について、ロシアの軍事侵攻がいつ・どのような理由で始まったのか、よく知らない人もいるのではないでしょうか。ウクライナの情勢について見ていきましょう。
ロシアによる軍事侵攻
2022年2月にロシアのプーチン大統領が、ウクライナ内の親ロシア派による「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認しました。その数日後にウクライナへの軍事侵攻を開始し、首都キーウへのミサイル攻撃などを行ったのです。
国際社会からは非難が相次ぎ、アメリカやイギリス、欧州連合(EU)などがロシアへ経済制裁を加えています。何度か停戦協議が行われているものの合意には至らず、事態がいつ収まるのか不透明な状態が続いています。
軍事侵攻の理由
プーチン政権の言い分は、「ロシアと国民を守るための正当防衛である」というものです。ウクライナの一部は親ロシア派が占拠しており、そこに住むロシア系住民をウクライナやNATO(北大西洋条約機構)から守るためとしています。
しかし、実際には、現在のウクライナ政権が親欧米派で、NATOへの加入を目指していることが原因の一つだといわれています。NATOはもともと、冷戦時にソ連に対抗するために結成された軍事同盟で、現在はそのままロシアとの対立を深めています。
1990年代以降NATOには東ヨーロッパの国々が加盟し始め、ロシアにとって重要な位置にあるウクライナのNATO加入までもが認められれば、ロシアにとってさらなる脅威になりかねません。そのため、何とかウクライナを支配下に置きたいと考えたことが、軍事侵攻に出た大きな理由の一つのようです。
さまざまな国の魅力や事情を確認しよう
ウクライナは、かつてソ連の構成共和国の一つでしたが、1991年のソ連崩壊に伴い独立しました。農業や重工業が盛んで、航空や宇宙分野でも高い技術を有しています。
近年は、ロシアの軍事侵攻で町が破壊されていますが、首都のキーウは世界遺産に登録されている建築物もある美しい街です。古いものと新しいものが融合した美しい街並みが見どころです。
NATOとその周辺の歴史についてはこちら
構成・文/HugKum編集部